
HAGI
GALLERY
福島県いわき市に佇むフランス料理店HAGIは、「福島の食材と生産者への想い」を料理の核に据え、シェフ萩春朋がひとりで全工程を担う一夜限りの食卓を提供する場所だ。エリゼ宮の厨房に立った唯一の日本人シェフが、今もいわき市を拠点に選び続ける理由は、この土地の「命の鮮度」にある。
「畑の味」という料理哲学
HAGIが掲げる理念は「畑の味」——天・地・人が作り出す食材そのものの力を引き出すことだ。自然と向き合いながら農を営む生産者の食材は、いつも一定ではない。いい時もそうでない時も、生産者と共に食材に寄り添いながら料理することを、シェフは自らの使命と捉えている。
その中心にあるのが「鮮度は命の時間」という考え方だ。漁港まで車で15分、畑まで10分という豊かな立地で気づいたのは、食材の「命」をそのまま食べていただくことの意義だった。畑の水分、海の水分——時間とともに失われていくその瞬間の味わいは、熟成によって旨味は増しても、鮮度という「命」は取り戻せない。だからこそHAGIでは、その出会いの一期一会を皿に込める。
土と薪が補う旨味
鮮度を最前面に出しながら、それだけでは届かない旨味の層はどう積み上げるか。その答えが土と薪だ。何ヶ月も土中のミネラルを吸収して育った野菜たちは、土の旨味を自ら蓄えている。それでも不足する部分を薪が補う。薪火は素材の水分を奪わず、焦げることもない——強く見えて優しい火だ。鮮度・野菜・薪の三位一体から「畑の味」が生まれる、という緻密な調理哲学がHAGIの料理を支えている。
国際的評価を受けたシェフ、萩春朋
シェフ萩春朋はいわき市生まれ。辻調理専門学校フランス校料理学科を1996年に卒業後、フランスで修業を重ねた。2013年9月にはパリのマンダリン・オリエンタル・ホテルでHAGIフェアーを開催。同年10月には、フランス共和国大統領府官邸エリゼ宮の厨房に日本人として初めて入り、福島の食材を用いてオランド大統領に食事を提供した。さらに同月、モナコ公国宮殿ではアルベール大公への食事も担った。
国内でも、2014年に農林水産省の料理人顕彰制度「料理マスターズ2014」、2016年にいわき市農業貢献賞、2018年の第8回太平洋島サミットでは内堀福島県知事主催の昼食会を担当。2020年には「料理マスターズシルバー賞」を受賞と、国内外で高い評価を受け続けている。これだけのキャリアを持つシェフが、故郷いわきを離れずに地域の生産者と向き合い続けている事実が、HAGIという店の根幹を物語る。
福島の食材と信頼する生産者
牛肉は福島県二本松市のエム牧場に依頼している。同牧場では黒毛和牛のほか、福島県内でも数少ない短角牛、そして黒毛和牛と短角牛を掛け合わせた「短黒牛」を取り扱う。車で1〜2時間圏内で揃う「常磐物」と呼ばれる近海・近郊の食材を中心に、シェフが直接関係を結んだ生産者から届く素材が料理の土台となっている。
震災後10年間は1日1組の営業を貫き、回復途上の福島食材を1組のお客様のために精一杯用意してきた。現在は山の幸も海の幸も大きく回復したいわきの食の豊かさをより多くの方に届けたいという想いから、シェフひとりで対応できる最大10名様のご予約を受け入れる体制に移行している。
オープンキッチンで体験する一夜限りの食卓
店内はオープンキッチン。シェフが料理をする姿を目の前に、料理の温度や香りも含めて五感で楽しみながら食事ができる。シェフひとりで全員分を同時に仕上げるスタイルのため、ご予約のお客様は一斉スタートとなる(開始時間は18:30〜または19:00〜)。ご予約のお時間の15分前からオープンとなるため、時間に余裕を持っての来店が求められる。貸し切りについては相談に応じている。
アクセス
福島県いわき市内郷御台境町鬼越171-10
営業時間
ご予約スタート時間 18:30~ または 19:00~(予約制)
店舗詳細
- 対応言語
- 日本語
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