学び
広島の防災・災害対策ガイド|広島県で安全に暮らす備え
広島県の災害リスクを正しく知る
広島県は瀬戸内式気候の恩恵を受け、温暖で比較的雨が少ない穏やかな気候が特徴です。台風の直撃頻度も他の太平洋側地域と比べて低く、一見すると災害リスクの低い地域に思えます。しかし実際には、地形的な特性から特定の災害に対して高いリスクを抱えています。
最も警戒すべきは土砂災害です。広島県は花崗岩が風化した「真砂土(まさど)」が県内各地に広がっており、この土質は水を含むと崩れやすい性質を持っています。2014年8月に発生した広島市北部での大規模土砂災害では、短時間の集中豪雨により77名もの命が奪われました。この教訓を受け、県内の土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定は大幅に進みましたが、現在も多くのエリアが指定区域内に含まれています。
次に注意が必要なのが豪雨による河川氾濫です。太田川・芦田川・江の川などの主要河川は、上流域で大雨が降ると急激に水位が上昇します。2018年7月の西日本豪雨では広島県内で甚大な被害が発生し、土砂災害と洪水が同時多発的に起こることの恐ろしさを改めて示しました。また、沿岸部では南海トラフ地震による津波リスクも考慮が必要です。物件選びの際は必ずハザードマップで複合的なリスクを確認してください。
ハザードマップの確認と物件選びの注意点
防災の第一歩は、住む場所のリスクを正確に把握することです。広島県および各市町のウェブサイトでは、洪水・土砂災害・津波・地震の各ハザードマップを無料で公開・提供しています。引越し前はもちろん、現在お住まいのエリアについても年に一度は最新情報を確認する習慣をつけましょう。
物件選びの際は以下の点を必ずチェックしてください。まず、土砂災害警戒区域・特別警戒区域に該当していないかを確認します。特別警戒区域(レッドゾーン)内の物件は、土砂が直撃した場合に建物が損壊するリスクが高く、居住には特別な注意が必要です。次に、洪水浸水想定区域での浸水深を確認します。0.5メートル以上の浸水が想定されるエリアでは、1階部分の床上浸水リスクがあります。沿岸部では津波浸水想定区域も忘れずに確認してください。
また、地名も地形のヒントになります。「谷」「沢」「川」「池」「田」などの文字を含む地名は、かつて水辺や低地だったことを示す場合が多く、水害リスクと関連することがあります。不動産業者への重要事項説明でもハザードマップの説明が義務付けられていますので、積極的に確認を求めましょう。
自宅でできる防災対策と備蓄の整え方
リスクを把握したうえで、次に行うべきは自宅の防災対策です。まず優先すべきは家具の転倒防止です。大型の本棚・食器棚・冷蔵庫などはL字金具や壁面固定器具で固定し、寝室にはできる限り大型家具を置かないようにしましょう。地震発生時に家具が倒れないだけで、命を守れる可能性が大幅に高まります。窓ガラスには飛散防止フィルムを貼っておくと、台風や地震の際の二次被害を防ぐことができます。
備蓄品は最低3日分、できれば1週間分を目標に揃えましょう。飲料水は1人1日3リットルが目安で、家族4人なら7日分で84リットル必要です。食料はアルファ米・缶詰・レトルト食品・カロリーメイトなど調理不要の長期保存食を選びます。備蓄品は使いながら補充する「ローリングストック」の方法が鮮度管理に効果的です。
情報収集のためのツールも重要です。停電時でも使える手回し充電式ラジオ(2,000〜5,000円程度)は必需品です。さらにポータブル電源があると、スマートフォンの充電や医療機器の使用にも対応できます。懐中電灯は乾電池式と充電式の両方を用意しておくと安心です。防災グッズは年に一度、9月1日の「防災の日」前後に点検し、期限切れの食品や消耗した電池を交換しましょう。
避難計画の立て方と地域とのつながり
いざという時に慌てないために、日頃から具体的な避難計画を立てておくことが不可欠です。まず、自宅から最寄りの指定避難所への経路を複数パターン確認しておきましょう。広島市内には学校・公民館・スポーツセンターなど多数の指定避難所が設置されています。土砂災害や洪水では道路が寸断されることもあるため、徒歩での移動を前提に安全なルートを複数把握しておきます。
家族全員で「家族防災会議」を年2回(3月と9月がおすすめ)開催しましょう。話し合うべき内容は、①避難のタイミングと判断基準、②集合場所と連絡方法(電話がつながらない場合の対処も含む)、③それぞれの役割分担(誰が何を持ち出すか)の3点です。特に共働き世帯や子どものいる家庭では、学校や職場から別々に避難する状況を想定した計画が必要です。
また、地域の自主防災組織や町内会の防災訓練への参加も強く推奨します。近所に顔見知りがいるだけで、災害時の助け合いが格段に効果的になります。移住者にとっては地域に溶け込むきっかけにもなり、防災知識と人間関係を同時に得られる貴重な機会です。広島県では各自治体が自主防災組織の結成・活動を支援していますので、お住まいの市町の窓口に問い合わせてみましょう。
保険の整備と防災を「投資」として考える
防災対策を経済的な視点で考えると、火災保険(地震保険特約付き)への加入は最も優先度の高い投資です。火災保険は火災だけでなく、台風・大雨による水濡れや風災にも対応しています。保険料の目安は建物の構造・規模・エリアによって異なりますが、木造戸建てで年間3万〜6万円程度が一般的です。
地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約します。補償額は火災保険の30〜50%が上限ですが、地震・津波・噴火によって生じた損害をカバーする唯一の保険です。広島県は南海トラフ地震の影響エリアに含まれることから、地震保険への加入を強くおすすめします。また、家財保険にも加入しておくと、家電・家具・衣類などが被災した際の補償を受けられます。
防災グッズや備蓄品への支出を「コスト」と捉える人もいますが、実際にはいざという時の安心を買う投資です。年間の家計に「防災費」として予算枠を設け、計画的に整備していくアプローチが長続きします。まずは年5,000〜1万円程度を防災費として確保し、数年かけて備蓄と防災グッズを充実させていくのが現実的な方法です。安全なエリアに住むという選択自体が、最もコストパフォーマンスの高い防災投資であることも覚えておいてください。
災害情報の収集と日常的な防災習慣
日頃から正しい情報収集手段を確保しておくことも重要な防災対策のひとつです。気象庁の特別警報・警報・注意報の違いを理解し、特別警報が発令された場合は直ちに命を守る最善の行動をとることが原則です。広島県では「広島県防災Web」や各市町の防災メール・防災アプリで最新の気象情報や避難情報を確認できます。スマートフォンにはJ-アラート(全国瞬時警報システム)の通知設定を必ず有効にしておきましょう。
梅雨・台風シーズン(6月〜10月)は特に注意が必要な時期です。大雨が予想される場合は、事前に早期避難を心がけてください。「避難指示」が発令される前の「高齢者等避難」の段階で行動を開始することが、安全な避難につながります。夜間や早朝の豪雨は特に危険ですので、気象情報に注意を払い、少しでも不安を感じたら早めに避難することをためらわないでください。
広島で安心して暮らすためには、地域のリスクを正しく知り、家族と話し合い、着実に備えを整えることが大切です。一度準備を整えてしまえば、日常の安心感が格段に高まります。防災は特別なことではなく、豊かな生活を守るための日常習慣のひとつとして取り組んでいきましょう。
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