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古墳・前方後円墳めぐり完全ガイド|仁徳天皇陵から箸墓まで歴史の謎に迫る旅
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古墳・前方後円墳めぐり完全ガイド|仁徳天皇陵から箸墓まで歴史の謎に迫る旅

日本の大地には、今から1500〜1700年前に築かれた古墳が全国に約16万基存在します。その中でも「前方後円墳」は日本独自の墓制であり、東アジアのどこにも見られない独特の形を持ちます。近年、歴史ファンや考古学愛好者だけでなく、「古墳女子」「古墳男子」と呼ばれる新しいファン層も登場し、古墳ツーリズムが注目を集めています。初めて古墳めぐりに挑戦する人にとっては、どこから見て回ればよいのか、どんな心構えで訪れればよいのか迷うところも多いはずです。この記事では代表的なエリアの紹介にあわせて、見学時に役立つ実践的なポイントもまとめました。

古墳とは何か:基礎知識

古墳時代(3世紀後半〜7世紀)に築かれた盛り土の墳墓を「古墳」といいます。特に支配者層が造った大型古墳には、次のような種類があります。

前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん) 鍵穴型ともいわれる日本固有の形状。前方部(方形)と後円部(円形)が連結した形で、規模が大きいほど被葬者の権力が高かったと考えられています。

円墳(えんぷん) 単純な円形の墳丘。数も多く、地方の首長クラスに多く見られます。

方墳(ほうふん) 正方形または長方形の平面を持つ墳丘。飛鳥時代以降に増加します。

帆立貝形古墳 前方後円墳の前方部が著しく短い形。前方後円墳に準じた位の被葬者が築いたと推測されています。

古墳の形や規模は、被葬者の身分や当時の政治的な力関係を反映していると考えられており、同じ地域の古墳を見比べることで、勢力の移り変わりを読み解く手がかりにもなります。現地を訪れる前に形の違いを知っておくと、見学がより楽しくなります。

必訪エリア①: 百舌鳥・古市古墳群(大阪府)

2019年にユネスコ世界文化遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」は、日本最大の古墳群です。

仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳) 全長525mと、世界最大級の墳丘墓として知られる仁徳天皇陵。周囲に三重の堀(外濠・中濠・内濠)が巡り、総面積は約46ヘクタールにも及びます。堺市百舌鳥エリアに位置し、JR百舌鳥駅から徒歩3分。墳丘内への立ち入りは禁止されていますが、堀沿いを一周(約3km)するウォーキングが人気です。

履中天皇陵古墳(石津ヶ丘古墳) 仁徳天皇陵に次ぐ全長365mの巨大前方後円墳。周濠の水面が澄んでいる日は水鳥のねぐらとなり、堀端の風景が美しい。

古市古墳群(羽曳野市・藤井寺市) 応神天皇陵(誉田御廟山古墳)を中心とする古墳群。JR羽曳野野球場駅・近鉄土師ノ里駅周辺に点在し、コンパクトに複数の古墳を回れます。

必訪エリア②: 纒向遺跡・箸墓古墳(奈良県桜井市)

邪馬台国の有力候補地として注目される纒向遺跡と、最初の前方後円墳ともいわれる箸墓古墳が隣接しています。

箸墓古墳(はしはかこふん) 全長278m、日本最初の本格的な前方後円墳。卑弥呼の墓という説もあり、近年の発掘調査で注目を集めています。JR桜井線・巻向駅から徒歩約15分。周濠端から眺める墳丘のシルエットは迫力があります。

纒向遺跡 箸墓古墳の北側に広がる弥生〜古墳時代の巨大集落跡。纒向学研究センター(桜井市)では最新の発掘成果を常設展示しており、古代史ファンには必見の施設です。

必訪エリア③: さきたま古墳公園(埼玉県行田市)

関東最大の古墳群として知られる埼玉古墳群は、9基の大型古墳が集中。「さきたま史跡の博物館」では金錯銘鉄剣(国宝)など出土品を展示しています。

  • 稲荷山古墳(全長120m)
  • 二子山古墳(全長138m)
  • 丸墓山古墳(円墳として日本最大級、直径105m)

映画「のぼうの城」(2012)の舞台となった忍城(おしじょう)と合わせた観光も人気です。

古墳ツーリズムを楽しむヒント

ドローン撮影に代わる展望台活用 大型古墳はドローン撮影が禁止されていますが、近隣の展望スポットから形状を俯瞰できる場所があります。仁徳天皇陵は「堺市博物館」の屋上展望スポットが有名です。

古墳カードを集める 全国の博物館・資料館で配布している「古墳カード」(無料)を集めるコレクター文化が根付いています。訪問記念として好評です。

ガイドツアーへの参加 各地の博物館・教育委員会が主催するガイドウォークは、専門家の解説付きで古墳の時代背景・埋葬品・地域との関係を深く理解できます。特に奈良・大阪では定期開催されています。

古墳見学のマナーと注意点

大型古墳、とくに天皇陵として治定されている古墳の多くは陵墓として管理されており、墳丘の内部への立ち入りは禁止されています。見学の際は周濠沿いの遊歩道や整備された園路の範囲内を歩き、柵や案内表示のある区域には立ち入らないようにしましょう。静かに見学し、大声での会話や飲食のマナーにも配慮すると、地域住民や他の見学者への迷惑を防げます。ドローンの飛行が禁止されている古墳も多いため、訪問前に各自治体や管理者の案内を確認しておくと安心です。ゴミは持ち帰り、駐車場は指定の場所を利用するなど、基本的なマナーを守ることが、古墳を後世に残していくことにもつながります。

服装・持ち物のポイント

古墳めぐりは周濠沿いを長く歩くことが多いため、歩きやすいスニーカーやウォーキングシューズがおすすめです。日差しを遮る帽子や日焼け止め、こまめな水分補給用の飲み物も用意しておきましょう。周辺に木陰が少ない古墳も多く、暑い時期は熱中症対策が欠かせません。反対に早朝や冬場は冷え込むこともあるため、羽織れる上着があると安心です。双眼鏡を持参すると、遠くからでも墳丘の形状や周濠の様子を観察しやすくなります。資料館や博物館は屋内施設のため、雨天時のプランとして組み合わせておくと、天候に左右されずに古墳の背景知識を深めることができます。

全国の古墳めぐりカレンダー

時期おすすめ古墳イベント
春(3〜5月)百舌鳥・古市古墳群堀端の桜が美しい
初夏(6月)さきたま古墳公園花菖蒲が見頃
秋(10〜11月)纒向・箸墓稲刈り後の田園と古墳の対比
年中箸墓古墳早朝の朝霧に包まれる景色が幻想的

季節によって古墳周辺の風景は大きく表情を変えるため、同じ古墳でも時期を変えて何度か訪れると新しい発見があります。旅程を組む際は、上記のカレンダーを参考に、資料館の開館状況もあわせて確認しておくとスムーズです。

古墳を訪れることは、文字に残されなかった1500年以上前の人々の生活・信仰・権力構造に想いを馳せることです。知れば知るほど奥が深く、一度ハマると全国各地の古墳が気になって仕方なくなるでしょう。

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Written by

中村 浩二

考古学ライター・歴史旅行案内人

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