
イヌワシストア
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上越新幹線の駅の中に、一風変わったコーヒースタンドが誕生した。群馬県みなかみ町の玄関口、上毛高原駅の構内に2024年オープンした「イヌワシストア」は、旅の始まりや終わりに立ち寄れる、好奇心をくすぐる空間だ。
「日本一おもしろい新幹線駅内コーヒースタンド」を目指して
イヌワシストアが掲げるコンセプトは、「みなかみ町の玄関口を心地好い違和感とともに、あかるく愉しく」というもの。新幹線駅の構内という、ともすれば無機質になりがちな空間に、あえてそぐわない雰囲気を持ち込むことで、訪れた人の「知りたい」という好奇心を刺激することを目指している。
みなかみ町はユネスコエコパークにも登録された、自然豊かな地域だ。雄大な谷川岳を擁する上信越国立公園と、湿原の宝庫として知られる尾瀬国立公園、その両方への玄関口として機能する上毛高原駅に、このユニークなコーヒースタンドは位置している。旅人が最初に触れるみなかみの「顔」として、地域の魅力をさりげなく、しかし確かに届けようとする姿勢が、このお店の根幹にある。
こだわりのコーヒーと、みなかみ産ドリンクたち
イヌワシストアのドリンクメニューは、本格的なコーヒーを中心に構成されている。丁寧に淹れるハンドドリップコーヒーをはじめ、アメリカーノ、カフェラテ、エスプレッソといったコーヒーメニューが揃う。コーヒー好きであれば、その一杯のクオリティに納得するはずだ。
コーヒー以外にも、地域との結びつきを感じさせるドリンクが並ぶのがこのお店の特徴でもある。新潟・村上の老舗茶舗「冨士美園」が手がける雪国紅茶、みなかみ町内の一作農園が育てたリンゴを使ったリンゴジュース、「みなかみクラフト」が製造する源流コーラ、そして「OCTONE BREWING」のクラフトビールも取り扱っている。ひと口飲むだけで、みなかみ町とその周辺地域の豊かさが伝わってくるような、土地の恵みが詰まったラインナップだ。「イヌワシスカッシュ」という独自のドリンクも用意されており、ここでしか飲めない一杯として旅の記念にもなる。
フードは自家製焼き菓子を提供。列車の待ち時間にコーヒーと合わせて楽しんだり、登山やトレッキングの前後に小腹を満たしたりするのにちょうどいい。
空間そのものが「ギャラリー」であり「場」でもある
イヌワシストアはコーヒースタンドとしての機能にとどまらない。店内はギャラリースペースとしても活用できるよう設計されており、イベントや撮影利用も受け付けている。コーヒースタンドとのコラボレーション企画についても相談可能で、アーティストや地域クリエイターとの協働にも積極的な姿勢が見受けられる。
実際、過去にはアウトドアブランド「Haglöfs」の初のアーカイブ展へのPOPUP出店や、アウトドアイベント「HIKER'S SUMMIT」への出店など、みなかみ町の自然・アウトドア文化と親和性の高い活動を重ねてきた。駅という場所の性格を活かしながら、地域の情報発信拠点としても機能している点が、このお店を単なるカフェ以上の存在にしている。
「イヌワシ木材」保全への取り組み
店名に冠された「イヌワシ」は、みなかみ町に生息する絶滅危惧種の猛禽類、イヌワシ(ゴールデンイーグル)に由来する。イヌワシストアはその生育環境を守るための活動にも関わっており、「イヌワシ木材」と呼ばれる取り組みをサポートしている。
イヌワシが営巣し生息するためには、開けた草地や森が必要だ。その環境整備のために伐り出される木材を「イヌワシ木材」と名付け、継続的な活用を推進するプロジェクトが進行中で、イヌワシストアはその輪の一端を担っている。コーヒーを飲むという日常的な行為が、知らず知らずのうちに地域の自然保全につながっている——そうした奥行きのあるストーリーが、このお店に訪れることをより意義深いものにしてくれる。
アクセスと利用シーン
上毛高原駅は、東京駅から上越新幹線で約70分とアクセスしやすい立地にある。みなかみ温泉や谷川岳ロープウェイ、水上温泉などへの各種路線バスもここから出発するため、みなかみ観光の起点として多くの旅行者が利用する駅だ。
イヌワシストアは駅構内に位置するため、改札内外を問わず旅の動線の中にすっと入り込める。東京からの日帰りハイキングの途中に立ち寄ったり、温泉旅行の帰りに一息ついたり、あるいは移住や地域への関心からみなかみを訪れた際の「最初の一歩」として、さまざまなシーンで活躍する場所だ。
電話での問い合わせ窓口は設けられていないため、イベント利用やコラボレーション相談は公式サイト(https://inuwashistore.jp/)のお問い合わせフォームから行うのが確実だ。営業時間や最新情報も公式サイトで確認するとよいだろう。
みなかみ観光とあわせて楽しむ
上毛高原駅を降りたら、そのままバスで谷川岳ロープウェイへ向かえば、標高1,319メートルの天神平から雄大な山岳景観が広がる。春から夏にかけては高山植物が咲き誇り、秋は紅葉、冬はスキーとシーズンごとに異なる顔を見せる。また、みなかみ町は「ラフティングの聖地」としても名を馳せており、利根川を舞台にしたアウトドアアクティビティが充実している。
さらに足を延ばせば、日本百名山のひとつ・武尊山や、静謐な湿原が広がる尾瀬国立公園への入り口ともなる。これほど多彩な自然の入り口に立つイヌワシストアで、旅の始まりにコーヒーの香りとともにみなかみの空気を吸い込む——その体験こそが、このお店が目指す「好奇心を照らす」ひとときそのものだ。
アクセス
JR上越新幹線上毛高原駅構内
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