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蕎麦と杜々

蕎麦と杜々

※写真はイメージです。

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高尾山の麓に広がる自然の懐に、一軒の蕎麦店がひっそりとたたずんでいる。「蕎麦と杜々」は、石臼碾き・自家製粉にこだわった九割蕎麦を、木造の落ち着いた空間でゆったりと味わえる店だ。喧騒を離れ、本物の蕎麦と静かな時間を求める人々が、今日も足を運ぶ。

夜明けから始まる、手仕事の蕎麦

杜々の1日は、夜明け前に始まる。石臼がゴロリと動き出し、蕎麦の実を挽く音が静寂を破る。石臼による製粉は時間と手間がかかるが、その分だけ風味が豊かで、熱を持たせずにゆっくりと挽かれた粉には蕎麦本来の甘みと香りが宿る。粉を碾いてから蕎麦を打ち、かつお節を削ってつゆをとる——という一連の工程を毎朝繰り返すことで、できあがるのは打ち立て・碾き立てならではの生き生きとした一杯だ。

使用するのは、そば粉9割・つなぎ1割で仕上げる「九割蕎麦」。つなぎの量を少なくする分だけ打つのが難しく、職人の技量が問われる配合だ。喉越しと香りのバランスが絶妙で、蕎麦本来の風味を存分に楽しめる。「売り切れ次第、早仕舞い」というスタイルがそのことを物語っている——毎朝挽いた分だけの粉で、その日の蕎麦を打つからこそ生まれる鮮度と丁寧さがある。

看板メニューと価格帯

お品書きはシンプルながら、それぞれが丁寧に作られた構成になっている。

天せいろ(2,180円)は、店の顔ともいえる一品。カラリと揚がった天ぷらと、香り高い九割蕎麦のせいろを合わせた王道の組み合わせだ。天ぷらのサクッとした食感と、蕎麦のほのかな甘みが互いを引き立て合う。

つけとろろ(1,650円)は、すりおろした山芋をつゆに加えて蕎麦をすすらせる一品。とろろのなめらかなコクが蕎麦の風味と絡み合い、独特の旨みを生む。さっぱりしながらも満足感があるため、女性や胃の疲れを感じるときにも好まれる。

せいろ・かけ(1,080円)は、蕎麦そのものの味を純粋に楽しみたい人のための基本の一杯。シンプルな分だけごまかしが効かず、打ち立ての蕎麦とよく引き出されたつゆの実力がそのまま皿に現れる。

飲み物には、地域に根ざした選択肢が揃う。高尾ビール(850円)は、地元産のクラフトビールで、旅の記念にも最適だ。地酒純米酒は940円から用意されており、昼から一杯という休日のゆったりとした時間に応えてくれる。芋・麦焼酎(800円)、一番搾り(780円)のほか、車での来訪者や子どもにはりんごジュース(380円)もある。すべての価格は税込みで、気軽に利用しやすい価格帯にまとめられている。

木造平屋と風の音——店内の雰囲気

建物は木造の平屋建て。現代的な飲食店のような派手さはなく、むしろ民家のような温かみと素朴さがある。店内は15席と決して広くはないが、その分だけ空間に密度があり、落ち着いた時間が流れる。木の香り、静けさ、そして手仕事の気配——そうした感覚が積み重なって、「また来たい」と思わせる場所になっている。

天気の良い日は、テラス席(4席)も選択肢に入る。風が通り抜け、鳥のさえずりが聞こえる屋外の席は、高尾の自然を肌で感じながら蕎麦を味わう贅沢な体験を提供してくれる。都会の喧騒から離れた環境でこそ際立つ、静かな豊かさがある。

席数が少ないため、週末や行楽シーズンは混み合うことも予想される。昼前の早めの時間帯に訪れるか、平日を狙うのがスムーズに入店するコツだ。

こんなシーンにおすすめ

杜々は、目的を持って訪れるに値する店だ。高尾山ハイキングの前後に立ち寄るプランは、多くのリピーターが選ぶ定番コース。山歩きで体を動かした後の蕎麦は、疲れた体に染み渡るように旨い。せいろの冷たい蕎麦はもちろん、温かいかけ蕎麦も秋冬の山行後には格別だ。

また、日常からちょっと離れたい週末のひとり時間にも向いている。カウンター席でひっそりと蕎麦をすすり、地酒を一杯——そういう使い方が自然に似合う空気感がある。食べ終えた後も、席をせかされることなくゆっくりできる雰囲気が、この店の大切にしているものを伝えてくれる。

友人やパートナーとの小旅行の一コマとしても適している。「おいしい蕎麦を食べに少し遠出する」という動機が成立するだけの実力と雰囲気が、杜々にはある。

アクセスと営業案内

住所は東京都八王子市高尾町2031。最寄り駅は京王線・高尾山口駅、またはJR中央線・高尾駅で、どちらからも徒歩約15分ほどかかる。

高尾山口駅からの場合は、改札を出て甲州街道に出た後、道なりに進み、上椚田橋にあたったら左折して川沿いを歩く。「杜々」の旗が目印となるので、それを目安に左折した先の右手が店舗だ。なお、落合の交差点から入る道は通り抜けできないため、必ず上椚田橋から川沿いのルートを選んでほしい。

JR高尾駅からの場合は、北口を直進して甲州街道に出たのち、交差点を左折。JR中央線のトンネルをくぐって直進し、上椚田橋で川沿いに右折。旗を目印に左折すれば到着だ。

営業時間は11:00〜15:00(お蕎麦売切れ次第、早仕舞い)。定休日は火曜日と第1・第3水曜日。電話番号は042-673-5592。訪問前に営業状況を確認しておくと安心だ。

高尾エリアの観光と合わせて

杜々のある高尾エリアは、東京都内屈指の自然スポットが集まる場所だ。高尾山はミシュランガイドで三つ星を獲得した人気の山で、年間を通じて多くの登山客や観光客が訪れる。山頂からは晴れた日に富士山を望むこともでき、ケーブルカーやリフトを使えば体力に自信のない人でも気軽に登れる。

また、高尾山口駅直結の「極楽湯」では、ハイキング後に温泉で疲れを癒すことができる。蕎麦→山歩き→温泉、または山歩き→蕎麦→温泉というルートは、日帰りの小旅行としても充実した内容になるだろう。

季節ごとの表情も豊かで、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、訪れるたびに異なる風景が迎えてくれる。都心から電車一本でアクセスできる立地ながら、深い自然に包まれたこのエリアで、杜々の一杯が旅の記憶に残るひとときを添えてくれるはずだ。

アクセス

JR高尾駅から徒歩約15分 京王線高尾山口駅から徒歩約15分

営業時間

11:00〜15:00、定休日: 火曜日/第1、3水曜日

料金目安

¥1,080 〜 ¥2,180

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