東京・浅草を代表する顔として、国内外から多くの旅行者が訪れる雷門。赤い大提灯と風神・雷神像が迎えるその姿は、写真や映像で見慣れていても、実際に立つと圧倒的な存在感を放っている。浅草観光の起点として、また東京を象徴する歴史的建造物として、この門が持つ歴史と見どころを詳しく紹介しよう。
雷門とは――浅草寺の総門「風雷神門」
雷門は、金龍山浅草寺の境内へと続く総門である。正式名称は「風雷神門(ふうらいじんもん)」といい、門の左右に風神と雷神を祀ることからこの名がついた。一般に「雷門」の名が広まったのは文化年間(1804〜1818年)頃のこととされており、当時の川柳にも「雷門」という名称が登場することから、江戸の庶民の間ではすでにこの呼び方が定着していたようだ。
創建の正確な年代は不明だが、平公雅が天慶5年(942年)に浅草寺の伽藍を一新した際に総門を建立したと伝えられている。現在の位置に移ったのは鎌倉時代以降のことで、その際に風神・雷神が安置されたとも考えられている。風雨を司るこの二神は、風水害を除け、伽藍を守護する護法善神として祀られており、同時に風雨順時・五穀豊穣への祈りも込められている。
幾度もの焼失と再建――95年間の空白
雷門の歴史は、焼失と再建の繰り返しでもあった。寛永12年(1635年)に建てられた門は、わずか7年後の同19年(1642年)に焼失。その後、三代将軍・徳川家光の発願により慶安2年(1649年)に再建された門は、旧来の門を上回る壮麗さを誇ったという。しかしこの慶安の門も、明和4年(1767年)に駒形町からの火災で焼失してしまう。寛政7年(1795年)に再建されたこの頃から、大提灯の奉納が始まったとされる。寛政期の雷門は、歌川広重や渓斎英泉ら浮世絵師たちの好む画題となり、当時の姿を今に伝える作品が数多く残っている。
その後、慶応元年(1865年)に田原町で起きた大火により、雷門は再び焼失。この火災からなんと95年もの間、門は再建されないまま時が過ぎた。明治・大正・昭和の戦前期を通じて、浅草の入口には門のない状態が続いていたのである。
松下幸之助の寄進で蘇った現在の門
現在の雷門が再建されたのは昭和35年(1960年)のこと。その立役者は、松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助氏である。当時、関節痛を患っていた松下氏のために、浅草寺の清水谷恭順貫首がご本尊に祈願したところ、病が快復したという。その御礼として、松下氏が個人で再建費用を寄進し、95年ぶりに門が復活した。
現在の門は、江戸時代の様式を踏まえた本瓦葺き・切妻造りの八脚門で、素材は鉄筋コンクリートに合成樹脂塗装が施されている。間口11.4メートル、高さ11.7メートル、建坪は約69.3平方メートル(21坪)という堂々たる規模を誇る。その後、昭和57年(1982年)と平成25年(2013年)に塗り替え工事が行われ、現在も鮮やかな朱塗りの姿を保っている。
見どころ①――高さ3.9メートルの大提灯
雷門といえば、誰もが思い浮かべるのが「雷門」と書かれた巨大な赤い提灯だろう。この大提灯は高さ3.9メートル、幅3.3メートル、重さ約700キログラムという圧巻のスケールである。現在掛けられているものは令和2年(2020年)4月に掛け替えられた6代目で、正面には「雷門」の文字、裏面には「金龍山」の額が掲げられている。「金龍山」の文字は、京都・曼殊院門跡の良尚法親王の筆による模写だ。提灯の底面に目を向けると、見事な龍の彫刻が施されており、細部にまでこだわった職人の技を感じることができる。
見どころ②――風神・雷神像と龍神像
門の左右に立つ風神像・雷神像は、この門の守護神である。慶応の火災では像の頭部のみが焼失を免れ、明治7年(1874年)に塩川運玉氏の手によって胴体部分が補刻された。昭和35年の門再建の際には、森大造・萩原雅春両氏により修補・彩色が施され、現在の姿となっている。風神の高さは2.18メートル、雷神は2.09メートルで、いずれも存在感あふれる力強い造形だ。
さらに、門の背面(北の間)には天龍像と金龍像が安置されている。これらは昭和53年(1978年)に松下グループ有志の寄進によって奉納されたもので、平櫛田中・菅原安男両氏が謹刻した。天龍は高さ2.93メートル・重さ250キログラムの男性像、金龍は高さ2.74メートル・重さ200キログラムの女性像で、ともに木曾檜造り。水を司る龍神として浅草寺の護法善神とされており、訪れた際はぜひ門の裏側も確認してほしい。
アクセスと周辺の歩き方
雷門は東京都台東区浅草2丁目3番1号に位置し、東武スカイツリーライン「浅草駅」から徒歩約1分、東京メトロ銀座線「浅草駅」からも徒歩約5分とアクセスは非常に便利だ。問い合わせ先は浅草寺(03-3842-0181)。
雷門をくぐると、約250メートルにわたる仲見世通りが続き、伝統的な土産物店や食べ歩きグルメが並ぶ。その先には宝蔵門、そして浅草寺本堂へと至る。境内には五重塔や影向堂、薬師堂、淡島堂など見どころが多く、じっくり散策すれば半日は楽しめる。近くには東武浅草駅やアサヒビール本社ビルなど、下町情緒と現代が交差する浅草ならではの風景も広がっている。初めて浅草を訪れる人はもちろん、何度来ても新しい発見があるのが雷門周辺の魅力だ。
Access
東武浅草駅から徒歩圏内
Hours
Budget
RELATED SPOTS
Related Spots(3 spots)