
なんどいや
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大分県中津市の中心部、JR中津駅から徒歩わずか5分の場所に、関西の味をそのまま持ち込んだ小さな名店「なんどいや」がある。神戸新長田で生まれ育った店主が、故郷の食文化への深い愛情を込めて営むお好み焼き店だ。九州にいながら本場の関西お好み焼き文化に出会える、旅人にも地元の人にも嬉しい一軒である。
「なんどいや」という名に込められた物語
店名の「なんどいや」は、店主の出身地である神戸新長田界隈で日常的に使われる播磨弁のひとつ。標準語の「何ですか」にあたる言葉で、大阪の「さかいに」、京都の「どすえ」と並んで、昔から近畿三都を代表する方言として全国的に知られてきた表現だ。
この一言には、店主が育った神戸という街への敬意と郷愁が凝縮されている。大分県中津市という九州の地に根を張りながらも、関西の言葉や食文化を誇りを持って伝え続けているのが、この店の根幹にある姿勢だ。店に一歩足を踏み入れた瞬間から漂う関西の空気感は、すでにこの店名の中に宿っている。地名でも人名でもなく、方言をそのまま屋号にするという選択には、食よりも先に「文化を伝えたい」という店主の気概が感じられる。
本場仕込みの関西お好み焼き
「なんどいや」の主役は、なんといっても関西スタイルのお好み焼きだ。外側はカリッと香ばしく、内側はふんわりとやわらかく焼き上げる技法は、関西では当たり前のようでいて、実はかなりの技術と経験を要する。生地の配合、火加減の調整、鉄板に押さえつけるタイミング——これらすべてが絶妙に組み合わさって初めて、あの理想的な食感が生まれる。
仕上げに使うのは神戸から取り寄せた地ソース。大量生産品の甘ったるいソースとは一線を画す、コクと深みのある味わいが、焼き立ての生地全体に絡みつく。鼻をくすぐる香ばしい香りとともに鉄板のまま運ばれてくるお好み焼きは、一口食べた瞬間に「本物だ」と実感させてくれる。これは単なる郷愁ではなく、素材と製法への妥協のなさが生み出す確かな味だ。
価格帯は¥680〜¥2,000ほど。リーズナブルな設定でありながら、食材や調理へのこだわりは一切落としていない。
神戸のソウルフード「ぼっかけ」も堪能できる
お好み焼きと並んで注目したいのが、神戸長田発祥のソウルフード「ぼっかけ」だ。牛すじとこんにゃくをじっくりと煮込んだこの料理は、神戸では家庭でも食堂でも定番の味として親しまれてきた。長田の下町文化に根ざした素朴でありながら滋味深い料理で、関西以外の地ではなかなか本格的なものに出会う機会がない。
「なんどいや」では、このぼっかけをはじめとする一品料理も充実している。お好み焼きの合間につまんだり、食事の締めくくりとして楽しんだりと、使い方は自由だ。焼そばやたこ焼きといった鉄板メニューも揃っており、グループで訪れて色々とシェアしながら食べるスタイルにも対応している。
ドリンクには神戸ワインも用意されている。お好み焼きに赤ワインという組み合わせは意外に思えるかもしれないが、神戸の地ソースのコクと赤ワインのほどよい酸味は実によく合う。一品料理をつまみに神戸ワインを一杯——そんな大人のひとときを楽しめるのも、この店ならではの魅力だ。
気軽に使えるアットホームな雰囲気
「なんどいや」は、地域に根ざした小さな店ならではのアットホームな空気に包まれている。大きな鉄板でお好み焼きが焼かれていく様子を間近で見られるのも、こうした規模の店ならではの楽しみだ。焼き上がりを待つ時間も、生地が焼ける音と香りを楽しみながら過ごせる。
一人でフラリと立ち寄るランチにも、友人や家族とのカジュアルな食事にも向いている。気張らず、でもしっかりと満足できる——そういった日常の延長線上にある食事処として、地元の常連客に愛されているのが伝わってくる。
テイクアウトにも対応しているのも嬉しい点だ。中津観光の途中に立ち寄り、焼きたてのたこ焼きやお好み焼きをテイクアウトして、近くの公園や宿でいただくというスタイルも十分に楽しめる。
アクセスと予約・営業情報
住所は大分県中津市中殿485-1。JR中津駅から徒歩約5分という利便性の高いロケーションにある。車での来店の場合、店前に2台分の駐車スペースがあるほか、店裏の駐車場(⑥番)も利用可能だ。
営業時間は12:00〜20:00で、ランチタイムから夕方まで対応している。定休日は不定休のため、遠方から訪れる際は事前に電話(0979-77-5269)で営業状況を確認しておくと安心だ。予約や問い合わせも同じ番号で受け付けている。
中津観光と合わせてめぐる
中津市は「唐揚げの聖地」として全国的に名高い街だが、「なんどいや」が提供するのはそれとはまったく異なる食の魅力だ。九州の地にいながら、本場の関西お好み焼き文化と神戸の食を体験できるというのは、旅の食体験としても記憶に刻まれる。
店の周辺には中津城、合元寺(通称・赤壁)、福沢諭吉旧居といった歴史的なスポットが点在しており、観光の流れの中で自然と立ち寄れる位置にある。歴史の街・中津をひと通り歩き回った後、「なんどいや」でカリッフワッのお好み焼きをほおばる——そんなシンプルな旅の締めくくりが、この店には似合っている。神戸から大分へと渡ってきた食文化が、今もこの街に静かに根付いている。その事実だけで、食べる前からすでに物語がある。
アクセス
JR中津駅から徒歩5分
営業時間
12:00〜20:00、定休日: 不定休
料金目安
¥680〜¥2,000
店舗詳細
- 価格帯
- $
- 対応言語
- 日本語
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