
中國菜 奈良町 枸杞
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奈良の古都に、遣唐使が海を越えて運んだ食文化の記憶を今に伝える一軒がある。ならまちの路地に佇む「中國菜 奈良町 枸杞」は、四川・広東料理と大和の風土が交差する唯一無二の場所。完全予約制という敷居の高さも、一度訪れた人を何度でも引き寄せてやまない魅力がそこにある。
1300年をつなぐ食の哲学――「身土不二」「医食同源」
今から1300年以上前、奈良時代の日本。遣唐使たちが唐の都・長安から持ち帰ったのは、制度や文物だけではなかった。豆腐、お茶、うどん、清酒、味噌、醤油、まんじゅう、そして胡椒やシナモンといったスパイス・薬草類――現代の食卓にも当たり前のように並ぶこれらの食材が、奈良にルーツを持つという事実は、意外にも多くの人に知られていない。
「中國菜 奈良町 枸杞」は、その歴史の交差点に立つ店だ。店名の「枸杞(クコ)」は、古来より不老長寿の生薬として親しまれてきた植物の名前。店が掲げる理念「身土不二」は、自分が暮らす土地で育った食材を食べることこそ健康の礎であるという考え方を指し、「医食同源」は食べることが薬になるという東洋医学の智慧に根ざす。
奈良という日本食文化発祥の地で、中国料理の技術と精神を深く融合させ、永く人々に寄り添う存在であり続けたい――そんな強い志が、この店の料理のすべてに宿っている。料理は化学調味料を一切使用せず、素材本来の旨みと発酵・熟成の力で深い味わいを引き出す。食材への真摯な向き合い方は、料理の一皿一皿にはっきりと反映されている。
自家菜園とミシュラングリーンスター――サステナブルな食の実践
「枸杞」の料理を語るうえで欠かせないのが、ならまちから車で10分ほどの山間に広がる自家菜園の存在だ。絶滅危惧種を含む生態系を守りながら、農薬・化学肥料を一切使わずに育てられた大和伝統野菜と中国野菜が、ここから食卓へと届けられる。
栽培された農産物は、環境に配慮した農業を評価する「ぺたきんの恵み」ブランドの認証を専門機関から取得している。この認証は単なるオーガニック野菜の証明にとどまらない。認証農産物を口にするお客様自身が、食べるという行為を通じて生物多様性の保全と環境保護に間接的に貢献できる――そういう仕組みのなかに、「枸杞」の料理は位置づけられている。
こうした取り組みが国際的に高く評価され、2022年から2025年まで4年連続でミシュラングリーンスターを獲得。ミシュラングリーンスターは、持続可能な農業と食のサステナビリティにおいて卓越した実践をしている飲食店にのみ贈られる特別な称号だ。料理の質だけでなく、農と環境への深いコミットメントを持つ店として、世界基準の評価を受け続けている。
七十二候が彩るコース料理――ランチとディナーの世界
「枸杞」の料理は、日本古来の季節の区分「七十二候」に基づいてコースが構成される。1年を72の区分に分け、わずか5日ごとに移り変わる自然の気配を料理に映し出すという繊細さ。そのような自然の暦を皿で表現する試みは、ここでしか体験できない。
ランチ:枸杞點心コース(お一人様 ¥7,000・税込)
昼のコースは點心(ディムサム)を中心に構成される。前菜・スープに続き、皮から手作りした點心が8品ほど登場し、〆と甜心(デザート)で締めくくる。點心の皮は毎朝手打ちされ、包む野菜は自家菜園の朝採りのものを使用。お客様が来店する直前に仕込むことで、野菜の瑞々しさと香り、ほどよい歯ざわりが最大限に活かされる。ランチ追加オプションとして麻婆豆腐(¥2,000)または汁なし担々麺(¥1,700)の注文も可能だ。
ディナー:枸杞季節のコース(お一人様 ¥20,000・税込〜)
