
京懐石 吉泉
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糺の森の静寂に包まれた京都下鴨の地に、日本が誇る最高峰の京懐石料亭「吉泉」はあります。ミシュランガイドで幾度も星を重ねてきたその名は、国内外の美食家に広く知られる、特別なひとときを約束する場所です。
糺の森に宿る、縁の地の料亭
下鴨神社の参道に広がる糺の森は、高野川と賀茂川が合流するほとりに位置する古の鎮守の森。江戸時代には納涼の地として名高く、御手洗川・泉川のほとりにその風情が色濃くただよう清冽な空間です。偽りを「糺す」という意の字が当てられたこの森の名は、まさに誠実なおもてなしを旨とする吉泉の精神と深く重なります。京懐石 吉泉は、この霊気漂う地に6億5千万円をかけて創り上げられた格式ある料亭です。さらに興味深いことに、およそ800年前、平安時代の頃に亭主の祖先がこのあたりで「吉仙」という屋号で商いを営んでいたといいます。人のご縁と地のご縁、運命のような出会いを胸に、亭主・谷河吉巳は1983年にホテルの一角に「吉泉」を開き、その2年後には糺の森に面した現在の地へ移りました。
亭主・谷河吉巳の歩みと料理哲学
9歳にして調理する歓びに目覚め、15歳で京の地へ上がった谷河吉巳。著名な老舗での修行から始まったわけではなく、数々の料理の場を経て50人の師と出会ったその道のりは、型にはまらない独自の料理観を育みました。茶道・華道・香道・書・詩歌と、食にとどまらない多彩な美的感覚を養い、大徳寺前管長・福富雪底老師、千利休の菩提寺である聚光院閑栖・寛海和尚、日本を代表する料理人・竹端寅一氏、そして表千家・菅田宗匠との深い出会いが、谷河の料理観と美意識を根底から形づくりました。26歳という若さで嵯峨嵐山の料亭の料理長に抜擢され、歴代40代のベテランが就いてきたポストへの大抜擢は驚きをもって迎えられたといいます。1986年にはニューヨーク・タイムズ紙に「安心して味わえる美食の店」として紹介され、国際的な評価も早くから確立しました。1999年には人気テレビ番組「料理の鉄人」に出場し、鱧対決でニューヨーク「NOBU」の総料理長・森本正治氏に完勝。その卓越した鱧切りの技は審査員を唸らせ、全国にその名を知らしめました。そして2010年よりミシュランガイドで2つ星を、2014年からは6年連続で3つ星を獲得するなど、たった一代で老舗料亭と肩を並べる存在へと上りつめた、類まれな料理人です。
茶懐石の流れを汲む、一献のものがたり
吉泉のお料理は、特に茶懐石の流れを汲んだ伝統的なもてなし料理です。日本語の「ご馳走」には、かつて亭主が食材を集めるために馬を走らせた「もてなし」の精神が込められていますが、吉泉でも日本全国から旬の食材を丹念に集め、一夜の献立に仕立てています。コース全体にはひとつのストーリーとリズムがあり、酒一献に始まり、お椀・お造り・中皿・八寸・煮物・焼物・口直し・御飯・漬物・果物・菓子、そして薄茶で幕を閉じます。お椀の蓋に茶筅で露を打つという、茶の湯に由来する清々しい所作は、吉泉ならではのもてなしの象徴。旬の食材を活かした滋味深いお椀、京の四季が凝縮された八寸の彩り、そして看板の一品として知られるすっぽん鍋の深い旨みと滋養。一品一品に込められた技と心が、訪れる人の記憶に深く刻まれます。亭主が積み重ねてきた茶道・華道・香道の美意識は器の選択や盛り付け、空間の誂えにまで及び、五感すべてで京文化を感じられる食体験となっています。
空間の佇まい—個室とカウンターが織りなす静寂
吉泉の建物は、糺の森の緑と調和する純和風の料亭建築。六畳・十畳など複数の和室個室と、料理人の仕事を間近に感じられるカウンター席が用意されています。記念日・接待・特別な会食など改まった席には個室が最適で、木の香と静寂の中でゆったりと食事を楽しめます。一方、カウンター席では亭主や料理人との距離が縮まり、料理への問答や日本文化についての語らいも自然に生まれます。いずれの席も、糺の森のすがすがしい自然を感じながら日本料理の極致に向き合える、代えがたい贅沢な空間です。
ご予約・価格帯とアクセス
昼は12時・夜は18時の一斉入店制で、完全予約制となっています。コース料金は高級懐石料亭として相応の水準で、ランチ・ディナーともに数万円台となります。そのつど異なる旬の食材と、一期一会の献立の完成度を思えば、その価値は価格を超えるものがあるといえるでしょう。ご予約は電話(075-711-6121)にてお問い合わせください。人気店のため、特に週末・祝日・記念日シーズンは早めのご連絡をおすすめします。アクセスは、叡山電鉄・京阪電鉄「出町柳駅」から徒歩約10分。下鴨本通りから糺の森方面へ向かうルートは、散策しながら森の気配を感じられる心地よい道のりです。
周辺スポットと、京都ならではの過ごし方
吉泉のすぐそばには、世界遺産にも登録された下鴨神社があります。食事の前に糺の森をゆっくりと歩き、澄んだ気をまといながら料亭の暖簾をくぐるという過ごし方は、京都ならではの特別な体験です。毎年5月には「葵祭」が催され、平安装束をまとった行列が糺の森を通る壮大な行粧を間近で見ることができます。夏には下鴨神社の「御手洗祭(足つけ神事)」が行われ、京の夏の風情を全身で感じられます。下鴨から出町柳にかけては、鴨川デルタや河合神社、古書店が点在する出町商店街など、散策の魅力にあふれたエリア。京都の歴史と自然をたっぷり味わい、吉泉でその日の旅の締めくくりを迎えるという旅程は、忘れられない京都の記憶となるでしょう。
アクセス
京阪電車・叡山電車出町柳駅から徒歩約10分
営業時間
昼:12:00入店(14:30閉店)、夜:18:00入店。不定休。
料金目安
昼:15,000円~40,000円、スペシャル懐石80,000円。夜:本懐石30,000円~40,000円、スペシャル懐石80,000円。税込価格、サービス料10%別途。
店舗詳細
- 価格帯
- $$$$$
- 個室
- あり
- 対応言語
- 日本語 / 英語
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