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水都・大阪を歩く——中之島の近代建築から横丁・石畳の下町散策まで
観光・体験
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水都・大阪を歩く——中之島の近代建築から横丁・石畳の下町散策まで

水都・大阪は「歩く」と本当の顔が見えてくる

大阪は、グルメスポットを点で巡るだけではもったいない街です。堂島川・土佐堀川をはじめ市内を縦横に流れる川と、それを渡る数えきれない橋——江戸時代には「八百八橋(はっぴゃくやばし)」と称された水の都です。そして川沿いの近代建築と、戦災をかいくぐった横丁や長屋の路地。この二つを自分の足でつないでいくと、観光名所の裏側にある大阪の素顔が立ち上がってきます。ここでは、中之島の建築鑑賞から下町の石畳まで、歩いてこそ味わえる大阪の散策コースを紹介します。

中之島——川に挟まれた近代建築の島を歩く

堂島川と土佐堀川にはさまれた細長い中州が中之島です。その東端に広がる中之島公園は延長約1.5キロ、川面を眺めながら歩ける都心のオアシスで、約310種・3,700株のバラ園は5月中旬と10月中旬に見頃を迎えます。園のシンボルは1918年竣工の大阪市中央公会堂。赤レンガに白い石材をあしらった重厚な建築で、国の重要文化財です。少し西へ歩けば、1904年(明治37年)築の大阪府立中之島図書館。ギリシャ神殿を思わせる円柱とドームが目を引くネオ・バロックの名建築で、こちらも重要文化財に指定されています。淀屋橋から肥後橋まで延びる約400メートルの「中之島緑道」には10体の彫刻が点在し、ビジネス街のただ中を作品を眺めながら歩けます。「大大阪(だいおおさか)」と呼ばれた経済黄金期の余韻を、建物そのものから読み取れるのが中之島の醍醐味です。

水都の橋を渡る——八百八橋の名残をたどる

中之島の散策は、橋を意識すると一段と面白くなります。公園の東端で堺筋に架かる難波橋は、かつて天神橋・天満橋とともに「浪華三大橋」と呼ばれた大橋。橋詰の四隅に阿吽(あうん)の石造ライオン像が据えられていることから「ライオン橋」の愛称で親しまれ、重厚なアーチと装飾の橋塔が水都らしい風格を漂わせます。堂島川には、優美なアーチを描く水晶橋。夜になると橋がライトに浮かび、川面に映る姿は大阪屈指の夜景散歩スポットです。北側の北浜から南へ橋を渡り、中之島を経てさらに南へ——橋を一つずつ渡るたびに左右の景色が変わるのが、水都ならではの歩き方です。

法善寺横丁の石畳と、新世界の路地裏

ミナミの喧騒のただ中に、ふっと時間の止まった一角があります。道頓堀の南、法善寺の北側に延びる法善寺横丁です。長さ約80メートル、道幅は3メートルに満たない石畳の路地が二筋、料亭やバー、串の店などがひしめきます。参拝客がいつしか水をかけるようになったと伝わる水掛不動尊は、苔むした姿が信仰の厚さを物語ります。織田作之助の小説『夫婦善哉(めおとぜんざい)』の舞台としても知られる、文学の香る横丁です。

ここからさらに南、新世界へ足を延ばせば、通天閣のお膝元に全長約180メートルのジャンジャン横丁(正式名・南陽通商店街)。幅2.5メートルほどの細いアーケードに、串かつの店や立ち飲みが並び、三味線や太鼓を鳴らして客を呼んだ戦前の盛り場の空気がそのまま残っています。エリア全体が昭和のテーマパークのような濃密さで、歩いているだけで気分が高揚します。

空堀商店街——上町台地の長屋と坂道さんぽ

観光地化されていない大阪を歩きたいなら、上町台地の空堀(からほり)へ。松屋町筋から上町筋まで東西約800メートルのアーケード商店街で、その名は大坂城の南惣構堀(みなみそうがまえぼり)=空堀の遺構に由来します。瓦職人の町として栄えた歴史から土地は起伏に富み、商店街を一歩外れると、戦災を免れた木造長屋と細い路地、ゆるやかな坂道が連なります。近年は地元の建築家らが長屋を改装した雑貨店やカフェが増え、昭和の路地と新しい店が同居する独特の界隈に。坂を上り下りしながら奥まった路地を覗いて歩くのが、ここでの正しい過ごし方です。

大阪城公園の堀端を、歴史を感じながら歩く

天守を目指すだけでなく、堀端をゆっくり歩くのが大阪城のおすすめです。大手門から入り、巨石を積み上げた石垣や、水をたたえた内堀・外堀を眺めながら進むと、豊臣・徳川の二つの時代が重なる城の構えを体感できます。天守の西に広がる西の丸庭園は芝生と桜の名所で、天守を借景にした眺めは格別。広大な公園なので、無理に外周をひと回りしようとせず、お堀沿いの好きな区間を選んで歩くのが心地よいコースです。

天神橋筋商店街と住吉大社——下町と古社を結ぶ散歩

商店街そのものを歩き通したいなら、天神橋筋商店街へ。全長約2.6キロ、店舗数およそ800と「日本一長い商店街」を称し、端から端まで歩けば40分ほどかかります。学問の神様・菅原道真を祀る大阪天満宮の門前町として栄えた歴史を持ち、昔ながらの店と新しい店が延々と続きます。

もう少し足を延ばすなら、住吉区の住吉大社。全国の住吉神社の総本社で、参道の入口にかかる朱塗りの反橋(そりばし/太鼓橋)は最大傾斜約48度の急勾配です。「渡るだけでお祓いになる」と伝わり、慶長年間に淀君が奉納したという石造の橋脚が今も支えています。最寄りを走る阪堺(はんかい)電車は路面を行くチンチン電車で、車窓から下町を眺めながらの移動そのものが散歩の延長になります。

歩くための実用メモ

中之島・北浜エリアは京阪中之島線や大阪メトロ堺筋線・御堂筋線が便利で、川沿いはほぼ平坦なので歩きやすいコースです。一方、空堀のある上町台地は坂が多いので、歩き慣れた靴がおすすめ。バラ園を目当てにするなら5月中旬か10月中旬を狙うと、川と花を一度に楽しめます。住吉大社や新世界へは阪堺電車や地下鉄を組み合わせると効率よく回れます。橋を渡り、横丁を抜け、坂を上る——点を線でつなぐほどに、大阪は歩く人へ表情を増していきます。

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Written by

加藤 誠

地域活性化プランナー

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