夜のコースは四川と広東の技法を融合させた、より充実した構成となる。前菜・スープ・點心に続き、海鮮・肉・野菜と続くメインの料理、そして〆と甜心まで、全コースを通じて自家菜園の旬野菜と厳選素材が惜しみなく使われる。スパイスや自家製発酵調味料が随所に用いられ、辛さや刺激の奥に幾重もの旨みが重なり合う複雑な味わいは、まさに「枸杞式」と呼ぶべき独創的な世界だ。価格は仕入れ状況により変動することがある。
ドリンクは、各種ビール・紹興酒・ワイン・奈良地酒といったアルコール類から、中国茶各種や自家製酵素ジュースといったノンアルコールまで幅広く揃う。ドリンクを注文しない場合はお一人様につきサービス料10%が加算される。
隠れ家の静謐と至高の体験――こんな人におすすめ
ならまちの古い町並みに佇む「枸杞」は、喧騒を離れた隠れ家的な雰囲気が漂う。完全予約制で1日に受け入れるお客様の数も限られているため、静かでプライベートな空間でゆっくりと食事に集中できる。
大切な人との記念日や特別な食事会、接待、あるいは食への探究心が旺盛なグルメ好きの一人旅など、シーンを選ばず利用できる。「本当に良いものを食べたい」という目的意識を持って訪れる人に、最高の体験を返してくれる店だ。ミシュランガイドや食のサステナビリティに関心の高い旅行者にも広く支持されており、奈良観光のハイライトとして組み込むのにふさわしい一軒といえる。
同じならまちには格子窓の続く町家建築や元興寺、奈良町資料館といった歴史的スポットが点在している。食事の前後に古都の風情を歩いて楽しめる立地の良さも、「枸杞」の魅力を際立たせる要素のひとつだ。
予約方法と営業情報――訪れる前に必ず確認を
「枸杞」は電話番号を非公表とし、すべての予約をSNSまたはメールで受け付ける完全予約制の店だ。予約受付は毎月1日の21時から翌月分を開始する(2月分のみ1月2日の21時開始)。人気が高いため、希望の月の予約はできるだけ受付開始直後に申し込みたい。
予約は「InstagramのDM」「FacebookのMessenger」「メール(naramachi.kuko@gmail.com)」の3つの方法で受け付けている。メールの場合は事前に受信設定を確認しておくこと。5日以内に返信がない場合は予約不可と判断するようアナウンスされている。
予約申し込みの際は、氏名・携帯番号・人数・第1〜第3希望日(時間の指定は受け付けていない)・アレルギーの有無・ランチ追加オプションの要否を漏れなく記載する必要がある。記載不備があると受付不可となるため、送信前に必ず確認したい。なお、来店時やTELによる予約は受け付けていない。
営業時間は週ごとに異なり、公式SNSのみで案内される。一般的なパターンとして、ランチは火・水・金・土の11:00〜13:00と13:30〜15:00の二部制(木曜日は11:30〜14:00)、ディナーは18:00〜21:00。定休日は日曜日・祝日・月曜日・木曜日(ディナー)。訪問前には必ずInstagramまたはFacebookの公式SNSで最新情報を確認してほしい。
近鉄奈良駅からならまちへは徒歩圏内。東大寺や春日大社などの奈良観光と組み合わせれば、古都の歴史と食文化を立体的に体感できる、忘れられない一日になるはずだ。
アクセス
奈良県奈良市奈良町
営業時間
ランチ:火水金土 11:00〜13:00、13:30〜15:00(二部制)、木曜 11:30〜14:00 ディナー:18:00〜21:00 定休日:日曜、祝日、月曜、木曜(ディナー休業) ※営業日は週ごとに異なり、最新情報は公式SNSで確認
料金目安
ランチ:枸杞點心コース ¥7,000 ディナー:枸杞季節のコース ¥20,000~ 追加:麻婆豆冨 ¥2,000、汁無し担担麺 ¥1,700
店舗詳細
- 価格帯
- $$$$$
- 対応言語
- 日本語 / 英語
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