メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
高松で過ごす静けさの旅|遍路の寺と瀬戸内の島で心を整える
ヘルスケア
8分で読める

高松で過ごす静けさの旅|遍路の寺と瀬戸内の島で心を整える

高松の静けさは「遍路の祈り」と「瀬戸内の島」にある

高松で心を整えたいなら、にぎやかな繁華街よりも、二つの「静けさ」に身を置くのがおすすめです。一つは、四国八十八ヶ所の札所が市内に点在する遍路の祈りの静けさ。もう一つは、高松港から船で渡る瀬戸内の島の、波音と風だけが響く静けさです。高松市内には屋島寺・一宮寺・根香寺という三つの霊場と、松平家ゆかりの古刹・法然寺があり、いずれも市街地から少し足を延ばすだけでたどり着けます。名所を駆け足で巡るのではなく、堂内に座り、海を眺め、ただ呼吸を整える——そんな内省の時間を過ごすための高松の歩き方を紹介します。なお、座禅会や写経の開催の有無・日時・料金は寺によって異なり変更もあるため、参加を考える場合は必ず各寺の公式情報で確認してください。

屋島の山上で海を見下ろす——第84番・屋島寺

高松市街の東にそびえる屋島は、テーブルのように平らな山頂を持つ溶岩台地です。その南嶺の山上に建つのが、四国八十八ヶ所第84番札所・屋島寺(やしまじ)。真言宗御室派の寺院で本尊は千手観音菩薩、奈良時代に鑑真和上ゆかりで開かれたと伝わる古刹です。山上の境内は木立に囲まれて思いのほか静かで、本堂や大師堂に手を合わせたあと、ベンチに腰かけて瀬戸内海を見渡せば、張りつめた気持ちがゆっくりほどけていきます。

山上へは、かつての屋島ドライブウェイ(現・屋島スカイウェイ/約3.7km)が2017年に無料化され、車でのアクセスが容易になりました。ことでん屋島駅やJR屋島駅からはバスも出ています。寺のすぐ近くには2022年に開業した展望施設「やしまーる」もあり、波穏やかな瀬戸の海と点在する島々が織りなす多島美を一望できます。夕暮れ時、暮れていく海と空のグラデーションを黙って眺める時間は、屋島ならではの静かなぜいたくです。

仏生山・法然寺で「讃岐の寝釈迦」と五百羅漢に向き合う

高松市の南、仏生山(ぶっしょうざん)にある法然寺は、1668年に高松藩初代藩主・松平頼重が建立した、高松松平家の菩提寺です。広い境内は、浄土へ至る道を説いた「二河白道(にがびゃくどう)」の教えになぞらえて造られたといわれ、黒門から続く長い参道を歩くだけでも、俗世から一歩ずつ離れていくような感覚があります。

この寺の見どころは、三仏堂に安置された立体の涅槃群像です。横たわるお釈迦さまを中心に、嘆き悲しむ人々や鳥獣がほぼ実物大で五十数体も配され、「讃岐の寝釈迦」として知られます。釈迦の入滅の場面を立体で再現したこれほどの群像は珍しく、堂内の薄暗がりのなかで像のひとつひとつと向き合っていると、生と死をめぐる静かな問いが胸に残ります。境内には五百羅漢の石仏も並び、「亡き人の面影に似た羅漢が必ずいる」と語り継がれてきました。一体ずつ表情を確かめながら歩くのは、それ自体がひそやかな瞑想の時間になります。三仏堂の拝観には拝観料が必要で(2026年時点で大人350円・公式で要確認)、拝観時間は概ね午前9時〜午後4時です。

五色台の杉木立に包まれる——第82番・根香寺

もっと深い山の静けさを求めるなら、高松市と坂出市にまたがる溶岩台地・五色台(ごしきだい)へ。その青峰(あおみね)の中腹に建つのが、四国八十八ヶ所第82番札所・根香寺(ねごろじ)です。天台宗単立の寺で本尊は千手観音。標高300メートルを超える山中にあり、参道の杉木立はひんやりと薄暗く、下界の物音が届かない別世界のような静寂に包まれています。

