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タルマーリー

タルマーリー

※写真はイメージです。

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鳥取県八頭郡智頭町の山里にひっそりと建つタルマーリーは、野生酵母で醸すパンとクラフトビール、カフェ、そして一棟貸しホテルを兼営する、日本でも唯一無二の存在感を放つ施設だ。「パンとビールを作れば作るほど、地域が良くなっていく」という言葉を体現するように、里山の自然循環そのものを食と空間に落とし込んでいる。

野生の菌が生む、唯一無二のパンとビール

タルマーリーの食のすべての起点は、自然界から採取した野生の菌だ。パンは酒種とビール酵母を組み合わせた生地をペレットオーブンで焼き上げる。ビールは野生酵母とオーガニック原料のみで醸造され、市販の培養酵母を一切使わない。自然栽培(無肥料・無農薬)の素材を使うのは、「素材の栽培方法が発酵にあらわれる」という開業以来の発見に基づいている。どちらも大量生産とは対極にある手仕事の産物であり、同じ味が二度と再現されないのがこの店の本質でもある。

千葉から岡山、そして智頭へ——移転の歴史に宿る哲学

タルマーリーの歩みは移転の歴史でもある。2008年、オーナーの渡邉格・麻里子夫妻が千葉県いすみ市で開業し、自家製酵母と国産小麦のパン作りをスタート。自家採取した麹菌によって発酵と素材の関係に気づいたころ、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故を機により良い水を求めて岡山県へ移転。ここで野生の麹菌採取に成功し、ロール製粉機を導入して地元小麦を自家製粉するまでに至った。さらに野生の菌だけで発酵させるビール醸造を本格化するため、2015年に鳥取県智頭町へと拠点を移した。三度の移転の一つひとつに、妥協しない発酵へのこだわりが刻まれている。

カフェとホテルで体感する「腐る経済」の世界

土・日・月曜のカフェ営業日には、クラフトビールをはじめ、酒種とビール酵母の生地で焼いたピザ、サンドイッチ、自然栽培コーヒーなどが楽しめる。パンは同じカフェ営業日に店頭で販売されるが、売り切れ次第終了となるため、目当てがあれば早めの来訪が賢明だ。ビールとパンはホテルの食事メニューにも使われており、宿泊者はより深くタルマーリーの味を体験できる。

2022年にスタートした一棟貸しホテルは、素泊まりから1泊2食付き(¥16,800〜)まで滞在プランを選べる。食事は素材の調達から調理まで一貫してタルマーリーのこだわりが貫かれ、智頭の里山の恵みを皿の上で感じられる構成になっている。女将の麻里子はイタリアの「アルベルゴ・ディ・フーゾ(分散型ホテル)」を手本に、地域資源を活用した長期滞在型観光と町づくりにも取り組んでおり、一夜の滞在が地域への入口になるよう設計されている。

オーナー夫妻という「ブランド」

格は1971年東京生まれ。千葉大学園芸学部で有機農業と地域通貨を研究し、農産物流通会社を経て31歳でパン修業に入った。開業後は大工仕事も自ら覚え、店の改装を可能な限り自力で手がけるDIY精神の持ち主でもある。著書『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(講談社)は韓国でベストセラーになり、台湾・中国・フランスでも翻訳された。現在もパン・ビール・ピザの職人としての仕事に加え、コーヒー焙煎まで手がけている。

麻里子は1978年東京生まれ。東京農工大学農学部で環境人文学を専攻し、日本・アメリカ・ニュージーランドの農家や環境教育の現場で研修した経験を持つ。タルマーリーの経営全体を取り仕切りながら、地域の女性経営者と連携した町づくり活動にも精力的に関わる。共著『菌の声を聴け』(ミシマ社)では夫婦それぞれの視点が織り交ざり、発酵と地域をめぐる思想の深みが伝わってくる。

智頭町を訪れる際には、パンやビールを味わうだけでなく、「腐る経済」というキーワードを頭に入れておくと、一皿一杯の背景にある哲学がより鮮やかに浮かび上がるだろう。

アクセス

JR因美線智頭駅から徒歩約15分(〒689-1402 鳥取県八頭郡智頭町智頭594)

営業時間

カフェは土・日・月曜営業。ホテルは随時営業中。詳細はInstagram・Facebookでご確認ください。

料金目安

ホテル 1泊2食付き ¥16,800~

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店舗詳細

価格帯
$$$$
対応言語
日本語 / 英語

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