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新宿御苑
Photo: Basile Morin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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都心のど真ん中に58.3ヘクタールもの緑が広がる新宿御苑は、喧騒に疲れた旅人をやさしく受け入れる都市のオアシスだ。フランス式の整形庭園、イギリス式の風景庭園、そして日本伝統の回遊式庭園という三つの様式が一つの敷地に共存する光景は、世界を見渡しても類を見ない稀有な存在である。

皇室ゆかりの歴史と変遷

新宿御苑の歴史は、江戸時代初期にさかのぼる。この地はもともと徳川家の家臣・内藤家の屋敷地として与えられた広大な土地であった。内藤家が代々所有したことが現在の住所「内藤町」の由来でもある。明治維新後、政府はこの土地を農事試験場として活用し、農業の近代化に役立てた。1879年(明治12年)には宮内庁の所管となり、「新宿植物御苑」として整備が本格化。1906年(明治39年)に現在の形に近い皇室庭園として完成した。

戦前は皇室の庭園として一般公開は限られていたが、第二次世界大戦後の1949年(昭和24年)に環境省(当時の厚生省)へ移管され、国民公園として広く開放されることになった。かつて皇族が桜の観覧会を開催していた歴史は、現代の「花見の名所」としての評判に脈々と受け継がれている。園内の各所に残る明治・大正期の建造物が、この場所の長い歴史を静かに物語っている。

三つの庭園様式が織りなす多彩な景観

新宿御苑最大の特徴は、異なる文化圏の造園様式が調和しながら共存していることだ。正門から入ってすぐ広がるフランス式整形庭園は、左右対称の幾何学的な花壇と整然と刈り込まれた樹木が特徴的で、ヨーロッパの王侯貴族が愛した古典的な様式美を体感できる。整然と並ぶプラタナスの並木道は、四季を通じて美しい景観を提供し、まるでパリの公園を歩いているような気分にさせてくれる。

広大な芝生広場を中心とするイギリス風景式庭園は、自然の風景を模した伸びやかな空間だ。起伏のある地形と大樹が織りなす風景は、人工的に作られたものとは思えないほど自然に調和している。晴れた日には家族連れやカップルが芝生に腰を下ろし、思い思いの時間を過ごす姿が見られる。読書にスケッチ、昼寝と、都会の公園とは一線を画す大らかな雰囲気がここにはある。

南側に配された日本庭園は、池を中心に据えた回遊式の伝統的な造りだ。鯉が泳ぐ静かな池の畔には、茶室「楽羽亭」や「翔天亭」「千草亭」が点在し、季節の花や木々を愛でながら一服できる。外国人旅行者にとっても日本の美意識に触れる格好の場所であり、ここだけで日本庭園の魅力を存分に味わえる。

春の桜――都内屈指の花見スポット

新宿御苑が年間を通じて最も多くの人を引き寄せるのが、春の桜の季節だ。園内には約65品種・約1,000本もの桜が植えられており、3月中旬から4月下旬にかけて次々と開花する。ソメイヨシノをはじめ、早咲きのカンヒザクラ、豪華なヤエザクラ、存在感のある大島桜など多様な品種が揃っているため、約1か月にわたって花見を楽しめる。

中でも圧巻なのが、南側の芝生に広がるソメイヨシノの大木群だ。淡いピンクの花びらが青空に映える様子は、東京を代表する春の風景の一つとして名高い。シートを広げて弁当を食べながらゆったり過ごす人々の姿は、この場所の日常の光景でもある。なお、园内は酒類の持ち込みが禁止されているため、ほかの花見スポットと比べて落ち着いた雰囲気の中で花を愛でられるのも大きな魅力だ。

桜のシーズンには混雑が激しくなるため、開園直後の朝の時間帯か、平日を狙って訪れるのが賢明だ。入場券は事前購入も可能で、スムーズな入場に役立つ。

秋の紅葉と冬の温室――四季を通じた彩り

桜と同様に見応えがあるのが秋の紅葉だ。10月下旬から12月上旬にかけて、イチョウやモミジが黄金色や燃えるような赤に染まり、園内の風景をがらりと変える。落葉樹が多いイギリス風景式庭園エリアは特に美しく、秋の陽光を受けて輝く葉の色彩は写真愛好家たちを強く惹きつける。桜ほどの混雑がないため、ゆったりと散策できるのも秋ならではの魅力だ。

冬の楽しみとして忘れてはならないのが大温室(玉藻池温室)の存在だ。熱帯・亜熱帯の植物を中心に約2,700種以上の植物が育てられており、寒い冬でも緑豊かな植物の世界に包まれる。バナナやパパイヤ、色鮮やかなヘリコニアなど普段目にすることのない植物の数々が出迎えてくれる。入場無料(一部施設は有料)で利用できるため、気軽に立ち寄れるのもうれしい。

夏は広い芝生が子どもたちの遊び場となり、緑のトンネルのような木陰が暑い陽射しを遮ってくれる。都会の真夏でも木々に囲まれた環境では体感温度が下がり、心地よい時間を過ごせる。一年を通じて表情を変える新宿御苑には、何度訪れても新しい発見がある。

アクセスと周辺情報

新宿御苑へのアクセスは非常に便利だ。主な入口は3か所あり、「新宿門」「大木戸門」「千駄ヶ谷門」からそれぞれ入園できる。最寄り駅は新宿門が東京メトロ丸ノ内線・副都心線「新宿御苑前」駅(徒歩5分)、大木戸門が同じく「新宿御苑前」駅(徒歩3分)、千駄ヶ谷門はJR中央・総武線「千駄ヶ谷」駅(徒歩5分)または東京メトロ大江戸線「国立競技場」駅(徒歩5分)が便利だ。新宿駅からも徒歩10〜15分ほどでアクセスできるため、観光やショッピングのついでに立ち寄りやすい。

開園時間は通常9時から16時(入園は15時30分まで)だが、桜の季節は特別延長されることもある。休園日は月曜日(祝日の場合は翌日)で、年末年始も閉園となる。入場料は一般500円、65歳以上250円、中学生以下は無料(2025年現在)と、広大な敷地を考えれば非常に手ごろな価格設定だ。

周辺には新宿伊勢丹などの商業施設や、多様なジャンルの飲食店が揃う。御苑内の売店やレストランも利用できるため、手ぶらで訪れても一日のんびり過ごせる環境が整っている。外国語対応のインフォメーションも充実しており、海外からの旅行者も安心して楽しめる国際的な公園でもある。

アクセス

東京メトロ新宿御苑前駅1番出口から徒歩5分

営業時間

9:00〜16:30(季節により変動)

料金目安

¥500

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