アメ横商店街
上野の地に根ざした活気あふれる商店街、アメ横。その喧騒と熱気は、東京の下町文化を象徴するものとして、国内外を問わず多くの旅人を引きつけてやまない。JR上野駅から御徒町駅まで続く約500メートルの通りに、およそ400店舗がひしめき合うこの場所は、日常の買い物から旅の記念品探しまで、訪れる人それぞれの目的を叶えてくれる特別な空間だ。
戦後の闇市から生まれた庶民の台所
アメ横の歴史は、第二次世界大戦後の混乱期にさかのぼる。終戦直後の1945年(昭和20年)ごろ、上野の高架下に露天商が集まり始め、やがて非公式の闇市として発展していった。当時は砂糖やアメリカ軍の放出品を売る店が多く、「アメリカ横丁」あるいは「飴屋横丁」が名前の由来とされているが、両説が混在しており、今日でも定説はない。
1950年代になると朝鮮戦争の特需も後押しとなり、商店街としての基盤が固まっていった。当初は非合法な取引も含む混沌とした市場だったが、やがて正式な商店街として組織化され、現在の姿へと発展してきた。戦後の貧しい時代に「安く、たくさん買える場所」として庶民に愛されてきた気質は、70年以上が経った今も変わらずアメ横のDNAに刻まれている。
400店舗がひしめく多彩な品揃え
アメ横の最大の魅力は、何といっても圧倒的な店舗数と品揃えの多彩さにある。鮮魚や乾物を扱う食料品店をはじめ、海産物、ナッツ・ドライフルーツ、菓子類など食に関する店舗が通りの中核を占めている。特に鮮魚店では、マグロやタコなどの海産物を威勢のいい掛け声とともに対面販売するスタイルが健在で、売り場の前に人だかりができる光景は今も変わらない。
食品のほかには、ブランドバッグ・時計・アクセサリーを扱う店、スニーカーやスポーツウェアなどの衣料品店、化粧品・香水の格安販売店なども多く立ち並ぶ。価格交渉ができる店もあり、「いくらになりますか?」と声をかけてみるのもアメ横ならではの楽しみ方だ。もちろん値引きに応じない店もあるが、そのやりとり自体がこの場所の文化であり、旅の醍醐味になる。
食べ歩きグルメで路上グルメを満喫
近年、アメ横は食べ歩きのスポットとしても注目を集めている。通り沿いには、その場で揚げたてを提供するコロッケや串揚げ、大きな海老天が乗った天ぷら串、チーズハットグ(韓国式ホットドッグ)など、食べ歩きに適した軽食を販売する店が増えた。
特に人気なのが、マグロやウニ、イクラをたっぷり乗せた海鮮丼を格安で提供する海鮮系の飲食店だ。アメ横中央ビルの地下には、韓国食材や中国食材、エスニック系食材を扱う店が集まっており、ここだけでアジア各国の食文化が凝縮されたような雰囲気を味わえる。立ち飲みの居酒屋で一杯ひっかけながら買い物の疲れを癒すのも、地元客に倣った楽しみ方のひとつだ。
季節で変わる表情——特に年末は別格
アメ横は一年を通じて賑わっているが、季節ごとに表情が大きく変わる。春には近くの上野公園での花見帰りの客が立ち寄り、ビールや酒の肴を買い求める姿が多く見られる。夏はかき氷や冷やしものを扱う店が目立ち、汗をかきながら歩く食べ歩き客で通りが活気づく。秋はカニやエビなど旬の海産物が店頭に並び始め、鍋の季節を先取りする買い物客が増えてくる。
そして何といっても、アメ横が最もドラマチックな熱気に包まれるのが年末——12月26日から31日にかけての時期だ。正月用の食材や縁起物を求める買い物客が殺到し、通りは身動きが取れないほどの混雑となる。威勢のいい呼び込みの声、特売を知らせる拡声器の音、人々の笑顔と歓声が折り重なる年末のアメ横は、まさに日本の年越し文化そのものを体感できる場として、毎年テレビカメラも数多く訪れる一大風物詩となっている。
国際色豊かに進化するアメ横の現在
近年、アメ横はさらに国際的な顔を持つようになっている。韓国料理や中国料理、東南アジア系の食材・食品を扱う店が増え、外国人観光客にとっても魅力的なスポットへと変貌を遂げた。通りを歩けば、日本語と中国語・韓国語・英語が飛び交い、さまざまな国籍の人々が肩を並べて買い物を楽しむ姿に出会える。
それでも、古くからの乾物屋や鮮魚店が今もしっかりと根を張り続けているのがアメ横の懐の深さだ。流行に敏感な新しい飲食店と、何十年も同じ場所で商いを続ける老舗とが共存する姿は、変化を受け入れながらも下町らしい人情を失わないアメ横らしさの証でもある。
アクセスと周辺観光情報
アメ横へのアクセスは抜群に便利だ。JR山手線・京浜東北線の上野駅(中央口・不忍口)、またはJR御徒町駅から徒歩すぐの距離にある。東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅、または銀座線の上野広小路駅からも徒歩数分でアクセスできる。
周辺には観光スポットも充実している。上野公園には東京国立博物館、国立西洋美術館、国立科学博物館、上野動物園などの文化施設が集中しており、アメ横での買い物と組み合わせた半日〜一日コースが定番の楽しみ方だ。上野から御徒町にかけてはアメ横通り以外にも横丁や路地が多く、ちょっと脇道に入るだけでローカルな飲食店や専門店に出会える。さらに足を伸ばせば、谷中銀座や浅草など、東京の下町文化を感じられるエリアへもアクセスしやすく、一帯を散策する旅として充実した時間を過ごせる。
営業時間は店舗によって異なるが、多くの店が午前10時ごろから夜19〜20時ごろまで営業しており、昼間に訪れるのが最も多くの店舗を楽しめる。定休日も店によってまちまちなため、目当ての店がある場合は事前に確認しておくと安心だ。混雑を避けたい場合は平日の午前中が比較的ゆったり歩ける時間帯だが、活気あふれるアメ横の本領を体感するなら、やはり週末の昼どきが一番だろう。
アクセス
JR上野駅不忍口から徒歩1分
営業時間
10:00〜19:00(店舗により異なる)
料金目安
¥500〜¥5,000
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