
奈良県立民俗博物館
GALLERY
奈良県立民俗博物館は、奈良県立大和民俗公園内に設けられた施設で、江戸時代の古民家3棟をバーチャルツアーで体験できます。国指定重要文化財2棟と県指定有形文化財1棟という文化的価値の高い建物群を、「普段は見ることのできない場所」も含めてウォークスルー形式で探索できる点が特徴です。それぞれの建物には、奈良県内の異なる地域・異なる社会的立場の人々の暮らしが刻まれています。
屋号「伊勢屋」が語る商いと農業の二刀流 ── 旧臼井家住宅
国指定重要文化財の旧臼井家住宅(主屋・内蔵の2棟)は、伊勢から移住したと伝わる臼井家の屋敷です。屋号「伊勢屋」を名乗り、農業を生業の柱としながらも油・酒・醤油などの販売も手がける複合的な暮らしを送っていました。幕末には町年寄を務め、公用伝馬の役も担うなど、地域の要職にも関わった家であったことがうかがえます。
建物は元禄年間(1688〜1704年)にはすでに主屋が建っていたと推定され、増築を経て宝暦年間(1751〜1764年)には屋敷構えが整ったとされます。主屋は切妻造・茅葺で庇は本瓦葺、内蔵は切妻造・本瓦葺という構成で、江戸時代中頃の様式を今に伝えています。令和4年には耐震工事も実施されており、工事前・工事中の様子を記録したバーチャルツアーも別途公開されているという、建物の保存過程まで記録した珍しい試みも行われています。
神官の邸宅が門前の宿へ ── 旧前坊家住宅
県指定有形文化財の旧前坊家住宅(主屋・離座敷・渡廊下の3棟)は、代々吉野水分神社の神官を務めた前坊家の邸宅です。吉野山の金峯山寺の門前に立地していたため、参拝者を泊める宿としての機能も兼ねていたという、神官家ならではの特殊な役割が興味深い建物です。
文政7年(1824年)に前坊氏の所有となり、19世紀中頃には屋敷構えが整ったとされます。特に注目されるのが、吉野地域に特有の「吉野建(懸造)」という建築様式で、斜面に沿って床高が段階的に高くなる構造を採用しています。主屋から渡廊下を経て離座敷へとつながる3棟はいずれも切妻造・杉皮葺で、吉野山においても屋敷構えのほぼ全体が残る例は珍しく、現存する「吉野建」民家として高い学術的価値を持ちます。3Dモデルのダウンロードデータも公開されており、より詳細に建物を研究したい方にも対応しています。
雪深い山里の大屋根と養蚕 ── 旧岩本家住宅
国指定重要文化財の旧岩本家住宅(主屋1棟)は、現在の宇陀市にあたる宇陀郡室生村黒岩に所在し、農業と林業を営み、庄屋年寄を務めた家の邸宅です。平地より雪が多い地域の建物であるため、大きな屋根が外観上の最大の特徴となっており、その屋根裏では蚕を飼う養蚕も行われていました。
嘉永年間(1848〜1854年)頃の建築と推定され、入母屋造・茅葺の大型農家です。間取りは向かって左半分を土間とし、正面側に馬屋、背面側にかまやを配し、右半分は6間取りの居室としています。表側はせがい造り、土間上の奥行には太い梁が半間ごとに架け渡されるなど、この地方の農家建築の特色をよく示した素朴な外観の建物です。こちらも3Dモデルのダウンロードデータが公開されています。
奈良三地域の暮らしを一堂に比較する
旧臼井家住宅(高取町上土佐)、旧前坊家住宅(吉野山)、旧岩本家住宅(室生村黒岩)と、3棟はそれぞれ奈良県内の異なる地域から移築されています。商い兼農家・神官・農林業者というまったく異なる立場の人々の住まいを一箇所で見比べられることが、この博物館の核心的な価値です。バーチャルツアーは日本語のほか英語・繁体字中国語・簡体字中国語にも対応しており、海外からの訪問者も建物の背景を理解しながら探索できます。
アクセス
奈良県立大和民俗公園内
営業時間
9:00~17:00
料金目安
300円~500円
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店舗詳細
- 対応言語
- 日本語 / 英語
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