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盛岡の花の名所と見頃 — 岩を割って咲くエドヒガンから米内のシダレザクラまで
観光・体験
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盛岡の花の名所と見頃 — 岩を割って咲くエドヒガンから米内のシダレザクラまで

盛岡の花は「遅い春」から始まる

盛岡の花見は、東京や西日本よりひと月近く遅れてやってきます。内陸の盆地で冬が長い盛岡では、ソメイヨシノの見頃は例年4月中旬から下旬。市内の桜が満開を迎える頃、東京ではとっくに葉桜になっています。だからこそ、ゴールデンウィークに桜が間に合う年も珍しくなく、「春に乗り遅れた」人にとって盛岡は格好のリベンジ先になります。市の中心部から徒歩や短いバス移動で名所が点在し、しかも一本ごとに表情が違うのが盛岡の花の魅力。岩を割って咲く名木から、白鳥が越冬する池端の並木、連休まで楽しめる遅咲きのシダレザクラまで、ここでしか見られない花の風景をたどってみましょう。

石割桜 — 巨岩を割って咲く国の天然記念物

盛岡の花の象徴といえば、まず石割桜(いしわりざくら)です。盛岡地方裁判所の構内に立つこの桜は、周囲およそ21メートルの巨大な花崗岩の割れ目から幹を伸ばし、樹高はおよそ11メートル。樹齢は推定350〜400年とも言われ、桜のなかでも長寿で知られるエドヒガンの老木です。1923年(大正12年)に国の天然記念物に指定されました。

岩を真っ二つに割って成長したその姿には諸説ありますが、「最初は岩の小さな割れ目に種が落ち、根が太るにつれて岩を押し広げた」という説が有力です。見頃はおおむね4月中旬から下旬。淡い花を咲かせた一本桜が、灰色の巨岩から噴き上がるように枝を広げる光景は、盛岡駅から徒歩20分ほどの市街地で出会えるとは思えない迫力です。なお、盛岡市内では名須川町の龍谷寺にある「モリオカシダレ」も国の天然記念物に指定されており、ひとつの市内に複数の桜の天然記念物があるのは全国的にも珍しいことです。

高松公園(高松の池)— 約800本の桜と白鳥の池

本数で見応えを求めるなら、市北部の高松公園へ。中心にある高松の池を約800本の桜が縁取り、1989年(平成元年)に「日本さくら名所100選」に選ばれた、盛岡を代表する桜の名所です。池の周囲はおよそ1.7キロメートルの遊歩道になっていて、水面に映る桜並木を眺めながらぐるりと一周できます。見頃は4月下旬から5月上旬。さくらまつりの期間にはぼんぼりが灯り、夜桜も楽しめます。

高松の池の見どころは桜だけではありません。冬には白鳥が飛来し、1月のピーク時には600羽を超える白鳥が池を埋め、5月頃まで越冬します。雪をかぶった岸辺に白鳥が浮かぶ静かな光景は、桜の華やかさとはまた別の盛岡の冬の風物詩です。さらに公園内にはボタン園・バラ園・アヤメ園があり、5月中旬から末にかけてボタン、6月にはアヤメやバラと、桜が終わったあとも花のリレーが続きます。

盛岡城跡公園(岩手公園)— 四季の花が石垣に映える

市の中心部、中津川のほとりに広がる盛岡城跡公園(岩手公園)は、南部氏の居城・盛岡城の跡を整備した公園です。花崗岩を積んだ重厚な石垣が残り、その上に咲く花や色づく木々が城跡ならではの風情を添えます。

この公園は四季を通じて何かしらの花が見られるのが強みです。2月下旬のマンサクに始まり、3月下旬からはウメ・ツバキ、4月下旬には桜とスイセン、5月にはツツジ・ドウダンツツジ・フジ。梅雨どきの6月下旬から夏にかけてはアジサイが園内を彩り、桜の季節を逃しても訪れる価値があります。秋にはイロハモミジなど300本以上が燃えるように色づき、紅葉の最盛期は11月上旬ごろ。石垣と紅葉のコントラストは、盛岡の秋を代表する一枚になります。盛岡駅から徒歩や循環バスでアクセスしやすく、街歩きのついでに立ち寄れる立地も魅力です。

米内浄水場のシダレザクラ — 連休に間に合う遅咲きの名所

盛岡の桜のフィナーレを飾るのが、上米内にある米内浄水場のシダレザクラです。ここには約30本のヤエベニシダレを中心とした桜が植えられ、そのうち9本は盛岡市の景観重要樹木に指定されています。シダレザクラはソメイヨシノより開花が遅く、加えて上米内は市街地よりやや気温が低いため、見頃は5月上旬。ゴールデンウィークに桜が見られる、盛岡でも貴重なスポットです。

この浄水場は普段は立ち入りできませんが、桜の開花にあわせて期間限定で一般公開されます(例年4月下旬〜5月上旬ごろ)。八重の紅色が幾重にも垂れ下がる満開のシダレザクラは、ソメイヨシノとはまったく違う濃厚な華やかさです。JR山田線・上米内駅から徒歩約3分とアクセスもよく、公開期間が短いぶん、訪れたときの特別感もひとしおです。

盛岡の花暦(見頃カレンダー)

盛岡市がまとめている花暦をもとに、主な花の見頃を整理しました。標高や年ごとの気候で前後するため、出かける前に開花情報を確認するのがおすすめです。

見頃主な場所
ウメ3月下旬〜盛岡城跡公園
石割桜(エドヒガン)4月中旬〜下旬盛岡地方裁判所前
ソメイヨシノ4月下旬〜5月上旬盛岡城跡公園・高松公園
シダレザクラ(ヤエベニシダレ)5月上旬米内浄水場
ツツジ・フジ5月盛岡城跡公園
ボタン5月中旬〜末高松公園
バラ・アヤメ6月高松公園
アジサイ6月下旬〜8月盛岡城跡公園
紅葉(イロハモミジ等)10月下旬〜11月上旬盛岡城跡公園・高松公園

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盛岡の花見は、桜が「遅く・長く」楽しめるのが最大の特徴です。市街地の石割桜から始まり、高松の池の並木、そして連休まで残る米内のシダレザクラへと、開花前線を追いかけるようにはしごできます。さらに梅雨のアジサイ、秋の紅葉まで、盛岡城跡公園を軸にすれば季節を問わず花のある風景に出会えます。東北の遅い春を、盛岡でゆっくり味わってみてください。

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Written by

小林 拓也

サイクリスト・旅人

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