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ペットの防災対策 — 災害時に備えるペット用防災グッズと避難計画
ペット
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ペットの防災対策 — 災害時に備えるペット用防災グッズと避難計画

なぜペットの防災が重要なのか — 過去の災害から学ぶ教訓

2011年の東日本大震災では、被災地でペットと避難できずに家に置き去りにせざるを得なかった飼い主が多数いました。避難所の「ペット不可」という規則の壁に直面し、やむを得ず車中泊を選んだ方も少なくありません。その後の熊本地震・大阪北部地震・令和元年東日本台風などの教訓を踏まえ、2022年に内閣府が改定した「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」ではペット同行避難の推進が明記されました。しかし現実には、ペット同行避難の受け入れ体制は自治体・施設によって大きく異なり、事前の情報収集と個人の準備が不可欠な状況です。

ペットは自分でなんとかなる」という誤解も根強いです。しかし犬も猫も、災害時の爆音・煙・慣れない環境によるパニックは人間以上に激しく、逃走・咬傷・衰弱のリスクが高まります。飼い主が意識を失った場合や長期避難が必要になった場合に備え、ペットが単独でも保護されるための準備を今から整えておく必要があります。

ペット用防災グッズ — 最低限の備えと理想的な備蓄

ペット用の防災グッズは、72時間(3日間)を生き延びるための最低限のキットと、1週間〜1ヶ月を想定した拡充版に分けて考えると整理しやすいです。

最低限のキット(ペット用非常袋)に含めるべきもの:フード(普段食べているもの3〜5日分。ウェットと乾燥の両方あると安心)、水(1日あたり体重1kgにつき50〜70ml程度が目安)、食器・折りたたみ式ボウル、リード・ハーネス(首輪が外れた場合に備えてハーネスも必携)、ケージ・キャリーバッグ(折りたたみ式が収納に便利)、常備薬・ケア用品(フィラリア予防薬・ノミダニ薬・常用している薬は2週間分)、ペットシーツ・ゴミ袋・消臭スプレー、タオル・毛布(においがついたものを選ぶと安心感を与えられる)。

証明・記録関係として、ワクチン接種証明書・狂犬病予防接種証明書・マイクロチップ登録証明書のコピーをビニール袋に入れて非常袋に入れておきましょう。避難所でのトラブル防止と、迷子になった際の身元確認に不可欠です。

さらに、愛犬・愛猫の顔・体の写真を定期的に更新してスマートフォンに保存しておくことも重要です。災害後の捜索・保護活動において、新しい鮮明な写真の有無が発見率を大きく左右します。

マイクロチップの重要性 — 迷子・はぐれ対策の最強ツール

2022年6月より、ブリーダーやペットショップで販売される犬・猫へのマイクロチップ装着と登録が義務化されました(既存の飼い主には努力義務)。マイクロチップは直径約2mm・長さ約12mmの小さな電子タグで、皮下に注射針で埋め込みます。リーダー(読み取り機)をかざすことで固有のID番号が読み取られ、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」データベースから飼い主情報を照合できます。

まだマイクロチップを装着していない場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。費用は3,000〜5,000円程度で、全身麻酔不要の処置です。首輪・迷子札は外れることがありますが、マイクロチップは生涯外れません。災害時の混乱の中でペットとはぐれてしまったとき、この差は決定的です。

避難計画の立て方 — 自治体情報の確認と避難先の決定

まず、自分の住む市区町村がペット同行避難についてどのような方針を持っているかを確認することから始めましょう。自治体のウェブサイト・防災ポータルや、防災担当窓口への電話で確認できます。ペット同行避難が認められている場合でも、「同行」は認められるが「同伴」(避難スペースに一緒にいること)は認められない場合が多く、ペット専用のスペースが別途設けられるケースが一般的です。

公共の避難所に頼れない場合の代替手段を複数用意しておくことが賢明です。ペット可のホテル・旅館を非常時の避難先として事前登録しておくペットを一時的に預けられる友人・親戚のリストを作るペット可のシェアハウス・マンスリーマンションを把握しておくなど、選択肢を広げておくことで、緊急時の判断が格段に楽になります。

避難ルートも必ずペットと一緒に確認しておきましょう。大型犬を連れての徒歩避難、猫をキャリーに入れての移動など、実際に「練習」してみることで初めてわかる問題点があります。近所のかかりつけ動物病院が災害時にどのような対応をするかも事前に確認しておくと安心です。

日常の備え — 防災訓練と習慣化の重要性

非常袋は作って終わりではありません。フードや薬は賞味期限を定期的に確認し、ローリングストック(使いながら補充する方法)で常に新鮮な状態を保ちましょう。半年に一度の「防災デー」を設け、非常袋の中身を点検する習慣をつけると確実です。

ペットをキャリーに慣らす練習も日常的に行っておくことが重要です。普段からキャリーを部屋に出して、自由に出入りできる状態にしておくことで、緊急時にキャリーへの誘導が容易になります。普段キャリーを使っていない猫の場合、緊急時に全力で暴れて入れられないというケースが非常に多いです。

「災害はいつか起きるかもしれないもの」ではなく、「いつ起きてもおかしくないもの」——この認識の転換が、準備を行動に変えます。大切な家族であるペットを守るための備えを、今日から一歩ずつ始めてください。

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Written by

小川 哲也

獣医師・ペット防災アドバイザー

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