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阿寒摩周国立公園の懐に抱かれた屈斜路湖畔に、砂を掘るだけで温泉が湧き出るという、日本でも類を見ない温泉観光地「砂湯」がある。冬は世界的な白鳥撮影の聖地として、夏は道東屈指のキャンプ場として、季節ごとにまったく異なる顔を見せる場所だ。
砂を掘れば温泉が湧く、大地の鼓動
砂湯最大の特徴は、湖畔の砂浜を少し掘り下げるだけで熱い温泉が自噴してくること。人の手で引いた湯ではなく、地中から直接噴き出す温泉を肌で感じられる体験は、温泉地として成熟した日本でも珍しい。足湯施設も整備されており、湖の絶景を眺めながら温泉に足を浸すことができる。
「世界で最も白鳥が美しい湖畔」——冬の砂湯
冬季の砂湯は、白鳥撮影家たちのあいだで世界一の撮影地と称される。藻琴山を背景に、屈斜路湖の湖面へ降り立つオオハクチョウの群れの光景は、BBCをはじめ世界中のメディアが注目してきた。その評判から国内外の多くのプロカメラマンが集い、砂湯の風景を作品集として本に残した写真家も複数いる。湖の温泉が湖面の一部を凍結させず、白鳥が越冬できる環境を作り出していることが、この奇跡の景観の背景にある。
日本最大のカルデラ湖・屈斜路湖
砂湯が面する屈斜路湖は、日本最大のカルデラ湖で周囲約56km、湖の広さは国内6番目を誇る。湖の中央には「中島」と呼ばれる島があり、ほとんど手つかずの自然が残る。唯一の流出河川である釧路川はここを源流とし、釧路湿原を抜けて太平洋へ注ぐ。湖全体が大きな地熱活動の産物であり、砂湯の自噴温泉もその延長線上にある。
夏のキャンプ場と四季の楽しみ方
夏の砂湯は道東屈指のキャンプ場として人気を集める。湧き出る温泉と足湯、そして広大な湖の眺めが揃うロケーションは、道東ドライブの拠点としても格好の場所だ。春から秋にかけては自然観光の拠点として機能し、冬の静寂と白鳥の季節とは対照的な、開放的な湖畔の空気を楽しめる。
湖の謎——未確認生物クッシー
屈斜路湖にはもう一つのユニークな逸話がある。1970年代に初めて目撃が報告された未確認生物「クッシー」だ。スコットランドのネス湖に棲むとされるネッシーをもじって命名され、複数の目撃証言が残るが正体は今も不明。アイヌの伝説に登場する巨大なヒラメの伝承との関連を指摘する声もある。砂湯を訪れた際には、湖面を眺めながらその存在に思いを馳せてみるのも、旅の一興かもしれない。
アクセス
北海道川上郡弟子屈町屈斜路湖畔砂湯
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