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山形市の夕日・夕景スポット ― 盆地の西、朝日連峰に沈む夕日を望む
観光・体験
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山形市の夕日・夕景スポット ― 盆地の西、朝日連峰に沈む夕日を望む

山形の夕日は西の山なみに沈む

山形市は、東を奥羽山脈、西を朝日山地に挟まれた山形盆地(村山盆地)の底に広がる街です。東にそびえる蔵王連峰や瀧山は朝日が昇る方角で、夕日が沈むのは反対の西側。月山や朝日連峰、白鷹山といった山なみの向こうへ、太陽はゆっくりと姿を消していきます。同じ山形県でも、日本海の水平線に沈む夕日で知られる庄内地方とは対照的に、内陸の山形市の夕日はあくまで「山に沈む」のが個性です。盆地特有の地形のため、平地よりひと足早く稜線の陰に日が落ち、空だけがしばらく茜色に残ります。幾重にも連なる西の稜線に太陽が少しずつ呑み込まれていく、奥行きのある日没を味わえるのも盆地の街ならでは。空気の澄む冬は夕焼けがいっそう鮮やかに色づきます。初夏まで雪を残す月山や朝日連峰の稜線が夕日を受けて淡く赤らむ姿も、この土地ならではの眺めです。沈む位置は季節で動き、夏は北西の月山寄り、冬は南西の白鷹山寄りへと移っていきます。夕景を狙うなら、盆地を見下ろす東側の高台から西を向くのが基本です。

西蔵王公園の展望広場

夕景の王道は、市街地の東の丘陵にある西蔵王公園の展望広場です。「西蔵王」と付きますが、これは蔵王の西麓という意味で、立つ位置はあくまで街の東側。だから正面には盆地ごしに月山と朝日連峰が広がり、その方角へ日が沈んでいきます。眼下には山形市内が一望でき、日没後に広がる街あかりは東北でも指折りの美しさ。「夕景から夜景へ」の移ろいを一度に味わえるのが魅力で、ここは日本夜景遺産にも選ばれた市内随一の眺望地です。山形駅からも蔵王温泉からも車で20分ほどの中間に位置し、温泉やドライブの締めにも立ち寄りやすい立地。西蔵王高原一帯は春の大山桜(オオヤマザクラ)の名所としても知られ、季節ごとに表情を変えます。ただし積雪期はおおむね冬の間閉鎖されるため、訪れるなら雪のない季節が安心です。

芸術工科大学の裏手、悠創の丘

もう一つの西向きの高台が、上桜田の丘陵に「自然と人が共感し、創造する丘」をテーマに整備された悠創(ゆうそう)の丘です。東北芸術工科大学の裏手にあたる東側の丘で、「見晴らしの丘」「天空の丘」「感動の丘」と名づけられた開けた芝生地から、山形盆地が一面に見渡せます。視線の先には西の市街地、その向こうに月山や朝日連峰の山なみがかすみ、夕日はその方角へとゆっくり落ちていきます。日が沈んだあとは盆地一帯に街の灯が広がり、澄んだ夜には満天の星まで楽しめるのが悠創の丘の持ち味です。山形駅から車で15分ほどと近く、料金もかからず気軽に立ち寄れますが、駐車場のゲートは夜22時ごろに閉まるので、夜景まで粘るなら時間に余裕を持って訪れてください。

馬見ヶ崎川の河川敷

もっと気軽に夕暮れを味わうなら、市街地を流れる馬見ヶ崎川の河川敷へ。蔵王に源を発して盆地を下るこの川の堤に立つと、正面の西の空に月山、右手に葉山、左奥に朝日連峰がうっすらと連なり、その上を夕日が染めていきます。さえぎる物の少ない広い河原は空が大きく見え、夕焼けの移ろいを存分に眺められます。中心部から車で10分弱、全長2.3kmの桜並木が続き、春は花のトンネルとライトアップが彩り、毎年9月には双月橋あたりの広い河原で、直径6mを超える大鍋を重機で仕込む「日本一の芋煮会フェスティバル」も開かれます(村山地方の芋煮は牛肉と醤油で仕立てるのが伝統です)。空が大きく開ける、山形ならではの河川敷です。仕事帰りにふらりと夕涼みをしながら空を眺める、そんな日常の夕景がここにあります。

盃山

街にいちばん近い夕景の山が、馬見ヶ崎川のほとりにそびえる盃山です。盃を伏せたような山容が名の由来で、標高は270mほど。中心部から歩いて取り付ける手軽さで、山頂までは30分ほどの道のり。山頂の古峯神社のあたりからは眼下に山形の街、その先に朝日連峰や白鷹山の稜線が望めます。短時間で登れるので、夕方に上がって西へ傾く日を見送り、暮れていく盆地の灯を眺めてから下りる、という楽しみ方がしやすい山です。古くから千歳山とともに市民に親しまれ、市街地にいちばん近い夜景の名所としても知られています。ただし山道なので、暗くなってからの下りに備えて懐中電灯を用意しておくと安心です。

千歳山

街のどこからでも目に入るおむすび型のシンボルが、東側にそびえる標高471mの千歳山です。夕方になると、西から差す光を正面に受けて山肌がほんのりと赤く染まり、街の背景として夕映えの景色をつくります。山頂の展望台まで登れば、今度はこちらが見る側になり、盆地ごしに西へ沈む夕日を見渡せます。南麓の平清水は、千歳山の原土を使う焼き物「平清水焼」の里として知られ、阿古耶姫と松の精の悲恋伝説も伝わる、山形市民に親しまれてきた里山です。

暮れどきの楽しみ方

街の西寄り、須川に近い西公園は、視界をさえぎる高い建物が少なく、開けた空の下で夕暮れをのんびり過ごせる場所です。芝生や足湯があり、夕涼みがてら腰を落ち着けるのに向きます。中心部の七日町や霞城公園のあたりでも、ビルの切れ間から西の山なみへ日が落ちていくのが見えます。山形盆地は1933年に当時の国内最高気温40.8度を記録したほど夏の暑さで知られ、フェーン現象で熱がこもりやすい土地。だからこそ日が傾いてからの川辺や高台での夕涼みは、ひときわ心地よく感じられます。西蔵王・悠創の丘・盃山・千歳山は車での移動が便利で、馬見ヶ崎川や西公園は中心部からも近く立ち寄りやすい場所です。夏は19時近くまで、冬は16時台には日が傾くなど季節差が大きいので、日没時刻を調べて少し早めに着くのがおすすめ。高台は冬季に閉鎖や積雪があり寒さも厳しいので、防寒と足元の備えをしてから出かけましょう。盆地をぐるりと囲む山の端に日が落ち、街に一つ、また一つと灯がともる——それが山形ならではの夕暮れです。

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Written by

木村 さくら

アウトドアライター

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