フィットネス
鹿児島市ランニングコースガイド — 桜島を正面に走る水辺・坂・溶岩の道
桜島を正面に、降灰と温暖な気候のなかを走る
鹿児島市のランニングは、どのコースを選んでも錦江湾の向こうに桜島がそびえているのが最大の魅力です。海沿いのフラットなロードから城山の登り坂まで、市街地のすぐ近くで路面も起伏も選べるため、目的に合わせてコースを組み立てやすい街です。一方で、活火山・桜島と付き合う鹿児島ならではの注意点もあります。走り出す前にまず降灰予報を確認する——それが地元ランナーの習慣です。距離・起伏・桜島ビューという3つの軸で、市内の実在コースを見ていきましょう。
まずはフラットな水辺コースから
初心者でも距離を踏みやすいのが、海と川に恵まれた市街地のフラットコースです。鹿児島市の中心部は平地が多く、信号や坂に走りを止められにくいのが利点です。
甲突川河畔 — 史跡をたどる市街地の定番
市街地のど真ん中を流れる甲突川(こうつきがわ)の両岸は、鹿児島で最も身近なランニングコースです。新屋敷町・高麗町あたりの橋で折り返す内回りは、およそ1周1km。物足りなければ川沿いの緑地を上流・下流へ伸ばし、橋を渡り直して2〜3kmほどに調整できます。距離表示に縛られず往復で刻めるのが、リバーサイドランの良いところです。川沿いには「維新ふるさとの道」が続き、西郷隆盛や大久保利通の誕生地など明治維新の史跡を横目に走れます。高低差はほとんどなく、夜は橋や遊歩道がライトアップされるので、仕事終わりのナイトランにも向きます。
与次郎・鴨池 — 桜島を正面に置くウォーターフロント
与次郎(よじろう)の海沿いは、桜島を正面に見ながら走れる開放的なウォーターフロントで、海岸沿いをぐるりと回るとおよそ3.5km。信号が少なく道幅も広いので、ペースを上げやすいコースです。すぐ近くの県立鴨池運動公園の外周は、1周およそ1.9kmのフラットなロード周回。信号に止められずスピード練習がしやすい定番で、市電谷山線の鴨池駅から徒歩5分ほどとアクセスもよく、外周に海側の道を足せば5km前後の周回に伸ばせます。さらに港の人工島・マリンポート鹿児島には1周約1kmのタータン舗装の周回路があり、脚に優しい路面でインターバルを刻めます。いずれのコースも、走っている間ずっと桜島が視界の片隅にあるのが鹿児島らしさです。
起伏で追い込みたい日のコース
平坦なコースに慣れたら、登りで心肺を追い込めるコースへ。市街地を見下ろす城山(しろやま)の遊歩道は1周およそ4.5kmで、展望台へ向かう坂が脚づくりに効きます。木陰が多く、日差しの強い時期でも比較的走りやすいのも利点です。吉野台地の県立吉野公園は1周約2.1km。高台にあるぶん園内にもアップダウンがあり、桜島と錦江湾を望む眺めがご褒美になります。市街地西側の西之谷ダム周辺の周回路も1周約2.1kmで、自然のなかを静かに走り込みたい日に向きます。フラットな水辺で距離を踏む日と、起伏で追い込む日を使い分けられるのが、コンパクトな鹿児島市ならではの強みです。
桜島へ渡る、特別なラン
ひと味違うランを楽しみたいなら、桜島フェリーで対岸へ渡るのがおすすめです。フェリーは24時間運航で、鹿児島港から桜島港まではおよそ15分の船旅。降りてすぐの溶岩なぎさ公園から烏島展望所までは、片道約3kmの「溶岩なぎさ遊歩道」が続きます。1914年(大正3年)の大噴火で流れ出た溶岩原の上につくられた道で、「日本の遊歩百選」にも選ばれた絶景コースです。フェリーターミナルを起点に遊歩道を往復すれば、6km強のランになります。潮風と火山の荒々しい地形、間近に迫る桜島——市街地のコースとはまったく違う非日常を、自分の脚で味わえます。
走る前に確認したい「降灰」と季節
鹿児島でランを習慣にするなら、桜島の降灰(こうはい)との付き合い方が欠かせません。風向きによっては、火口の西側にあたる市街地に灰が流れ込み、路面が滑りやすくなったり、空気中の灰で喉に違和感を覚えたりします。走り出す前に降灰予報を確認し、灰が多い日は海側や風上のコースに変える、無理せず室内に切り替える、といった判断が大切です。地元では、噴火時に灰の流れを知らせる降灰メールも活用されています。
季節でいえば、温暖な鹿児島は冬こそランニングのベストシーズン。雪に走りを止められることはほとんどなく、空気の澄んだ冬の朝は桜島がくっきりと見えます。一方、夏は高温多湿でかなり消耗するため、走るなら日が高くなる前の早朝が基本です。給水は河畔や公園周辺の自動販売機やコンビニを目安にこまめに行い、汗を多くかく季節は塩分やスポーツドリンクも携えておくと安心です。
目標は「鹿児島マラソン」
走り込みの目標として地元ランナーが目指すのが、春に開催される鹿児島マラソンです。ウォーターフロントのドルフィンポート跡地付近をスタートし、錦江湾沿いや市電の軌道敷の緑のなかを抜けて、隣の姶良市側で折り返し、鹿児島市役所前にフィニッシュする平坦基調のコース。西郷隆盛像や仙巌園の前を通り、桜島を望みながら走る薩摩らしい一日です。市街地の公道を使う大会コースなので、ふだんの練習でそっくり同じには走れませんが、甲突川や与次郎で積んだ距離を試す舞台として、エントリーを目標に据えると日々のランに張り合いが生まれます。
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