
出雲湯村温泉(公衆浴場元湯漆仁の湯)
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島根県雲南市、木次町と吉田町の境を流れる斐伊川の川底から湧き出る出雲湯村温泉は、今からおよそ1300年前に編まれた『出雲國風土記』にその名が刻まれた名湯だ。神話の舞台として知られるこの山里に、古来から人々が癒しを求めて集い続けてきた理由は、湯そのものの力と、周囲に広がる豊かな自然・神話風景の両方にある。
『出雲國風土記』が伝える「薬湯」
733年に編さんされた『出雲國風土記』には、「一たび浴すれば身体和らぎ再び濯げば満の病消除る」という一節があり、当時から老若男女が昼夜を問わず訪れたと記されている。戦国時代には傷ついた将兵が療養のために足を運んだとも伝わり、明治時代の「温泉番付」では出雲地方最高位の西の前頭に選ばれた。近年は文人や墨客も訪れ、静かな湯村でひとときを過ごす場として都市部にもその名が知られている。
共同浴場・漆仁乃湯の湯と設備
温泉地の核となるのが共同浴場・漆仁乃湯だ。43度の源泉が掛け流しで注がれ、浴槽には川石が使われているため、川辺の風情と一体化した独特の趣がある。内湯に加えて露天風呂・家族風呂・足湯も備えており、日帰り入浴は大人600円・子ども150円・幼児100円で利用できる(営業時間10時〜21時、受付は21時まで)。「薬湯」の異名は現代にも引き継がれており、数回に分けて入浴する湯治目的の訪問者や、入浴後の肌のなめらかさを目当てに繰り返し訪れるリピーターも多い。
築140年の古民家旅館・湯乃上館
湯村に現存する唯一の旅館が湯乃上館だ。江戸時代頃の開業で、現在の建物は築約140年の古民家。部屋数は5部屋、1日2組・定員20名という徹底した少人数制で運営されており、「レトロが新しい」「古き良き時代のもの」に価値を見出す宿泊客が全国から訪れている。食事は囲炉裏端のある茅葺の食堂「楽楽庵」で提供される。春は山菜、夏は鮎、冬は野鴨や牡丹鍋と、季節ごとに地の食材が卓に並び、地酒や地元のワインと合わせて楽しめる。宿泊料金は平日1泊2食付(2名以上)で1人19,510円〜、休前日で20,720円〜(サービス料・消費税・入湯税込み)。チェックインは16時、チェックアウトは10時。
ヤマタノオロチをテーマにした国民宿舎
国道314号線沿いにある国民宿舎は昭和37年の開業で、令和元年11月にリニューアルを果たした。浴場は地域固有の文化「たたら製鉄」とヤマタノオロチをモチーフにしたデザインで整えられており、男湯と女湯は日替わりで入れ替わる。露天風呂からは春の桜、夏のカジカの鳴き声、秋の紅葉、冬の雪景色と四季折々の斐伊川沿いの景観が望め、宿泊だけでなく日帰り入浴(大人600円)にも対応している。料理には地元産・吉田米を使ったご飯と、四季の地元食材を取り入れたおもてなし膳が用意されており、宴会利用も受け付けている。
ヤマタノオロチ神話の伝承地を歩く
湯村の周辺は、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した舞台として伝わる神話スポットが点在している。クシナダヒメの親神・アシナヅチ・テナヅチを祀る「温泉神社」、ヤマタノオロチが棲んでいたとされる斐伊川の「天が淵」、退治のために用意した壷が置かれたと伝わる「印瀬の壷神」、クシナダヒメの御産所とされる「河辺神社」、そして「八俣大蛇公園」など、いずれも温泉地から近い場所に位置する。湯に浸かりながら1300年以上前の神話の世界に思いを馳せる——そんな体験ができるのが、この小さな山里の温泉ならではの魅力だ。
アクセス
島根県雲南市木次町湯村1336
営業時間
10:00~21:00(21:30終了)
料金目安
大人600円、子ども150円、幼児100円
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