
竹原の酒蔵巡りと地酒試飲
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安芸の小京都と称される広島県竹原市は、江戸時代から続く製塩と酒造りの町として知られています。白壁の蔵屋敷が立ち並ぶ町並み保存地区を歩けば、時間を忘れてしまうような静かで美しい風景が広がり、歴史と醸造文化が息づくこの地で、日本酒との特別な出会いが待っています。
江戸から続く酒造りの歴史
竹原の酒造りの歴史は、江戸時代中期にまでさかのぼります。もともと竹原は瀬戸内海の塩田で栄えた港町でしたが、製塩業で蓄えた財力と豊富な水資源を背景に、18世紀から酒造業が発達していきました。広島県西部に流れる軟水は、辛口でキレのある酒を生み出す灘(兵庫)や伏見(京都)の硬水とは異なり、まろやかで旨みの乗った「軟水醸造」による日本酒を可能にしました。
明治時代には、広島の杜氏・三浦仙三郎が軟水醸造法を確立し、その技術が広島の酒造りの礎となりました。竹原はその流れを受け継ぎ、現在でも複数の蔵元が伝統の技を守り続けています。この地の酒は「広島の銘酒」として全国的に高い評価を得ており、国内外の品評会でも多くの受賞歴を誇ります。
竹鶴酒造と「マッサン」のゆかり
竹原を語るうえで欠かせないのが、竹鶴酒造との深い縁です。1733年創業の竹鶴酒造は、日本のウイスキーの父として知られる竹鶴政孝の生家でもあります。政孝はこの地で生まれ、酒造りの基礎を学んだのちにスコットランドへ渡り、本場のウイスキー製造技術を習得しました。帰国後にニッカウヰスキーを創業した彼の波乱に富んだ生涯は、NHK連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなり、2014年の放送以来、竹原は多くの観光客が訪れる地となりました。
竹鶴酒造では現在も「小笹屋竹鶴」などの銘酒を醸造しており、蔵の一部を公開し見学・試飲を楽しめます。日本酒の歴史とウイスキーの歴史が交差する唯一無二の場所として、酒好きにはたまらない聖地といえるでしょう。蔵に隣接する「竹鶴政孝生家」も見学可能で、偉大な醸造家の足跡に触れることができます。
町並み保存地区と藤井酒造の魅力
竹原の見どころは、酒蔵だけにとどまりません。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された「竹原町並み保存地区」は、江戸時代後期から明治時代にかけて建てられた商家や蔵屋敷が400メートルほどにわたって連なる、情緒あふれる通りです。白漆喰の壁と格子窓が特徴的な建物が立ち並び、まさに「小京都」の名にふさわしい景観を楽しめます。
この保存地区内に位置する藤井酒造は、1863年(文久3年)創業の老舗蔵元です。「龍勢」ブランドで知られるこの蔵では、「酒蔵交流館」として施設を一般開放しており、酒造りの道具や歴史資料を展示するとともに、日本酒の試飲・販売を行っています。蔵の石畳の通路や重厚な木造建築は、江戸時代の雰囲気をそのまま残しており、見学しながら広島の地酒をゆっくりと楽しめます。仕込み水の試飲や、季節限定の搾りたて生酒なども人気のコンテンツです。
季節ごとの楽しみ方
竹原の酒蔵巡りは、一年を通じて異なる顔を見せてくれます。
春(3〜4月)は新酒の季節です。冬に仕込まれたお酒が完成する時期で、「しぼりたて」や「春の新酒」が蔵元に並びます。町並み保存地区では桜も咲き誇り、白壁と桜のコントラストが美しい写真スポットとして人気を集めます。
夏(6〜8月)は、冷やで楽しむ日本酒が格別です。涼しい蔵の中での試飲は、暑い季節の小旅行にぴったり。夏限定の「夏酒」や、すっきりとした辛口の純米酒を楽しみながら、瀬戸内の風を感じる散策が楽しめます。
秋(9〜11月)は「ひやおろし」の季節。春に搾り、夏を越して熟成した日本酒が出荷される秋は、日本酒ファンにとって最も待ち遠しい時期のひとつです。コクと旨みが増した円熟の味わいは、秋の竹原ならではの楽しみです。
冬(12〜2月)は酒造りの最盛期です。蔵内では杜氏や蔵人たちが丹精込めて仕込み作業を行っており、見学できる機会もあります。「しぼりたて生原酒」や「新酒まつり」などのイベントが開催される蔵元もあり、酒好きには特に見逃せないシーズンです。
アクセスと周辺情報
竹原へのアクセスは、JR呉線「竹原駅」が最寄り駅です。広島駅からは呉線快速「安芸路ライナー」を利用すると約1時間15分、JR三原駅からは約30分で到着します。駅から町並み保存地区までは徒歩約10分と、気軽に散策できる距離です。
車の場合は、山陽自動車道「河内IC」から約30分。駐車場は町並み保存地区周辺に複数あり、日帰り観光でも安心です。
竹原滞在中は、酒蔵巡り以外にも魅力的なスポットが点在しています。江戸時代の豪商の屋敷を復元した「頼惟清旧宅」や、竹原の歴史を学べる「竹原市歴史民俗資料館」なども徒歩圏内にあります。また、近郊には温暖な気候と美しい海で知られる大崎上島や、歴史情緒あふれる三原城跡なども位置しており、竹原を拠点に広島の多彩な魅力を探る旅も可能です。
食事は、地酒に合う瀬戸内の海の幸を使った料理が各所で楽しめます。竹原産のカキやタコ、瀬戸内の鮮魚を使った郷土料理は、日本酒との相性も抜群。試飲で気に入った銘酒を購入して持ち帰れば、旅の余韻をいつまでも楽しめます。
歴史の薫りと日本酒文化が融け合う竹原は、大人の旅に最適な目的地です。白壁の蔵を眺めながら歩く石畳の路地で、江戸から続く醸造の物語に耳を傾けてみてください。
アクセス
JR竹原駅から徒歩15分
営業時間
10:00〜16:00
料金目安
500〜2,000円(試飲代)
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