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多久聖廟

多久聖廟

※写真はイメージです。

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佐賀県多久市の丘の一角に、江戸時代から変わらぬ姿で立ち続ける孔子廟がある。多久聖廟は宝永5年(1708年)、多久四代領主・多久茂文によって建立された、現存する日本で3番目に古い聖廟だ。足利学校(栃木県)、閑谷学校(岡山県)に次ぐその歴史の重みは、建物の細部にまで刻まれている。

「敬」の心を培うために建てられた孔子廟

多久茂文が聖廟を建立した目的は、領民に「敬」の心を根付かせることにあった。単なる権力の象徴ではなく、学問と礼節を地域に広めるための施設として構想された点が、この場所の本質を語っている。昭和8年には国の重要文化財に指定され、現在は公益財団法人「孔子の里」が管理・保全にあたっている。

禅宗様仏堂形式に宿る中国の意匠

建築の見どころは、日本と中国の様式が一棟の中で見事に融合している点にある。基本的な構造は日本の代表的な建築様式である禅宗様仏堂形式を採用しながら、随所に施された彫刻や文様には中国的な意匠が色濃く残る。柱や欄間を彩る精緻な装飾は、当時の職人たちが二つの文化圏の美意識を一つの建物に凝縮させようとした意図を今に伝えている。

年2回の釈菜——雅楽・腰鼓・獅子舞が響く祭礼

聖廟の活気が最も高まるのは、春と秋に執り行われる「釈菜(しゃくさい)」の日だ。多久市職員らが「伶人」として装束をまとい、荘厳な雅楽の調べの中で儀式を進める。釈菜の場では雅楽にとどまらず、中国伝承の打楽器「腰鼓(ようこ)」——鼓を紐で肩にかけ腰の辺りで打ち鳴らしながら演じる——や、中国北部地方の民俗芸能である獅子舞も披露される。勇壮かつユーモラスな舞いは、孔子の故郷・中国の文化的記憶をこの地で生き続けさせる試みでもある。

現代に根ざす学びの拠点

敷地内の東原庠舎では、たく市民大学をはじめとする各種講座が継続的に開かれており、聖廟はいまも「学問の場」としての役割を果たしている。全国ふるさと漢詩コンテストは2026年度で第29回を数え、全国から漢詩の愛好者が作品を寄せる。また、孔子の里ジュニアガイドは2024年に発足20周年を迎えており、次世代への継承も着実に進んでいる。江戸時代から一貫して「学ぶことへの敬意」を体現し続けてきた多久聖廟は、観光スポットであると同時に、地域の文化的背骨として静かに機能し続けている。

アクセス

佐賀県多久市多久町1642番地

営業時間

9:00~17:00

料金目安

無料

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