本堂を囲むように回廊が巡り、紅葉の名所としても知られ、秋には朱や黄に染まった木々が境内を彩ります。この寺には、人々を苦しめた怪物「牛鬼(うしおに)」を弓の名手が退治したという伝説が残り、その角と伝わるものや牛鬼を描いた掛軸が今も伝えられています。神話と山気の入りまじった独特の雰囲気のなか、深く呼吸を整えながら回廊を歩けば、街なかでは得がたい静けさに出会えます。山道のドライブを兼ねて訪ねる人も多いスポットです。

写経・座禅は「各寺の公式で要確認」——第83番・一宮寺ほか

「ただ参拝するだけでなく、自分の手と心を使って整えたい」という人には、写経や座禅といった体験が向いています。高松市一宮町の第83番札所・一宮寺(いちのみやじ)は、讃岐国一宮の田村神社に隣り合う真言宗御室派の寺で、大師堂で写経を体験できるとされています。一文字ずつ墨をのせていく時間は、雑念がそがれ、呼吸が自然と深くなる静かな営みです。

ただし、写経や座禅の受付の有無・実施日時・料金・予約の要否は寺によって異なり、変更されることもあります。「この寺で必ず座禅ができる」と思い込んで訪ねるのではなく、出かける前に各寺の公式サイトや電話で最新の情報を確認してください。体験の場でなくとも、どの札所でも、本堂の前で手を合わせ、しばらく黙って立ち止まるだけで十分に心は整います。撮影や私語を控え、他の参拝者やお勤めの妨げにならないよう静かに過ごすのが、祈りの場での基本的な作法です。

瀬戸内の島で過ごす静養——女木島・男木島・直島

寺とはまた違う静けさが、高松港から船で渡る瀬戸内の島々にあります。高松市に属する女木島(めぎじま)へは高松港からフェリーでおよそ20分、その先の男木島(おぎじま)までおよそ40分。雌雄島海運の「めおん」が、2時間に1本ほど(1日6便程度)を結んでいます。船を降りた瞬間、街の喧噪が消え、聞こえるのは波と風と鳥の声だけ。女木島では穏やかな砂浜や高台の展望、男木島では坂の路地と白い灯台の姿が、ゆったりとした島時間を運んでくれます。日帰りでも、海を見ながらただ座っているだけで、十分なリトリートになります。

さらに足を延ばすなら、現代アートの島として知られる直島(なおしま)へ。行政上は直島町に属し、高松港からフェリーでおよそ50分です。地中美術館をはじめ、島には「自然と人間の関係を考える」ことをテーマにした建築や作品が、瀬戸内の景観に溶け込むように置かれています。にぎやかな鑑賞というより、海と光と静けさのなかで自分の内側と向き合うような時間が流れるのが、この島の魅力です。いずれの島も便数は限られるので、最新の時刻表を確かめ、帰りの船の時間に余裕を持って計画してください。

静けさの旅を心地よくする実用メモ

高松の「静けさの旅」は、市街地に近い寺社と、車や船で渡る郊外・離島とを組み合わせて設計するのがコツです。屋島寺と法然寺は車があれば半日で回りやすく、根香寺の五色台は山道のドライブを兼ねて訪ねるとよいでしょう。島へ渡る日は、便数の少ないフェリーの時刻が一日の軸になるので、まず船の時間から逆算して予定を立てるのがおすすめです。寺の拝観時間は概ね日中(多くは午前9時〜午後4時前後)で、夕方には閉まる堂もあります。

座禅会・写経・御朱印授与などの受付状況は、季節や行事によって変わります。確実に体験したい場合は、必ず事前に各寺の公式情報で確認してください。服装は歩きやすい靴に、山上や島で冷えても羽織れる一枚があると安心です。そして何より、静けさを味わう旅では「急がないこと」が一番の作法。海を見て、像と向き合い、木立のなかで深く息を吸う——そんな高松の静かな一日は、旅のあとも長く心に残るはずです。

シェアする

Written by

高橋 大地

アグリツーリズム推進者

この記事のエリアでヘルスケアを探す

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。