
佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館
GALLERY
佐賀県佐賀市川副町に立つこの歴史館は、「見えない三重津が見える、体感できる展示施設」をコンセプトに掲げる。現在は地中に眠る三重津海軍所跡の姿を、3DCGや映像、インタラクティブ展示によって蘇らせ、幕末から明治へと駆け抜けた日本の産業近代化を肌で感じられる場となっている。
佐賀の七賢人・佐野常民の軌跡
佐賀の七賢人の一人に数えられる佐野常民は、1822年に佐賀市川副町早津江に生まれた。9歳で藩医佐野家の養子となり、藩校弘道館で学才を発揮。その後は緒方洪庵・伊東玄朴らに師事して蘭学・医学の知識を深め、31歳のとき佐賀藩精煉方において蒸気船・蒸気車の雛形や電信機の製作を指揮した。万国博覧会への関与を経て、明治に入ると工部省灯台頭を務め、のちに日本赤十字社の設立に尽力した。修行時代から赤十字への道まで、その生涯は館内展示の中で全5章にわたって丁寧に紐解かれている。
三重津海軍所跡 — 近代日本造船の原点
早津江川沿いに広がる三重津海軍所跡は、幕末佐賀藩の洋式海軍拠点として、海軍教育・洋式船の修理・建造を担った場所だ。日本初の実用蒸気船「凌風丸」が建造されたことで知られ、後の産業国家・日本における造船分野の端緒となった。設備は早津江川の上流側から下流側に向かって整備・拡張され、自然環境を巧みに利用したドライドックには日本の伝統技術と西洋技術の融合が刻み込まれている。こうした価値が認められ、2013年(平成25年)に国史跡、2015年(平成27年)には「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として世界遺産に登録された。同遺産は岩手県釜石市から鹿児島県鹿児島市まで8県11市に点在する23資産で構成され、非西洋地域で初めて産業化を成し遂げた日本の歩みを世界に示している。
デジタルガイド「れきナビ」で歴史を体感する
3階建ての館内には、アプリ型ガイドシステム「れきナビ」が導入されている。専用端末の無料貸し出しに加え、個人のスマートフォン・タブレットに無料アプリをインストールしても利用でき、画像・動画・テキストによる詳細解説、イラストや3DCGをカメラ越しに映し出すデジタルコンテンツ、館内と史跡現地をつなぐ連携マップ、さらに3DCGと合成した記念撮影機能まで揃っている。テキスト解説は日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)に対応しており、国内外の訪問者が言語を問わず歴史に没入できる。
体験学習と多彩なプログラム
学びの場としての機能も充実している。2026年4月からスタートした会員制「みえつ体験クラブ」では、農業体験や世界遺産模型づくりなど毎月異なるテーマで手を動かすプログラムが展開される。館長講座では幕末明治の佐賀藩の偉業を掘り下げ、世界遺産検定3級の対策講座も開催されるなど、子どもから大人まで段階的に学べる機会が整っている。館内で知識を得た後、「れきナビ」を携えて隣接する三重津海軍所跡の現地に出れば、展示で得た知識が実際の風景と重なり合い、近代日本の夜明けをより深く実感できるだろう。
アクセス
所在地:佐賀県佐賀市川副町大字早津江津446-1。博多駅からJR特急で約40分、佐賀駅から周辺施設へアクセス。自動車の場合、有明海沿岸道路「諸富IC」から約1分、長崎自動車道「佐賀大和IC」から約40分、九州佐賀国際空港から約15分。駐車場は無料(佐賀市立中川副公民館横に普通車85台、バス5台;歴史館敷地内に10台程度)。
営業時間
9:00~17:00(最終入館16:30)、定休日:月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)、年末年始、その他臨時休館日あり
料金目安
大人 500円、小中高校生 200円、年間パスポート(大人 1,000円、小中高校生 400円)
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