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近江上布伝統産業会館

近江上布伝統産業会館

※写真はイメージです。

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琵琶湖の東側に広がる湖東地域は、室町時代から麻織物を育んできた産地だ。その伝統を今に伝える施設が、滋賀県愛知郡愛荘町に立つ近江上布伝統産業会館である。単なる展示施設ではなく、現役の手織り現場が動き、体験プログラムが稼働し、後継者の育成まで担う「生きた産地拠点」として機能している。

近江上布とは何か──生平と絣という二つの系譜

近江上布は、昭和52年(1977年)に経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定された麻織物で、この地域を代表する手織の織物だ。大きく「生平」と「絣」という二つの特徴的な織物に分かれる。

生平の際立つ点は二つある。一つは緯糸に大麻の手績糸を用いること、もう一つは地機(腰機とも呼ばれる)という古来の織機を使うことだ。対して絣は、染色技法に「櫛押捺染」または「型紙捺染」を用い、織る際には手作業による「耳合わせ」で絣の柄を正確に合わせていく。いずれの技法も、機械では代替しにくい熟練の手仕事によって成立している。

かつて江戸時代の文献『萬金産業袋』(享保17年)には、この地の高宮布について「奈良よりまだまさりて、いろ白く、糸ほそく、光あって見事なるもの也」と記されている。数百年前から都人を驚かせた麻布の品質が、現代まで連綿と受け継がれてきた。

手織りの現場を、そのまま公開する

この会館の最も大きな特徴の一つは、貴重な手織りの現場を一般に開放していることだ。訪れる個人客はもちろん、学校や企業などの団体も受け入れており、麻織物についての丁寧な案内を受けることができる。「産地に来なければ見られないもの」を惜しみなく見せる姿勢が、施設全体に貫かれている。

四種の体験プログラム──素材から布になるまで

会館では複数の体験プログラムが用意されており、麻という素材が布になるまでの工程を、段階ごとに自分の手で追体験できる。

  • 機織り体験:実際の織機を使って布を織る
  • 手績み体験:繊維を手でつなぎ合わせて糸にする伝統技法を体験
  • 苧麻を使った繊維取り出し体験:最古の天然繊維のひとつである苧麻(麻)から繊維を取り出す工程
  • リネンコースター織り体験:手軽に織物の楽しさを体験できる入門プログラム

素材の段階から布ができあがるまでの流れを体でつかめるラインナップになっており、子どもから大人まで幅広い来館者が参加できる。

伝統技術で新しいものを生み出す姿勢

会館が担うのは「伝えること」だけではない。伝統技術を用いながら現代のニーズに応える新しいものを生み出す取り組みも続けている。2023年にはGOOD DESIGN AWARDを受賞。クルーズ客船「飛鳥Ⅲ」の滋賀県の部屋に設置されるアートボードに手織り生地が採用されるなど、伝統の素材が新たな文脈で評価される事例も生まれている。大阪・関西万博の滋賀魅力体験ウィークにも出展し、産地の存在を国内外に発信した。

後継者の育成にも力を入れており、愛荘乃麻や苧引き体験といったイベントも定期的に開催。本藍染めストール制作や洋裁レッスンなど、麻という素材の可能性を横断的に探る企画も行われている。

産地直営ショップと公式オンラインショップ

「麻だからできる」にこだわる産地施設ならではの専門店も併設されており、近江上布をはじめとした麻織物製品やオリジナルブランド商品を直接手に取ることができる。リネン100%のハンカチをはじめ、産地を知り尽くした目線で選ばれた品が揃う。公式オンラインショップも展開しているため、来館後も購入を続けることが可能だ。

アクセス

滋賀県愛知郡愛荘町(麻織物体験)

営業時間

10:00~17:00(ショップ)、10:00~16:30(織物工房)

料金目安

1,000円~2,000円

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