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那覇の歴史さんぽガイド——首里城・金城町石畳道・やちむん通りを歩く
観光・体験
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那覇の歴史さんぽガイド——首里城・金城町石畳道・やちむん通りを歩く

那覇歩きは「丘の上の王国跡」と「石畳の坂道」から始まる

那覇のまち歩きの主役は、琉球王国が四百年をかけて残した城跡と石畳です。市街地の東に小高くそびえる首里(しゅり)の丘には王宮と王陵が、海に近い久米(くめ)や波上(なみのうえ)には交易と信仰の跡が点在し、その間を国際通りや市場のにぎわいがつないでいます。ゆいレール(沖縄都市モノレール)が首里駅から県庁前・牧志・おもろまちまで丘と海辺を一本で結ぶので、坂の上の世界遺産を巡ってから平地の商店街へ下りてくる——そんな「上から下へ」の動線が那覇歩きの基本になります。亜熱帯の強い日差しを考えると、丘の散策は朝のうちに、市場や庭園は木陰と日差しを使い分けて、というのが地元流の歩き方です。

首里城公園——復元中の正殿と、世界遺産の城跡を巡る

まず向かいたいのが首里城公園。二千円札の図柄でも知られる守礼門(しゅれいもん)は中国風の牌楼(ぱいろう)形式の門で、現在のものは一九五八年に復元されたものです。門をくぐった先の園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)、少し離れた歴代国王の陵墓・玉陵(たまうどぅん)は、城跡(遺構)とともに世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に登録された本物の史跡。一方、二〇一九年の火災で焼失した正殿は復元工事の最中で、二〇二六年秋の完成を目指して少しずつ姿を取り戻しつつあります。再建の現場そのものを間近に見られるのは今だけの体験で、立ち上がっていく朱色の大屋根は完成後とはまた違う迫力があります。

首里金城町石畳道——琉球石灰岩の坂を下る

首里城の南側から市街地へ下るのが、首里金城町(きんじょうちょう)石畳道です。もとは首里城と国場川を結んだ全長約四キロの軍用道路「真珠道(まだまみち)」の一部で、十六世紀前半に整備が始まった県指定史跡。現存するのは約二三〇〜二四〇メートルの区間ですが、年月を経て艶を帯びた琉球石灰岩の平石が敷き詰められ、両脇には赤瓦の民家が連なって、王国時代の坂道の空気がそのまま残っています。下る途中の内金城嶽(うちかなぐすく)には、沖縄戦の戦災を免れた樹齢二百年超のアカギの大木がうっそうと茂り、強い日差しのなかでありがたい木陰をつくっています。石畳は雨や朝露で滑りやすいので、歩きやすい靴で下りはゆっくりと。

壺屋やちむん通り——焼物の町を石畳で歩く

平地へ下りたら、焼物(やちむん)の町・壺屋(つぼや)へ。約三百三十年前、琉球王府が各地に散らばっていた陶工を壺屋に集めたのが壺屋焼の始まりで、今も窯元・直売店・ギャラリーが軒を連ねます。約四百メートルにわたって琉球石灰岩の石畳が続く通りは、沖縄戦の戦禍を免れた数少ない一帯で、古い赤瓦の民家や登り窯の跡が当時のまま残るのが見どころ。器を手に取りながら路地をのぞけば、観光地化した通りとは違うしっとりとした時間が流れています。特定の店に立ち寄らずとも、石畳と古民家の町並みを歩くだけで十分に楽しめる散策路です。

国際通りと第一牧志公設市場——まちの「今」を歩く

歴史散策の合間に立ち寄りたいのが、那覇いちばんの繁華街・国際通り。県庁北口から安里(あさと)の三叉路まで約一・六キロ続き、一マイルにあたる長さと戦後の目覚ましい復興ぶりから「奇跡の一マイル」と呼ばれます。通りの途中、平和通りや市場本通りのアーケードを百五十メートルほど入ると、二〇二三年に新装した第一牧志(まきし)公設市場。一階に鮮魚や精肉の店が約八十軒並び、買った食材を二階の食堂で調理してもらう「持ち上げ」文化が名物です。屋根付きのアーケードは強い日差しや突然のスコールをしのげるので、昼下がりの暑い時間帯を歩くにはちょうどよい場所でもあります。

久米と波上——異国情緒と、崖の上の聖地

海寄りの久米には、中国式庭園の福州園(ふくしゅうえん)があります。久米はかつて福建省から渡ってきた人々「久米村(クニンダ)」が暮らした地で、福州園はその縁から友好都市・福州市の技術と資材で築かれ、一九九二年に開園しました。福州の名勝を写した塔や池をめぐる庭で、入園は有料(二〇二六年時点で昼の大人二〇〇円ほどが目安)。市街地のすぐ隣とは思えない静けさです。そこから西へ歩けば、海に張り出した崖の上に立つ波上宮(なみのうえぐう)。琉球八社の最高位とされる古社で、眼下には波の上ビーチが広がります。ゆいレール県庁前駅から国際通りとは反対方向へ二十分ほど、参拝者もまばらな静かな散策路です。

さらに足を延ばすなら——廻遊式庭園・識名園

時間に余裕があれば、識名(しきな)にある識名園(しきなえん)へ。一七九九年に造られた琉球王家最大の別邸で、池のまわりを歩きながら景色の移ろいを楽しむ廻遊式庭園です。「心」の字をくずした形の心字池に中国風の六角堂が浮かび、池畔には琉球石灰岩が積まれて、和・中・琉が溶け合う独特の風景が広がります。二〇〇〇年に世界遺産へ登録されたこの庭は首里や市街地から少し離れ、路線バスで識名園前バス停から徒歩五分ほど。歩く距離は長くありませんが、池端の木陰でひと休みしながら、王家の保養地の時間をゆっくり味わえます。

亜熱帯のまちを快適に歩くために

那覇歩きで最も気をつけたいのは、暑さと強い日差しです。沖縄は真夏でも猛暑日になる日は多くないものの、湿度が高く照り返しの強い石畳の坂は体力を奪います。首里の丘や金城町石畳道は気温の上がりきらない午前のうちに、市場や福州園・識名園は木陰やアーケード、池畔の日陰を上手に挟みながら——というように、コースごとに歩く時間帯を変えるのが快適に回るコツ。帽子や日傘、こまめな水分補給は一年を通して欠かせず、内金城嶽の大アカギや庭園の木立は格好の休憩ポイントになります。日差しと湿度がやわらぐ十一月から春先は、那覇の歴史散策にいちばん向いたシーズンです。

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Written by

高橋 大地

アグリツーリズム推進者

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