
L'évo(レヴォ)
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富山の深山に抱かれた集落、利賀村。その名を知る人は少なくても、フレンチシェフ谷口英司がこの地に惚れ込み、集大成の場として選んだという事実が、すべてを物語っている。L'évo(レヴォ)は、「前衛的地方料理」という新しい食の地平を切り拓き続ける、一期一会のオーベルジュである。
シェフ谷口英司と「前衛的地方料理」という哲学
L'évoを語るうえで欠かせないのが、オーナーシェフ・谷口英司の存在だ。富山に魅せられ、富山に育てられたと語る谷口シェフは、都市の華やかなフレンチシーンとは一線を画し、地方の自然と文化に根ざした料理の可能性を追求してきた。
その哲学の核心にあるのが、「真の地産地消」というキーワードだ。単に地元の食材を使うというにとどまらず、土づくりから自ら関わり、野菜やハーブを手塩にかけて育てる。農家であり、料理人でもあるという二つの顔が、L'évoの料理に唯一無二の深みを与えている。フランス料理の技法と自由な発想を武器に、利賀村でしか生まれ得ない一皿を生み出す——それがL'évoというレストランの本質である。
2020年12月、施設をオーベルジュ形式に改め現在地に移転オープン。レストランを中心に宿泊棟と菜園が点在する、かつてこの地にあった集落の面影を宿す構成は、訪れる者に「ここにしかない時間」を約束する。
季節が皿に宿る——コース料理の世界
L'évoのコースは、季節とともに姿を変える。春には萌え出る山菜、夏には緑濃い野菜、秋には実りの恵み、冬には雪深い山里の滋味——利賀村の四季がそのまま皿の上に現れる。シェフ自ら管理する自家農園で収穫された野菜やハーブが、料理の主役を担うことも珍しくない。
フランス料理の構造を持ちながら、日本のローカルな食材と文化が溶け込んだその料理は、既存のカテゴリーには収まらない。「前衛的」という言葉がよく似合うのは、奇をてらうためではなく、この土地で正直に向き合い続けた結果として生まれる創造性があるからだ。一皿ごとに語られる食材の背景、土地の記憶——それを受け取るために、人々は遠路はるばる利賀村へと向かう。
予算の目安はコース料理が中心で、ランチ・ディナーともに高価格帯となるため、記念日や特別なひとときに相応しい場として位置づけられている。詳細は公式サイトまたは電話(0763-68-2115)で要確認。
懐かしくもモダンなコテージに泊まる
オーベルジュとしてのL'évoは、食事と宿泊がセットになった体験を提供する。宿泊棟はモダンでありながら、どこか懐かしさを漂わせるコテージスタイル。家族や親しい仲間とともに、山の四季をゆったりと愛でながら過ごす時間は、都市生活では決して得られない豊かさを持つ。
夜は静寂に包まれた利賀村の闇と星空、朝は清澄な空気と鳥の声で目が覚める。夕食から翌朝まで、この土地の時間の流れに身を委ねることで、L'évoの料理はより深く、心に刻まれる体験となる。宿泊込みで訪れることを前提とした設計は、単なるレストランを超えた「食の聖地巡礼」とでも呼ぶべき体験をつくり出している。
アクセスと予約——不便さが価値を生む
「決して便利ではないけれど、訪れるだけの価値を」——L'évoの公式サイトにあるこの言葉が、アクセス事情を正直に物語っている。富山県南砺市利賀村は、公共交通機関でのアクセスが容易ではない山間の集落だ。最寄りの拠点からはレンタカーや自家用車を利用するルートが現実的で、富山空港や北陸新幹線の新高岡駅・城端駅方面からのアクセスが起点となる。
その不便さは、逆説的にL'évoの魅力を高める要素でもある。辿り着くまでの道中、利賀川沿いの渓谷美や峠越えの風景が、非日常への入口となる。予約は公式サイトまたは電話(0763-68-2115)にて。人気店のため、特に週末や行楽シーズンは早めの予約が必須だ。
周辺の観光情報——合掌造りの里とともに訪ねる
L'évoを訪れるならば、南砺市周辺の観光スポットも合わせて旅程に組み込みたい。利賀村からほど近いエリアには、ユネスコ世界文化遺産にも登録された合掌造り集落が点在している。菅沼合掌造り集落や相倉合掌造り集落(五箇山)は、雪国の暮らしが凝縮された国内屈指の歴史的景観だ。
茅葺き屋根の家々が並ぶ集落を歩き、地域の食文化に触れてから、L'évoの食卓へ——という旅の流れは、富山・南砺の自然と文化を重層的に体感できる贅沢な時間となる。春の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、季節を変えて何度でも訪れたくなる土地柄も、この旅の魅力をさらに深めてくれるだろう。
アクセス
富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地
店舗詳細
- 対応言語
- 日本語 / 英語
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