水戸の空にひときわ高くそびえる銀色の塔——水戸芸術館シンボルタワーは、茨城県の県庁所在地・水戸市のシンボルとして、訪れる人々に強烈な印象を与え続けています。
水戸市100周年の夢を体現した高さ100メートルの塔
水戸芸術館は1990年(平成2年)に開館した複合文化施設で、コンサートホール、劇場、現代美術ギャラリーという三つの専門施設を擁しています。その中でもひときわ目を引くのが、施設のシンボルとして建設されたこのタワーです。高さはちょうど100メートル——これは偶然ではなく、水戸市制100周年を記念して設定された数字です。市の歴史の重みと未来への希望を、1メートルごとに積み上げていくかのような、象徴的なデザインコンセプトです。
設計を手がけたのは、世界的な建築家・磯崎新氏。彼は水戸芸術館の建築全体を担当しており、このタワーにもその独特の哲学が息づいています。「芸術と文化を通じて、都市が無限に発展していく」——そのビジョンを建築として具現化したのが、このシンボルタワーです。
三重らせんが空へ——チタン外装の未来的デザイン
タワーの外観を見た瞬間、多くの人が「これは何だろう?」と首をかしげるかもしれません。一般的な展望台のような円柱型でも、オフィスビルのような直方体でもない、独特なフォルムがそこにあります。
構造の基本単位は「1辺9.6メートルの正三角形」です。この正三角形57枚が構成する正四面体を規則的に積み重ねることで、全体のシルエットが作り出されています。さらにその稜線をたどっていくと、三本のラインが螺旋を描きながら天へと伸びていく「三重らせん」の形が浮かび上がってきます。これが「無限に発展する水戸」を象徴するデザインです。
外装に使われているのはチタン製のパネルで、厚さはわずか1.5ミリメートル。軽量でありながら耐久性に優れ、独特の光沢を放つチタンの素材感が、このタワーに未来的な印象を与えています。昼間は青空を背景に銀色に輝き、夜間はライトアップによって幻想的な表情を見せます。季節や時間、天気によって刻々と変わるその姿は、まるで生きているアート作品のようです。
ガラス張りエレベーターで体感する内部構造の美
タワーは内部が4階建て構造になっており、一般来場者が訪れることができるのは展望室(3階)までです。地上から展望室まで、利用するのはガラス張りのエレベーター。乗り込んだ瞬間から、タワーの内部構造が眼前に広がります。
外からは把握しきれないタワーの骨格——鉄骨が複雑に交差し、螺旋を描きながら上昇していく様子を、移動しながらリアルタイムで観察できるのです。「乗るだけで面白い」と評されるこのエレベーター体験は、ただ景色を見るだけでなく、建築そのものを体感するという稀有な経験を提供してくれます。
展望室は高さ86.4メートルに位置し、定員は19名。水戸市内はもちろん、天候に恵まれれば遠く太平洋まで見渡せる大パノラマが広がります。水戸の市街地を俯瞰すると、城跡公園の緑や那珂川の流れ、遠くに霞む筑波山の姿など、茨城の自然と都市が織りなす景色を一度に楽しむことができます。
訪問前に知っておきたい入場情報
タワーの入場料は大人200円、小中学生100円とリーズナブルな設定です。美術館やコンサートホールの鑑賞料と比べても手ごろな価格で、観光の立ち寄りスポットとして気軽に訪れることができます。
入場時間は平日が9時30分から18時まで、土日祝日は9時30分から19時まで。ただし悪天候の際は営業を中止することがありますので、訪問前に確認しておくと安心です。
また、地域住民に向けた配慮も充実しています。水戸市内および近隣市町村(笠間市・ひたちなか市・那珂市・小美玉市・茨城町・大洗町・城里町・東海村)に在住の65歳以上の方は、証明書の提示で入場料が免除されます。同様に、各種障害者手帳や指定難病特定医療費受給者証をお持ちの方とその付き添いの方も入場料免除の対象です。子どもの日(5月5日)は小中学生の入場が無料になるなど、家族で楽しめるサービスも展開されています。
水戸観光の拠点として——芸術館全体を楽しむ
シンボルタワーを訪れる際は、水戸芸術館の敷地全体を合わせて楽しむことをおすすめします。タワーを含む施設は水戸市中心部、五軒町に位置しており、水戸駅からも徒歩圏内でアクセスできます。
施設内のATM(芸術塔前広場)では、オープンエアの空間を楽しみながらタワーを様々な角度から眺めることができます。特に夕暮れ時や夜間のライトアップは必見で、昼間とはまったく異なる表情を見せます。撮影スポットとしても人気が高く、SNSで水戸の写真を検索すると、このタワーのライトアップ写真が数多く登場するのはそのためです。
現代美術ギャラリーでは国内外の現代アートの企画展が定期的に開催されており、コンサートホールや劇場では音楽・演劇・ダンスなど多様な公演が行われています。アートとカルチャーを存分に楽しめる水戸芸術館は、水戸観光の中心的な拠点として、年間を通じて多くの来館者を迎え続けています。
シンボルタワーへの問い合わせは電話029-227-8111まで。水戸を訪れた際には、ぜひこの唯一無二の建築体験を味わってみてください。
Access
水戸駅から徒歩圏内
Hours
平日 9:30~18:00、土・日・祝日 9:30~19:00(悪天候時は営業中止)
Budget
入場料 大人 200円、小中学生 100円
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