観光・体験
大阪のサイクリングコース完全ガイド——淀川を京都へ上る大河ライドと河川自転車道
大阪は「川を上る」サイクリングの街
大阪のサイクリングは、街なかの公園を周回するより、市内を流れる大河をたどって郊外や京都方面へ「上っていく」ロングライドにこそ持ち味があります。淀川・大川(旧淀川)・神崎川・大和川といった一級河川が市街を放射状に貫き、その堤防上や河川敷に、車を気にせず走れる自転車道が整備されているからです。信号も坂もほとんどない平坦路が何十キロも続くため、ビギナーでも距離を稼ぎやすく、走り込みたい人は府境を越えて京都まで脚を伸ばせます。まずは大阪を代表する川の道から、その日の体力と気分に合うコースを選んでみてください。
淀川を京都へ上る——大阪サイクリングの大動脈
大阪のサイクリストにとっての聖地が、淀川サイクリングロードです。大阪市都島区の毛馬閘門(けまこうもん)を起点に、淀川沿いの河川敷を京都府八幡市の御幸橋(ごこうばし)まで上る、片道およそ28kmのロングコース。高低差がほとんどなく道幅も広いため、ロードバイク初心者が最初の長距離に挑むのに向いています。
御幸橋は桂川・宇治川・木津川の三つの川が合流して淀川になる地点で、ここから先は桂川沿いの京都八幡木津自転車道へ自然につながります。そのまま川沿いを北上すれば京都・嵐山の渡月橋まで、大阪市内から片道およそ50km。健脚なら日帰りで「大阪発・嵐山」を狙える、関西きってのロングライドルートです。途中に自販機や河川公園のトイレが点在するので、補給と休憩の計画さえ立てれば、長丁場でも安心して走れます。
大川の桜並木をゆっくり流す
ロングライドは敷居が高いという人には、市街地を流れる大川(旧淀川)沿いがおすすめです。毛馬洗堰から天満橋にかけての毛馬桜之宮公園は、川沿いにおよそ4.2kmにわたって約4,800本の桜が連なる、大阪屈指の桜の名所。春には桜のトンネルの下をゆっくり流すように走れ、造幣局や中之島方面までひとつながりの水辺の風景が楽しめます。
距離が短く起伏もないため、レンタサイクルでの観光ポタリングにも最適です。桜の季節は歩行者が大変多くなるので、花見の人出を避けたい場合は早朝に走るのがコツ。毛馬閘門は淀川と大川という水位の違う二つの川をつなぐ施設で、ここを境に先述の淀川サイクリングロードへ乗り換えられる——市内ポタリングと郊外ロングの結節点でもあります。
なにわ自転車道で「水の都」を横断
もう少し走りごたえが欲しいなら、なにわ自転車道(正式名称・旭西淀川自転車道)へ。東淀川区菅原から淀川右岸の堤防を上り、神崎川をぐるりと回って西淀川区出来島まで戻る、全長およそ21.6kmのコースです。淀川区・東淀川区・西淀川区という淀川北側の三区を横断し、二つの川の堤防上から「水の都」大阪の暮らしの風景を眺めながら走れます。
市街地に近く、阪急やJRの駅からアクセスしやすいので、半日で完結させたい日や、淀川本流のロングに出る前のウォームアップにも向いています。
東西を貫く大和川リバーサイドサイクルライン
大阪平野の南を流れる大和川沿いには、大和川リバーサイドサイクルラインが整備されています。内陸の柏原市から、堺市を経て大阪湾の咲洲(さきしま)まで、川の流れに沿って東西を貫く全長約25kmのコース。想定所要はおよそ1時間40分とされ、平坦基調で走りやすいのが特徴です。
堺市内の区間にはベンチやサイクルラック、トイレを備えた休憩スポットが点在し、全長600mにわたって陶板画が並ぶ「大和川陶板画ストリート」など、淀川とはまた違った下流域ならではの景色が続きます。淀川が「上って京都へ」なら、大和川は「下って海へ」。同じ大阪でも対照的な川旅を味わえます。
海風を浴びる——堺・泉州の臨海と浜寺公園
大和川を河口まで下りきった先、堺市の臨海部に広がるのが浜寺公園です。日本の名松百選にも数えられる見事な松林が続き、運河沿いには落ち着いて走れる園内のコースが整備されています。海沿いの平坦路を潮の香りを浴びながら走るのは、大阪市内の川沿いとはまた違った爽快さです。
ここから南は泉州エリアの臨海部へとつながり、堺から和歌山方面へ抜ける紀州街道の名残をたどる旅情も味わえます。海風が強い日もあるので、向かい風になりがちな帰路の体力を残しておくのが、臨海ライドを気持ちよく終えるコツです。
坂を登りたいなら北摂・箕面の勝尾寺ヒルクライム
平坦な川の道に物足りなくなったら、北摂の山へ。大阪市の北にある箕面市の勝尾寺(かつおうじ)へのヒルクライムは、関西有数の人気上り坂です。阪急箕面駅を起点に、距離およそ4.4km・獲得標高約250m・平均斜度5.7%(最大でも9%台)と、ヒルクライム入門にちょうどよいスケール。登りきって反対側へ下って戻っても20km足らずで、半日あれば十分楽しめます。
箕面は大阪市内ではなく、市街から輪行や自走で北へ向かった場所にあります。紅葉と滝で知られる山あいの街で、夏でも木陰の多い山道は市街より幾分涼しいのが魅力。ただし山は気温差が大きいので、上りで汗をかいたあとの下りに備えて一枚羽織れるものを持つと安心です。
レンタサイクルと走る前のメモ
自分の自転車がなくても、大阪市内にはスポーツバイクを貸し出す店があります。料金の目安はクロスバイクで1日およそ4,000〜4,500円、ロードバイクで1日5,000〜6,000円前後。市内中心部のシェアサイクルなら1日1,400円程度のプランもありますが、いずれも店舗や時期で変わるため、車種・保証・返却時間は事前に確認しておきましょう。
淀川や大和川の自転車道は平坦とはいえ、片道で数十キロに及びます。こまめな水分補給とパンク対策、そして日没時間の把握を忘れずに。河川敷は日陰が少なく、夏場は熱中症対策が欠かせません。川を上れば京都、下れば海——大阪の街を貫く水の道を、自分のペースで走り抜けてみてください。
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