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大久野島 うさぎの楽園

大久野島 うさぎの楽園

Photo: そらみみ / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大久野島。面積わずか約0.7平方キロメートルのこの島には、現在約700羽もの野生のうさぎたちが自由気ままに暮らしており、「うさぎの楽園」として国内外の旅行者を魅了し続けている。穏やかな島の空気と愛らしい生き物たちとの出会いは、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な体験だ。

島の歴史――秘密の島から癒しの楽園へ

大久野島は、かつて地図から消された島だった。1929年(昭和4年)から第二次世界大戦終結まで、日本陸軍はこの島で毒ガスを秘密裏に製造していた。島の存在を隠すため、当時の地図には記載されず、島民は強制移住を余儀なくされた。最盛期には約5,000人もの作業員が働き、マスタードガスやルイサイトなどの化学兵器がここで生産された。

戦後、米軍によって毒ガスは処分されたが、製造施設の廃墟は現在も島内各所に残り、歴史の証人として静かに立ち続けている。島の南部には「毒ガス資料館」があり、当時の製造過程や被害の実態を伝える資料が展示されている。負の歴史と正面から向き合うこの資料館は、訪れる人々に深い思索を促す場所だ。

そんな歴史を持つ島が、今や平和の象徴ともいえるうさぎたちの楽園に生まれ変わった。1971年(昭和46年)に学校の課外活動として8羽のうさぎが持ち込まれたのが始まりとされており、天敵がいない恵まれた環境の中でうさぎたちは繁殖を重ね、現在では約700羽が島全体を我が物顔に歩き回っている。

うさぎたちとの触れ合い――島ならではの非日常体験

フェリーから桟橋に降り立った瞬間から、うさぎとの触れ合いが始まる。波止場付近に集まるうさぎたちは人慣れしており、足元に近寄ってきたり、差し出した手にそっと鼻を寄せてきたりする。ペレットや野菜などのえさを持参すれば、あっという間に数十羽に囲まれるという、まるでおとぎ話のような光景が広がる。

島内を散策すると、岩の陰で昼寝するうさぎ、草を夢中でかじるうさぎ、子うさぎを連れた母うさぎなど、さまざまな表情のうさぎたちに出会える。動物園のように柵越しに見るのではなく、同じ空間にともにいるという感覚が、大久野島の最大の魅力だ。家族連れはもちろん、カップルや一人旅の旅行者、さらには外国人観光客にも人気が高く、SNSでも「日本に来たら絶対に行きたい場所」として世界中に紹介されている。

なお、島内へのペットの持ち込みはうさぎへの影響を考慮して禁止されている。また、えさは市販のラビットフードや野菜(にんじん、キャベツなど)が推奨されており、お菓子や加工食品は与えないよう配慮したい。

見どころ――廃墟と自然が織りなす独特の景観

大久野島の魅力はうさぎだけにとどまらない。島の周囲はおよそ4キロメートルで、ゆっくり歩いても1〜2時間で一周できる。遊歩道沿いに点在する旧陸軍の施設跡は、苔むした石積みや錆びた鉄扉が時間の重みを感じさせ、独特の廃墟美を醸し出している。毒ガス貯蔵庫跡や発電所跡など、往時の規模を偲ばせる遺構が随所に残っており、歴史ファンにも見応えがある。

島の高台からは瀬戸内海の絶景が一望できる。穏やかな内海に点在する島々、その向こうに霞む山並み、行き交う船の白い航跡――。「瀬戸内の原風景」とも呼ぶべき眺めは、訪れる者の心にゆったりとした時間を取り戻してくれる。

国民休暇村大久野島には宿泊施設も完備されており、日帰りでは物足りない人は島に一泊することができる。温泉施設や地元食材を使ったレストランも併設されており、牡蠣や穴子など瀬戸内の幸を堪能できる。また、夏季は海水浴場もオープンし、澄んだ瀬戸内の海で泳ぐこともできる。

季節ごとの楽しみ方

春(3〜5月)は、島の緑が芽吹き始める季節だ。うさぎの子育てシーズンとも重なり、あちこちで小さな子うさぎを見かけることができる。瀬戸内の春霞に包まれた島の景色も格別で、写真撮影に訪れる人も多い。

夏(6〜8月)は、海水浴やシュノーケリングを楽しむファミリー層で賑わう。透明度の高い瀬戸内の海は夏でも比較的穏やかで、子ども連れにも安心だ。早朝や夕暮れ時のうさぎたちの活動も活発で、島全体が生き生きとした雰囲気に包まれる。

秋(9〜11月)は、観光のベストシーズン。気候が穏やかで島の散策に最適なうえ、木々がわずかに色づく様子も美しい。夏の混雑が落ち着いた分、うさぎたちをゆっくりと観察できる。

冬(12〜2月)は訪問者が少なく、うさぎたちを独り占めできる穴場の季節でもある。寒さに丸まったうさぎのもふもふとした姿は、冬ならではの愛らしさがある。フェリーの本数が減る場合があるので、事前に時刻表の確認を忘れずに。

アクセスと周辺情報

大久野島へは、JR呉線「忠海駅」から徒歩約5分の忠海港からフェリーで約15分。1日に複数便運航されているが、時期によって本数が異なるため、事前に大三島フェリーの時刻表を確認しておくと安心だ。

また、愛媛県側の大三島(盛港)からもフェリーが運航されており、四国方面から訪れる場合はこちらのルートが便利だ。島内に車の乗り入れはできないが、自転車は持ち込みが可能で、サイクリングロードを活用すれば島をより快適に巡ることができる。

広島市内からは電車で約1時間半。広島観光の合間に立ち寄れる距離感も、この島の人気を支えている。竹原市の「安芸の小京都」と称される町並み保存地区も近く、大久野島と組み合わせた1泊2日の旅も多くの旅行者に選ばれているプランだ。うさぎとの忘れられない出会いを求めて、ぜひ瀬戸内の小さな楽園を訪ねてみてほしい。

アクセス

JR忠海駅から徒歩5分の忠海港よりフェリー15分

営業時間

フェリー運行時間に準ずる

料金目安

¥600〜¥1,500(フェリー代込み)

編集部最終確認: 2026-04-25 (AI抽出)

滞在時間目安

120分

施設の特徴

子連れ可

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