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千原温泉千原湯谷湯治場

千原温泉千原湯谷湯治場

※写真はイメージです。

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島根県邑智郡美郷町の深い山あいに、明治18年の開湯から140年以上の歴史を刻む秘湯がある。「千原温泉千原湯谷湯治場」は、切り傷・火傷・慢性皮膚病に特効があるとして知られる療養専門の温泉で、湯治文化を今に伝える全国でも稀少な施設だ。

原始的な浴槽に湧く"生まれたての湯"

この温泉の最大の特徴は、浴槽の造りにある。泉源をそのまま板で囲い、底板を敷いただけという極めて原始的な構造で、掘削・加工を最小限に抑えることで、炭酸ガスを豊富に含む新鮮な源泉が湧き口から直接あふれ出す状態を保っている。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉、泉温34℃。人肌に近いぬる湯だからこそ、長時間じっくりと浸かり、成分を体の芯までしみ込ませることができる。人工的に整えられた温泉施設とは根本的に異なる、大地のエネルギーをそのまま受け取るような体験がここにはある。

かつては湯治専門、今は誰でも訪れられる開かれた秘湯

かつて千原温泉は療養を目的とする湯治客専用として運営され、一般の観光客には閉ざされた施設だった。現在はその門戸を広く開き、誰もが利用できる温泉として開放されている。しかしその本質は変わっておらず、湯治場としての静謐な雰囲気と、療養に向き合う真剣な空気は今も色濃く残っている。

節分・土用の丑の日に入湯する地域の風習

千原温泉が地域文化と深く結びついていることも、他の観光温泉とは一線を画す点だ。節分や土用の丑の日といった暮らしの節目に湯に浸かる習慣が地元に根付いており、温泉を薬として、季節の区切りとして活用する伝統が現代まで受け継がれている。単なる入浴施設ではなく、生活と信仰に寄り添ってきた湯であることが伝わってくる。

石見銀山街道の歴史とせせらぎに包まれた環境

周辺は石見銀山街道が通る歴史ある土地で、山と川が織りなす自然の中にひっそりと佇んでいる。湯に浸かりながら耳を傾けると、川のせせらぎと大地の静けさだけが聞こえる。都市の喧騒から切り離されたこの環境そのものが、療養の一部となっている。

上がり湯と持ち帰り温泉

春から秋にかけては、34℃の源泉に浸かった後に体を温めるための加温した上がり湯が用意されている。また、持ち帰り用の温泉も販売されており、自宅でその成分を楽しむことも可能だ。本物の湯治体験を求める人はもちろん、日本の温泉文化の原点に触れたい人にとって、千原温泉はほかでは代えられない場所となるだろう。

アクセス

島根県美郷町千原1070。最寄駅情報なし

営業時間

4月~10月:8:00~18:00(最終受付17:00)、11月~3月:8:00~17:00(最終受付16:00)。定休日:木曜日

料金目安

大人500円、子供300円、タオル200円、部屋休憩(5時間内)1200円/人、持ち帰り温泉100円/L

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