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函館の夕日・夕景スポット — 二つの海に挟まれた港町で、見たい夕日から行き先を選ぶ
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函館の夕日・夕景スポット — 二つの海に挟まれた港町で、見たい夕日から行き先を選ぶ

夕日は「どっちの海」で見たいかで決まる港町

函館は、街そのものが海に突き出した独特の地形をしています。南端にそびえる函館山と、そこから北へ細く伸びる砂州(くびれ)の両側を、性格の違う二つの海が挟んでいるのです。西側が穏やかな函館湾、南側が船の行き交う津軽海峡。西の函館湾には夕日が「海にまっすぐ沈み」、南の津軽海峡側では海と空が茜色に染まる「夕景」が広がります。さらに山頂まで上がれば、その夕日が世界三大夜景の一つに数えられてきた夜景へと移り変わる瞬間まで見届けられます。函館の夕暮れは、「どんな夕日が見たいか」で、まず向かう海を選ぶのがコツです。

海にまっすぐ沈む夕日なら、函館山の裏・穴澗海岸

「水平線に沈む夕日」を正面から見たいなら、函館山の西側(裏側)に回り込んだ穴澗(あなま)海岸が筆頭です。ロープウェイで賑わう東側とは対照的に、入舟町から海へ下りたこの磯は地元でも指折りの夕日の名所で、正面に沈む太陽が海面と対岸の山々、空までを赤く染め上げます。岩場と透明度の高い海が前景になり、運がよければ沖をイルカの群れが横切ることも。函館出身のバンド・GLAYのTERUが「大切な、癒される場所」として紹介したことでも知られます。船見町のバス停から徒歩15分ほど、外国人墓地のそばを海側へ下る道のりです。同じ西部地区の海沿い、外国人墓地周辺の高台も古くからの夕日の特等席で、坂の途中には「夕日」の名を冠した喫茶店が長く親しまれてきました。

西部地区の坂と教会群を染める夕景

函館らしい夕景といえば、元町の坂と教会群のシルエットです。函館山の山麓から函館港へ向かって何本もの坂が下り、その途中にカトリック元町教会や函館聖ヨハネ教会、函館ハリストス正教会が肩を寄せ合います。なかでも八幡坂は、坂の真下に函館港と青函連絡船記念館・摩周丸を望む函館屈指の人気スポット。西へ傾いた光を背に、港と摩周丸が黒く浮かび上がる時間帯がいちばん絵になります。日没を迎えると教会群はおおむね22時ごろまでライトアップされ、夕景から夜の異国情緒へと表情を変えていきます。

立待岬は「夕日」より「夕景」

函館山の南東端、海抜30mほどの断崖が立待岬です。眼下に津軽海峡が広がり、晴れた日には対岸の下北半島・津軽半島まで見渡せます。ただしここは南向きのため、太陽が海へまっすぐ沈む様子は函館山に隠れて見えにくく、主役はむしろ「夕景」。日が傾くと海峡の水面と空、そして下北半島のシルエットが茜色に染まり、北側の函館市街や大森浜方向の眺めと合わせて、静かで雄大な夕暮れを味わえます。岬へ向かう坂の途中には、函館をこよなく愛した歌人・石川啄木の一族の墓があり、夕景の散策路に文学の余韻を添えます。市電「谷地頭」電停から徒歩15分ほど。例年11月上旬から翌3月下旬は岬へ続く道が車両通行止めになりますが、徒歩でなら冬も訪れられます。

ベイエリアと函館港、琥珀色に灯るマジックアワー

歩き疲れたら、金森赤レンガ倉庫の建ち並ぶベイエリアで夕暮れを待つのもおすすめです。函館湾に面したこの一帯は、日が落ちる頃になるとガス燈を思わせる灯りがともり、赤レンガの壁が琥珀色に染まって運河の水面が揺らめきます。海にまっすぐ沈む夕日というより、港町ならではの柔らかな黄昏どきの情景です。すぐ近くの埋立地・緑の島は外周が散策路になっており、芝生越しに函館湾と西部地区の街並みを眺めながら、人混みを離れて空の色の移ろいを追えます。

夕景から夜景へ、函館山の山頂で見届ける

函館の夕暮れの締めくくりは、やはり標高334mの函館山山頂です。展望台に立つと、函館港と大森浜に挟まれた市街が扇形(くびれ)に広がり、いちばん美しいとされるのは日没の約30分前、空が金色から紺へと刻々と変わるマジックアワー。西の函館湾に夕日が落ち、入れ替わるように街の灯りがともっていく一部始終を、同じ場所で見届けられるのが山頂の贅沢です。ロープウェイは大人往復1,800円前後が目安で、運行はおおむね10〜22時(冬期は短縮)。日没前後は混み合うので、明るいうちに上がって場所を確保しておくと安心です。

夕日を見るための実用メモ

函館は緯度が高く、日の入りの時刻に季節差が大きいのが特徴です。おおよその目安として、夏至の頃は19時過ぎ、冬至の頃は16時前後と、3時間以上の開きがあります。訪れる季節の日没時刻を事前に調べ、その30〜40分前には目当てのスポットに着いておくと、空が最も色づく瞬間を逃しません。海沿いや岬は日が落ちると一気に冷えるので、夏でも羽織るものを一枚。西部地区の坂や穴澗海岸は街灯の少ない区間もあるため、帰り道は足元に気をつけて。「海に沈む夕日」は西部地区、「海峡の夕景」は立待岬、「夕景から夜景へ」は函館山——その日の天気と気分で、自分だけの函館の夕暮れを選んでみてください。

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Written by

田中 花

和菓子研究家

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