学び
函館×東京の二拠点生活|北海道と都心を行き来する暮らし
リモートワーク普及により、東京の仕事を続けながら函館にもう一つの拠点を持つ「二拠点生活」が現実的な選択肢として注目されています。全国の二拠点生活実践者は推定30万人を超え、年々増加の一途をたどっています。函館空港から市内まで車で約20分、新幹線では新函館北斗駅からおよそ20分という好アクセスが、月の半分ずつを行き来するライフスタイルを可能にしています。津軽海峡に面した港町の空気と函館山から見下ろす夜景、そして日常に溶け込む新鮮な海の幸。都会の利便性と地方の豊かさを同時に手に入れるこの暮らしは、住民票を東京に置いたまま始められるため心理的ハードルも低く、「まずお試しで」と踏み出しやすいのも魅力です。
移動手段と交通費の現実
函館〜東京間の主な移動手段は航空機です。往復運賃は一般的に3万〜5万円が目安ですが、LCCを活用すれば片道5,000〜1万円に抑えることも十分可能です。函館空港の直行便に加え、乗り換えが必要な場合でも新千歳空港発の便は1日10便以上が運航しており、出発時間の自由度が高いのが魅力です。搭乗から到着まで約2時間半と、実質的な移動負担は東北新幹線利用と大差ありません。
航空会社のマイレージを計画的に貯めれば、年間数往復分の特典航空券に交換することも可能です。ANAやJALのステータス取得を目指す「SFC修行」「JGC修行」を二拠点生活の往復に組み合わせる人も少なくありません。月2〜4回の往復を想定すると交通費は月額5万〜12万円ほどになりますが、フリーランスや個人事業主であれば確定申告で経費計上できるケースもあるため、税理士への相談をおすすめします。
函館側の拠点選びと費用
函館での住まい選びは、滞在スタイルや滞在頻度によって大きく異なります。最もコストを抑えられるのはベイエリア周辺の1LDKで、月4万〜6万円程度から見つかります。ただし冬期は水道管の凍結防止として「水落とし」作業が必要になるため、不在時の管理を委託できる物件を選ぶことが重要です。
管理の手間を省きたい場合は、マンスリーマンション(月8万〜12万円・光熱費込み)が便利です。さらに家具・家電が完備されたサービスアパートメント(月10万〜15万円)を選べば、荷物を最小限にした身軽な滞在が実現します。また、ADDressやHafHといった多拠点居住サービス(月4万〜5万円)を活用すれば全国の拠点を共有できるため、函館への本格的な二拠点移行前のお試し期間として最適です。まずはこうしたサービスで函館の暮らしを体験し、生活リズムや費用感を把握してから物件契約に踏み切る流れが安心です。
費用シミュレーションと仕事の両立
月々の費用の目安として、東京の住居費をワンルームに縮小(月8万円)+函館の住居費(月6万円)+交通費(月3回往復・約9万円)+函館側の食費・光熱費(月3万円)=合計26万円前後が一つの基準になります。一見高額に見えますが、東京での外食費や娯楽・ストレス解消に使っていた出費が大幅に減るため、実質的な生活費増加は月5万〜8万円程度に収まるケースが多いと言われています。
生活サイクルは「東京2週+函館2週」か「東京3週+函館1週」が人気です。函館滞在中は午前中にオンライン会議を集中させ、午後は深い思考が必要な作業やリフレッシュの時間に充てるのが効率的です。NotionやSlack、Google Workspaceなどのクラウドツールで資料を常に同期しておけば、どちらの拠点でもシームレスに業務を継続できます。確定申告においても、ホームオフィス家賃の按分や通信費・交通費の経費計上を組み合わせると、年間10万〜20万円規模の節税につながる場合があります。
函館の暮らしが仕事にもたらす変化
函館に身を置くと、東京では得られない「余白の時間」が自然に生まれます。朝市で新鮮なイカやウニを選ぶ日常、夕暮れ時に函館山へ向かう路面電車、元町の教会群を散策する週末——こうした体験が脳をリセットし、仕事の創造性を高める効果は多くの実践者が口をそろえて語ります。
観光客で賑わうベイエリアも、生活者の目線で見れば地元の飲食店や老舗の市場が重なり合う生きた商店街です。地元コミュニティへの参加を通じて東京とは異なる人間関係が生まれ、地方の課題解決ビジネスや副業のアイデアが浮かぶきっかけになることも少なくありません。リモートワークの普及で仕事の「場所」への縛りが緩んだいま、函館という環境自体がクリエイティブな刺激源として機能します。
二拠点生活から完全移住へ——段階的な移行戦略
二拠点生活は将来の完全移住へのステップとしても機能します。数年かけて函館での人間関係や生活基盤を少しずつ構築しながら、自分に合った移住タイミングを見極められるのが最大の強みです。函館港まつりや冬の豪雪、春の桜咲く五稜郭——四季の変化を複数年にわたって体験することで、「移住後の暮らし」をリアルにイメージできます。冬の厳しさを実際に乗り越えた上で「それでも住みたい」と感じられたなら、移住の決意は揺るぎないものになるでしょう。二拠点3年目で完全移住を果たした方の多くが「段階的に移行したからこそ後悔がない」と語っています。
税務面も見落とせないポイントです。住民税は毎年1月1日時点の住所地で課税されるため、メイン拠点をどちらに置くかは税負担にも直結します。また、ふるさと納税を活用すれば函館市への寄付を通じた節税と地域貢献を同時に実現できます。子どもの進学や親の介護といったライフステージの変化に応じて、東京と函館の滞在バランスを柔軟に調整できるのも二拠点生活ならではの強みです。焦らず、自分のペースで「もう一つの故郷」を育てていく——それが函館二拠点生活の本質かもしれません。
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