北海道の港町・小樽を訪れるなら、必ず足を運んでほしい場所がある。メルヘン交差点から小樽運河方面へと続く堺町通り商店街は、明治・大正時代の石造り建築が軒を連ねる小樽随一の観光ストリートだ。ガラス工芸やスイーツ、地元グルメが集まるこの通りは、訪れるたびに新しい発見がある。
明治・大正ロマンが息づく歴史の街並み
小樽堺町通り商店街の歴史は、小樽が北海道経済の中心地として栄えた明治時代にさかのぼる。当時、小樽は「北のウォール街」と呼ばれるほど金融・商業が盛んで、全国各地から商人や銀行が集まった。堺町通りに現在も残る石造りの倉庫や商家建築は、その繁栄の証である。
煉瓦や石を用いた重厚な建物は、北海道の厳しい冬を乗り越えてきた堅牢さと、当時の商人たちの気概を今に伝えている。国の登録有形文化財や歴史的建造物に指定された建物が点在しており、通りを歩くだけでまるで時代を遡ったような感覚を味わえる。現在はその歴史的な外観を保ちながら、ショップやカフェ、工房として活用されており、歴史と現代の暮らしが自然な形で融合している。
通りの南端にあたる「メルヘン交差点」は、オルゴール堂や六花亭などが建ち並ぶ商店街のシンボル的な場所。大きなオルゴールの塔が目印で、記念撮影スポットとしても人気が高い。
小樽ガラスとオルゴール——伝統工芸の魅力
堺町通りを語るうえで欠かせないのが、小樽ガラスとオルゴールの存在だ。小樽のガラス工芸は、明治時代に漁業用の浮き玉(ガラス製の漁具)を製造していた技術が発展したもの。漁業が機械化されてガラス浮き玉の需要が減少すると、職人たちはその技術を活かして工芸品の製作へと転換した。こうして生まれた「小樽ガラス」は、今や北海道を代表する伝統工芸のひとつとなっている。
通り沿いには複数のガラス専門店が立ち並ぶ。「北一硝子」は老舗として知られ、石油ランプやグラス、アクセサリーなど幅広い製品を取り扱っている。店舗内ではランプの灯りが幻想的な雰囲気を演出しており、見学するだけでも楽しめる。また、吹きガラス体験を提供している工房もあり、自分だけのオリジナル作品を作ることができる。
オルゴールでは「小樽オルゴール堂」が有名で、国内最大級のオルゴール専門店として広く知られている。アンティーク調の外観が印象的な本館は、明治45年(1912年)に建てられた歴史的建造物を活用したもの。店内には数千種類ものオルゴールが展示・販売されており、やさしい音色が店内に響き渡る様子はとても心地よい。オリジナルのオルゴールを注文できるサービスもあり、旅の思い出にふさわしい特別なおみやげとなる。
スイーツと地元グルメを食べ歩く
小樽堺町通りはグルメの宝庫でもある。北海道の豊かな食材を使ったスイーツや料理が揃い、歩きながら食べ比べを楽しむのが定番の過ごし方だ。
「六花亭小樽店」は、マルセイバターサンドをはじめとする北海道銘菓を購入できる人気店。店内で焼きたてのお菓子をいただけるのも嬉しい。「ルタオ(LeTAO)」は小樽発のパティスリーで、看板商品のダブルフロマージュチーズケーキは全国的にも有名。本店や関連店舗がこの通り沿いにあり、カフェスペースで出来たてのスイーツをゆっくり楽しむことができる。
海産物を使ったグルメも見逃せない。新鮮な海の幸を使ったお寿司や海鮮丼のほか、北海道名物のじゃがポックルや海産物加工品なども商店街の各店で購入できる。食べ歩き用のスナックを手に持ちながら、歴史ある石造りの街並みを散策するのは、堺町通りならではの楽しみ方だ。
四季折々の顔を見せる堺町通り
堺町通りは季節ごとにまったく異なる表情を見せる。それぞれの季節に合った楽しみ方があるのも、この商店街の大きな魅力のひとつだ。
夏(6〜8月)は観光のベストシーズン。日が長く気候も過ごしやすいため、ゆっくりと通りを散策するのに最適だ。爽やかな海風を感じながらソフトクリームや海産物のスナックを食べ歩くのが人気の楽しみ方で、多くの観光客でにぎわう。
秋(9〜11月)になると木々が色づき、石造りの建物と紅葉のコントラストが美しい季節になる。夏ほどの混雑もなく、比較的ゆったりと散策できる穴場の時期でもある。
冬(12〜3月)は雪景色の中の堺町通りが格別だ。石造りの建物に雪が積もる様子は絵葉書のような美しさで、特に夕暮れ時にガス灯やイルミネーションが灯る頃は幻想的な雰囲気に包まれる。「小樽雪あかりの路」が開催される2月には、運河や通り沿いにキャンドルが並べられ、幻想的な光の祭典が繰り広げられる。防寒対策をしっかりして訪れれば、冬ならではの特別な体験ができる。
春(4〜5月)は雪解けとともに街が息を吹き返す季節。観光シーズンの開幕を告げる時期で、清々しい空気の中での散策が楽しめる。
アクセスと周辺の見どころ
小樽堺町通り商店街へのアクセスは便利だ。JR小樽駅から徒歩約15分、または小樽駅前からバスを利用することもできる。駅から運河方面に向かって歩くと、自然と堺町通りに出る。札幌からは、JR函館本線で快速「エアポート」など約32〜40分とアクセスしやすく、日帰り旅行にも最適な距離だ。
周辺には小樽観光の定番スポットが集中している。通りの北端からほど近い「小樽運河」は、明治・大正期の石造り倉庫群が立ち並ぶ国内屈指の観光スポット。遊歩道を歩きながら運河と倉庫の風景を楽しんだり、運河クルーズで水上から眺めたりすることができる。「小樽芸術村」では明治から昭和初期にかけての歴史的建造物を活用した美術館・博物館が集まり、ステンドグラスや西洋美術の展示が楽しめる。
堺町通り商店街は、小樽観光の中心として機能しており、ここを起点に小樽の見どころを効率よく巡ることができる。歴史ある建築物を眺めながらショッピングやグルメを楽しみ、徒歩で運河や周辺スポットへとアクセスできる絶好のロケーションにある。北海道旅行の際には、ぜひ時間に余裕を持って訪れ、小樽の魅力をたっぷりと味わってほしい。
Access
小樽駅から徒歩圏内
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