有馬温泉の湯めぐり体験
兵庫県神戸市の奥座敷・有馬温泉は、山に抱かれた小さな温泉街でありながら、1,300年以上の歴史を持つ日本有数の名湯の地です。「金泉」と「銀泉」という二種類の個性豊かな温泉を一度に楽しめる、まさに湯好き垂涎の場所といえるでしょう。
日本最古の名湯が刻む、深い歴史
有馬温泉の歴史は、7世紀の飛鳥時代まで遡ります。日本最古の歴史書のひとつ『日本書紀』にも記されたこの湯は、舒明天皇・孝徳天皇といった歴代天皇が行幸した記録が残る、まさに皇室にも愛された古湯です。
なかでも有馬と深く結びついた歴史上の人物といえば、戦国時代の天下人・豊臣秀吉です。秀吉はこの地を「日本一の温泉」と称し、生涯に9度も訪れたと伝えられています。温泉街には「太閤の湯殿館」という博物館があり、発掘調査で出土した秀吉時代の浴槽跡や遺構を見学することができます。歴史好きな旅行者にとって欠かせない立ち寄りスポットです。
有馬温泉は草津温泉(群馬県)・下呂温泉(岐阜県)と並び「日本三名泉」のひとつに数えられ、また「日本三古湯」にも選ばれています。その名声は千年以上にわたって受け継がれてきたものであり、一度訪れれば納得の奥深さがあります。
金泉と銀泉、二つの名湯の魅力
有馬温泉最大の特徴は、性質のまったく異なる二種類の温泉が同じ温泉地で楽しめることです。
「金泉(きんせん)」は鉄分とナトリウムを豊富に含む塩化物泉で、空気に触れると酸化して赤褐色になることからその名が付きました。湯に浸かると身体の芯からじっくりと温まり、保温効果が高いのが特徴です。神経痛や筋肉痛、慢性疲労に効果があるとされ、湯上がり後も長く温かさが続きます。浴槽の縁や壁には独特の鉄錆色の析出物が積み重なっており、長い年月で培われた湯の力を目で感じることができます。
一方「銀泉(ぎんせん)」は炭酸泉とラジウム泉の総称で、無色透明な湯です。炭酸ガスが皮膚から吸収されることで血行を促進し、肌がすべすべになる美肌効果で知られています。金泉とは対照的なさっぱりとした入り心地が魅力で、湯めぐりの際には金泉の後に銀泉で締めるコースが人気です。
湯めぐりの中心となるのが、日帰り入浴ができる「金の湯」と「銀の湯」の二つの外湯施設です。「金の湯」は温泉街の中心部に位置し、赤茶けた湯色と濃厚な泉質が訪れる人を圧倒します。「銀の湯」は少し坂を上った場所にあり、落ち着いた雰囲気の中で銀泉をゆったりと楽しめます。両施設の共通入浴券も販売されているので、ぜひセットでの利用がおすすめです。
温泉街の散策と名物グルメ
湯めぐりと合わせてぜひ楽しみたいのが、風情ある温泉街の散策です。石畳の細い路地に土産物屋や飲食店が軒を連ねる有馬の街並みは、どこか懐かしく温かみがあります。
有馬温泉の名物といえば「炭酸せんべい」が筆頭に挙げられます。銀泉の炭酸水を生地に使った薄焼きせんべいは、軽い食感と素朴な甘さが特徴。街を歩くと焼きたての香ばしい香りが漂い、多くの店が手焼き実演販売を行っています。また、有馬の炭酸泉から生まれた「有馬サイダー」は、明治時代に日本で最初に製造された炭酸飲料とも言われており、温泉街の雰囲気にぴったりの懐かしい味わいです。
温泉街には足湯スポットも複数点在しており、散策の途中で気軽に足を浸けて疲れを癒せます。「太閤橋」周辺の足湯は特に人気が高く、無料で利用できるため観光客で常ににぎわっています。
季節ごとの楽しみ方
有馬温泉は一年を通じて楽しめますが、季節ごとに異なる表情が魅力です。
春は山の新緑が温泉街を包み、瑞々しい緑の中で湯に浸かる開放感が格別です。夏は神戸の市街地より気温が低く、避暑地としての顔も持ちます。夕暮れ時に外湯でひと風呂浴びた後、浴衣姿で涼しい夜風に当たりながら散策するのが夏の醍醐味です。
秋には六甲山系を彩る紅葉が温泉街を美しく染め上げ、紅葉見物と湯めぐりを組み合わせた「紅葉湯めぐり」として多くの観光客が訪れます。特に11月中旬から下旬にかけてが見頃です。冬は寒さが増すほどに温泉のありがたさが身に染み、雪景色の中に湯けむりが立ち上る風情は、温泉情緒の極致ともいえます。年末年始や正月の湯治文化も今に受け継がれています。
アクセスと周辺情報
有馬温泉へのアクセスは非常に便利です。神戸三宮から神戸電鉄を利用して約30分、大阪梅田からも阪急・神戸電鉄を乗り継いで約1時間と、関西主要都市からの日帰り圏内にあります。また、神戸市営地下鉄と神戸電鉄を組み合わせることもできます。車の場合は阪神高速・神戸北ICから約5分とアクセスが良好ですが、温泉街は道が狭いため、専用駐車場への駐車が推奨されています。
温泉街から近い六甲山一帯では、六甲山植物園や六甲高山植物園の散策、六甲山頂からの神戸市街や大阪湾を望む絶景など、観光スポットも充実しています。有馬温泉での宿泊を拠点に、六甲山観光とセットで楽しむ旅程も人気です。温泉地としての風情と神戸・大阪へのアクセスの良さが両立している有馬温泉は、関西旅行で必ず訪れたい名所のひとつといえるでしょう。
アクセス
神戸電鉄有馬温泉駅から徒歩5分
営業時間
金の湯8:00〜22:00
予算内訳
大人
¥750
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