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奈良の郷土料理|受け継がれる味と食の物語
グルメ
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奈良の郷土料理|受け継がれる味と食の物語

奈良は、710年に平城京が置かれた古都です。長い歴史を持つ寺社の行事や、山深い吉野、海から遠い盆地という土地柄が、独自の郷土料理を育ててきました。この記事では、農林水産省の「うちの郷土料理」をもとに、奈良を代表する郷土料理とその由来を紹介します。店ごとの価格やメニューは変わりやすいため、ここでは取り上げていません。訪れる前に各店の最新情報を確認してください。

柿の葉寿司:峠を越えて運ばれたサバ

奈良の郷土料理の代表が柿の葉寿司です。塩で締めたサバを酢飯と一緒に柿の葉で包んだ押し寿司で、由来には諸説あります。農林水産省によると、江戸時代の中ごろ、高い年貢に苦しんでいた紀州(和歌山県)の漁師が、熊野灘でとれた夏のサバを塩で締めて峠を越え、吉野川沿いの村へ売りに行ったところ、ちょうど村の夏祭りの時期で、祭りのごちそうになったという説があります(農林水産省 うちの郷土料理:柿の葉寿司)。

使われるのは、タンニンが多く緑色の鮮やかな渋柿の葉です。酢飯に含ませた酢と柿の葉に防腐の効果があり、作ってから一晩おくと、柿の葉の香りとサバのうまみが酢飯に移って独特の風味が生まれます。

三輪素麺とにゅうめん:素麺発祥の地

奈良県桜井市の三輪は、素麺発祥の地とされています。農林水産省の解説では、1200年以上前、三輪山を御神体とする大神神社で、疫病と飢えに苦しむ民の救済を祈ったところ、神の啓示を受けて小麦をまき、粉にひいて水でこね、糸状にしたのが素麺の起源とされています(農林水産省 うちの郷土料理:にゅうめん)。

油を塗って細く延ばす技術は鎌倉時代に中国から伝わり、室町時代にはほぼ製法が完成していたといいます。冷やして食べる素麺だけでなく、温かいだしで煮る「にゅうめん」も、奈良の家庭で親しまれている食べ方です。

茶粥と奈良茶飯:お水取りにも登場する古い味

茶で米を炊く茶粥も、奈良を代表する日常の味です。農林水産省によると、毎年3月に東大寺で行われる「お水取り」は1200年以上の歴史があり、行に参加する練行衆(れんぎょうしゅう)の献立には、茶粥の汁が多いものとされる「ゴボ」や、茶飯の原点のようなものとされる「ゲチャ」が出てきます(農林水産省 うちの郷土料理:茶粥)。

茶で炊いたご飯に大豆などを加える奈良茶飯も、奈良で生まれた料理です。気に入った旅人が江戸に持ち帰り、浅草寺の近くに「奈良茶」の目印を掲げた店が多くでき、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』にも登場したことで広く知られるようになったといわれます(農林水産省 うちの郷土料理:奈良茶飯)。

飛鳥鍋:牛乳で煮る鍋

飛鳥鍋は、鶏肉や野菜を牛乳とだし汁で煮込む奈良県の郷土料理です。農林水産省の解説によると、飛鳥時代に唐から来た使者が伝えた乳製品が孝徳天皇に献上され、乳牛が宮中で飼われるようになったのが、日本での牛乳飲用の始まりといわれます。その後、僧侶たちが飼っていた鶏の肉を牛乳で煮て食べたのが飛鳥鍋の起源とされています(農林水産省 うちの郷土料理:飛鳥鍋)。

吉野本葛と葛餅

吉野地方で作られる葛粉も、奈良の食文化に欠かせません。葛の根に含まれるデンプンを、真冬の地下水だけで繰り返し精製して乾燥させた、葛デンプン100%の葛粉を「吉野本葛」と呼びます。厳冬期に冷水に何度もさらす「吉野晒(よしのざらし)」は、江戸時代から続く製法です。葛粉は葛餅のほか、ごま豆腐や葛湯、料理のとろみづけにも使われます(農林水産省 うちの郷土料理:葛餅)。

夏はかき氷と氷室神社

奈良市の氷室神社は、平城京遷都の年に氷の神を祀ったのが始まりといわれ、夏に平城宮へ氷を献上する儀式が行われていたと伝わります。今も氷の聖地として知られ、毎年5月には「献氷祭」が行われます。こうした歴史もあって、かき氷は奈良の新しい食文化になりつつあると紹介されています(農林水産省 うちの郷土料理:かき氷)。

郷土料理を楽しむ旅のヒント

  • 春はお水取りの季節:3月の東大寺のお水取りの時期に茶粥を味わうと、行事と食のつながりが感じられます
  • 三輪で素麺を:大神神社の参拝とあわせて、素麺発祥の地の味を楽しめます
  • 吉野で葛を:吉野を訪れるなら、吉野本葛の葛餅や葛湯を味わってみましょう
  • お土産は柿の葉寿司:日持ちや保存方法を確かめて選ぶと安心です

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Written by

木村 さくら

アウトドアライター