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飛騨古川の三寺まいり

飛騨古川の三寺まいり

Photo: kibun / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
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冬の飛騨古川に、一年でもっとも美しい夜が訪れる。毎年1月15日、旧正月の小正月に行われる「三寺まいり」は、雪をいただいた白壁土蔵街と千本のろうそくが織りなす幻想的な光景で、訪れる人を深い感動へと誘う。飛騨の厳寒の夜に灯されるその炎は、何百年もの歳月を超えて今も揺れ続けている。

三寺まいりとは――小正月の夜に受け継がれる祈り

三寺まいりは、飛騨古川町の円光寺・真宗寺・本光寺という三つの寺院を参拝して歩く伝統行事で、その起源は江戸時代にさかのぼるといわれています。小正月にあたる1月15日、参詣者たちは白い吐息を漂わせながら雪道を踏みしめ、ろうそくを手に三つの寺を巡ります。

もともとは信仰的な意味合いが強い行事でしたが、やがて若い男女が着飾って寺を詣でることで出会いの場となり、縁結びや恋愛成就の祈願でも知られるようになりました。かつて飛騨の農村では冬に出会いの機会が少なく、この日ばかりは若者たちが晴れ着に身を包んで町に繰り出したといいます。現代でも着物姿で参拝する女性の姿が多く、古い慣わしの面影を今に伝えています。

千本のろうそくが描く、瀬戸川の光の回廊

三寺まいり最大の見どころが、瀬戸川沿いに並ぶ千本のろうそくです。白壁の土蔵が連なる通りに沿って、無数の炎が一列に灯され、川面にその光を映し出す様子は息をのむほどの美しさ。積み上げられた雪の上にろうそくが立てられ、揺らめく炎が雪を淡くオレンジ色に染めます。

瀬戸川は古川の町並みを象徴する水路で、清澄な流れの中には大きな錦鯉が悠然と泳いでいます。昼間でも絵になるこの風景が、夜になると全く別の顔を見せます。ろうそくの炎だけを光源とした夜の回廊は、電灯の明かりが届かない時代の情緒をそのまま体感させてくれるようで、現代の日常とは切り離された静けさに包まれます。

三つの寺はそれぞれ個性があり、参拝の順番に決まりはありません。円光寺・真宗寺・本光寺を結ぶルートを歩きながら、参道に並ぶ屋台の明かりや、同じく参拝に訪れた人々の着物姿を楽しむのも、この夜ならではの体験です。

飛騨古川の町並み――江戸の面影が残る白壁の街

三寺まいりをより深く楽しむためには、飛騨古川という町そのものへの理解が欠かせません。古川は江戸時代から続く城下町で、今も白壁と黒格子の土蔵が軒を連ねる歴史的な町並みが良好な形で保存されています。

瀬戸川沿いの「壱之町通り」は特に風情があり、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。町を歩くと、古くから受け継がれてきた造り酒屋や味噌蔵なども点在しており、その建物の多くが現役で使われているところに飛騨古川の底力が感じられます。

また、飛騨古川は映画『君の名は。』の舞台モデルの一つとしても知られており、近年は国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。三寺まいりの時期は、そのような普段の観光とは異なる、地域の人々が守り続けてきた「生きた祭り」の空気を体感できる貴重な機会でもあります。

冬の飛騨を五感で楽しむ――祭りの前後の過ごし方

三寺まいりは1月15日の夜が本番ですが、せっかく飛騨まで足を運ぶなら、前後の時間も存分に活用したいところです。

昼間は古川の町並み散策のほか、飛騨市図書館(煉瓦造りの外観が美しい)や飛騨古川まつり会館を訪れると、地域の文化をより深く知ることができます。まつり会館では、春の「古川祭」で使われる屋台(山車)が常設展示されており、その精緻な彫刻と大きさに圧倒されます。古川祭は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録された重要な祭りで、三寺まいりとは異なる飛騨の祭礼文化の奥深さを垣間見ることができます。

食については、飛騨牛の朴葉みそ焼きや、地元の造り酒屋の地酒が冬の体を温めてくれます。三寺まいり当日は町のあちこちに屋台が出るほか、甘酒の無料振る舞いが行われることもあり、寒さの中でのひとときの温かさもこの祭りの魅力のひとつです。

アクセスと訪問のヒント

飛騨古川へは、JR高山本線で高山駅から約15分、飛騨古川駅下車が便利です。名古屋からは特急「ひだ」を利用すれば乗り換えなしで約2時間30分でアクセスできます。

三寺まいり当日は多くの参拝者が訪れるため、公共交通機関の利用が推奨されます。飛騨古川駅から三寺や瀬戸川沿いまでは徒歩圏内で、町全体がコンパクトにまとまっているため、歩いて全体を回れます。

服装については、1月の飛騨は厳しい寒さで、積雪も十分に見込まれます。防寒対策と雪道対応の靴は必須です。着物で参拝したい場合は、保温インナーや使い捨てカイロを活用する地元の人の知恵を借りるとよいでしょう。宿泊施設は高山市内も含めて検討すると選択肢が広がります。千本のろうそくが最も美しく輝く夜の時間帯に合わせて訪問計画を立て、冬の飛騨古川だけが持つ、この静謐で神秘的な夜を心ゆくまで味わってください。

アクセス

JR飛騨古川駅から徒歩約5分

営業時間

夕方〜21:00(1月15日)

料金目安

無料

編集部最終確認: 2026-04-25 (AI抽出)

混雑時間帯

夕方〜21:00 (1月15日)

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