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箱根彫刻の森美術館

箱根彫刻の森美術館

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箱根の雄大な自然の中に広がる「箱根彫刻の森美術館」は、訪れるたびに新しい発見と感動をもたらしてくれる、日本を代表する野外美術館だ。アートと自然が渾然一体となったこの空間は、美術館という言葉のイメージを軽やかに超えていく。

日本初の野外美術館として歩んできた半世紀

箱根彫刻の森美術館は1969年8月、日本で最初の野外美術館として開館した。高度経済成長期の終盤、人々が文化的な豊かさを求め始めた時代に誕生したこの美術館は、「アートをもっと身近に、自由に楽しんでほしい」という理念のもとに設計された。

約7万平方メートルにおよぶ広大な敷地は、仙石原の緑豊かな丘陵地帯に広がっている。箱根登山鉄道の彫刻の森駅から徒歩わずか2分という好立地でありながら、一歩足を踏み入れると都市の喧騒とは無縁の静寂が訪れる。開館から半世紀以上が経過した現在も、年間約50万人以上の来場者を迎える箱根屈指の観光スポットとして、その人気は衰えることがない。

世界的彫刻家たちの作品が織りなす野外展示

美術館の最大の魅力は、箱根の山々と青空を背景に、近現代の彫刻約120点が屋外に点在する圧倒的な景観にある。イギリスを代表する彫刻家ヘンリー・ムーアの有機的な曲線を持つ作品群は、緑の芝生の上に置かれることで、まるでそこに生えてきたかのような自然な佇まいを見せる。フランスの巨匠オーギュスト・ロダンの力強い人体表現も、屋外という開放的な環境の中では、美術館の白い壁の前とはまったく異なる生命力を放っている。

また、地元・箱根の自然石を用いた日本人作家の作品も多数展示されており、和と洋、伝統と現代が交差するユニークな空間が形成されている。芝生の広場に点在する作品を巡りながら歩くこと自体が一種のアート体験であり、訪れる人それぞれが自分だけの鑑賞ルートを発見できる自由さが、この美術館の真骨頂といえるだろう。

ピカソ館──300点超が語る天才の多面性

屋内施設の中でも特に注目を集めるのが、館内にある「ピカソ館」だ。スペインが生んだ20世紀最大の芸術家パブロ・ピカソの作品を専門に展示するこの館には、陶器、版画、リトグラフ、絵画など300点以上の作品が収蔵されている。

ピカソの作品と聞くと、抽象的で難解なキュビスムの絵画を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、ピカソ館の展示は彼の芸術活動の幅広さを改めて教えてくれる。日用品にも見えるような陶器の皿や壺に描かれた躍動的な模様、版画特有の力強い線描、晩年に至るまで衰えを知らない創造性——それらを間近で見ていると、いかに彼が生涯を通じて表現を探求し続けた芸術家であったかが伝わってくる。

ピカソ館は常設展に加え、定期的に特別展示も行われるため、リピーターにとっても毎回新しい発見がある施設となっている。

「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」──光と色のシンフォニー

美術館を象徴するランドマーク的存在として、多くの来場者が最初に足を向けるのが「ネットの森」とも呼ばれるステンドグラスの塔「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」だ。18メートルの高さを誇るこの作品は、外部から眺めると鮮やかなガラスモザイクが陽光を受けて輝き、内部に入ると色とりどりの光が螺旋状の階段を照らし出す幻想的な空間が広がっている。

塔の内側を見上げると、まるで万華鏡の中に迷い込んだかのような感覚を覚える。階段を上るたびに変化する光の色と模様は、何度訪れても飽きることがなく、写真映えする絶好のスポットとしてSNSでも広く知られるようになった。特に晴れた日の午前中から昼過ぎにかけては、光の差し込み方が最も美しく、鮮やかな色彩のシャワーを存分に楽しめる。

季節ごとに変わる表情──一年を通じて楽しめる美術館

箱根彫刻の森美術館は、四季折々の自然と彫刻作品の組み合わせが楽しめる点でも唯一無二の存在だ。

春は、桜や菜の花が咲き乱れる中に彫刻が佇む柔らかな景観が広がり、家族連れや写真愛好家で賑わう。夏は緑が鮮やかに茂り、木陰を縫うように作品を巡る散策が心地よい。秋は紅葉が敷地全体を赤や黄金色に染め、彫刻と色づいた葉のコントラストが息をのむほど美しい。冬は空気が澄み渡り、雪をまとった彫刻が幽玄な雰囲気を醸し出す。

また、美術館では年間を通じてさまざまな企画展や体験イベントが開催される。子ども向けのワークショップから、著名アーティストとのコラボレーション企画まで、常に新しいコンテンツが来場者を迎えている。

足湯カフェで一息──アートと癒しの融合

広い敷地を歩き回った後は、ぜひ「足湯カフェ」で一息つきたい。箱根らしい源泉かけ流しの足湯に浸かりながら、コーヒーや軽食を楽しめるこの施設は、美術館の中でも特に人気が高い。足元から温まる心地よさの中、眼前に広がる彫刻と自然の風景を眺めていると、日常の疲れがじわじわと溶けていく感覚を覚える。

足湯カフェは美術館の入場チケットがあれば追加料金なしで利用できる(タオルは有料)。カフェのメニューには地元食材を使ったスイーツも並ぶ。アートと温泉という箱根ならではの組み合わせを、気軽に体験できる場所として、多くの旅行者に愛されている。

美術館の周辺にはガラスの森美術館や箱根湿生花園など、個性豊かな観光施設が点在しており、1日かけてエリアを巡る旅のプランを立てやすい。箱根登山鉄道の彫刻の森駅を起点に、仙石原方面や芦ノ湖方面への移動もスムーズだ。美術に造詣が深い人はもちろん、「普段は美術館に行かない」という人にとっても、開放的な野外空間と多彩な体験が待つ箱根彫刻の森美術館は、きっと特別な記憶を刻んでくれる場所になるはずだ。

アクセス

箱根登山鉄道彫刻の森駅から徒歩2分

営業時間

9:00〜17:00

料金目安

¥1,600(入館料)

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