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仙台・宮城の旬カレンダー|三陸の海と仙台平野が育てる季節の味
グルメ
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仙台・宮城の旬カレンダー|三陸の海と仙台平野が育てる季節の味

仙台の食卓は「三陸の海」と「仙台平野」でできている

仙台でおいしいものを食べたいなら、まず地図を思い浮かべてください。東に広がる三陸のリアス海岸は、親潮と黒潮がぶつかる世界有数の漁場。牡鹿半島から気仙沼にかけての湾では牡蠣・ホヤ・銀鮭が養殖され、気仙沼や石巻の漁港には季節の回遊魚が水揚げされます。一方、市街地の西から南に広がる仙台平野では、阿武隈川や広瀬川の水が米と野菜を育てます。仙台の旬は、この「海の幸」と「里の幸」が季節ごとに主役を交代しながら回っていくのが特徴です。

どこで実物に出会えるかというと、仙台駅西口から徒歩5分の仙台朝市が最短ルート。戦後の青空市場を起源とし、「仙台の台所」と呼ばれる約70店の商店街で、鮮魚・海産物から仙台の伝統野菜まで、その日の旬がそのまま並びます。以下、季節を追って宮城の旬を産地つきで紹介します。

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春:銀鮭が脂を乗せ、せりが葉を伸ばす

仙台の春を告げる魚はみやぎサーモン(ギンザケ)です。宮城のギンザケ養殖は全国シェア8割超で圧倒的な日本一。南三陸町・女川町・石巻市の冷たい海で育ち、活け締めなど厳しい基準を満たした高鮮度のものが「みやぎサーモン」のブランド名で出回ります。旬はおおむね4〜7月で、出荷の最盛期は6〜7月。とろりとした食感と甘みは、刺身や寿司、漬け丼で味わうのが地元流です。

野菜では、冬に鍋で活躍した名取のせりが、春になると「葉せり(春せり)」へと表情を変えます。宮城のせりは全国トップクラスの生産量で、その約8割を名取市が占め、栽培の歴史は400年を超えると伝わります。冬の「根せり」がほろ苦さと甘みなら、4〜6月の春せりは葉の香りとみずみずしさが身上。おひたしや天ぷらで、香りの春を楽しめます。

甘いものなら仙台いちご。「もういっこ」をはじめとする品種が春に最盛期を迎え、亘理・山元町など沿岸部の産地から朝市にも届きます。

初夏〜夏:ホヤが「海のパイナップル」になる季節

宮城の夏を代表する珍味がホヤ(マボヤ)です。三陸産は全国生産のおよそ8割を宮城が担い、養殖は牡鹿半島以北の鮫浦湾から気仙沼湾にかけて、とくに寄磯・前網といった地区で盛んです。旬は5〜8月で、初夏に殻付きやむき身が市場やスーパーに並び始め、身が厚くなって旨味が増す7〜8月が食べ頃のピーク。甘・酸・塩・苦・旨の五味が同居する独特の味は「海のパイナップル」とも呼ばれ、新鮮なら酢の物や刺身で、夏の宮城の食卓に欠かせません。苦手意識のある方も、鮮度の良い殻付きを地元で食べると印象が変わります。

畑の夏の主役は枝豆です。宮城では枝豆をすりつぶした緑のあんで餅を和えたずんだが郷土の味。枝豆が穫れる夏が本来の旬で、仙台では七夕からお盆にかけてが最需要期にあたります。お盆に家族でずんだを作る風習が今も残り、ずんだ餅は夏の仙台土産の定番です。野菜では、伊達政宗の時代に伝わったとされる伝統野菜仙台長なすも夏が盛り。一本漬けで食べると、皮のやわらかさと締まった果肉がよくわかります。

秋:新米とはらこ飯、銀色のさんま

秋の仙台でぜひ味わいたいのが、亘理町発祥のはらこ飯です。鮭の身を煮た煮汁で米を炊き、その上に鮭の切り身といくら(この地方ではいくらを「はらこ」と呼びます)をのせた炊き込みご飯で、阿武隈川を遡上する鮭を獲っていた荒浜の漁師飯が原型。伊達政宗に献上されたという伝承も残ります。鮭が遡上するおおむね9〜11月が旬で、亘理を中心に県内の店で提供されます。注意したいのは、これは仙台市そのものより亘理町(県南の沿岸)の郷土料理だという点。仙台で食べるなら「亘理の」と添えると正確です。

その米も秋が旬。宮城を代表する銘柄ササニシキは昭和38年に県の古川農業試験場で誕生し、さっぱりとした食感で寿司のシャリに好まれてきた米です。秋に出回る新米は、はらこ飯はもちろん、宮城の魚の味を引き立てます。

海では、気仙沼に秋の使者さんまが水揚げされます。気仙沼はサンマの水揚げで知られる港で、9〜12月頃に銀色の大ぶりが揚がると港町が一気に秋色に染まります。同じ秋には、石巻港水揚げの大型マサバ「金華サバ」や、近海の生マグロを選び抜いた「ひがしもの」など、漁港のブランド魚も朝市に顔を出します。

冬:松島の牡蠣、せり鍋、気仙沼の「冬メカ」

冬の宮城は牡蠣の季節です。日本三景・松島は東北有数の牡蠣の産地で、近隣の浦戸(寒風沢)や石巻で養殖された牡蠣も含め、旬は10〜3月。寒い海で育つため身が締まり、加熱しても縮みにくいのが特徴です。冬季限定の「かき小屋」では、殻付きを蒸し焼きにして食べ放題で味わえる店が松島海岸に並びます。

鍋なら、冬こそせり鍋。先述の名取のせりは、寒さに耐えた「根せり(冬せり)」の出荷が9〜3月で、この根を出汁にさっとくぐらせて根まで丸ごと食べるのが仙台流です。根の土の香りと甘み、葉のシャキッとした食感を一度に楽しめる、冬の宮城を代表する鍋です。

魚では、気仙沼のメカジキが脂を蓄えます。気仙沼は生鮮メカジキの水揚げ日本一で、脂が乗って旨味の増す冬のものは「冬メカ」と呼ばれ、刺身やしゃぶしゃぶで珍重されます。さらに正月が近づくと、仙台ではなめたがれいが登場。煮付けにして食べる「年取り魚」として、大晦日の食卓に欠かせない冬の縁起物です。

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旬を逃さないための実用メモ

仙台で旬を確実に味わうなら、仙台朝市を起点にするのが手堅い選択です。仙台駅西口から歩いてすぐ、午前中から夕方前まで多くの店が開いており、その季節に何が出回っているかは店頭を見れば一目瞭然。鮮魚店で「今日のおすすめは?」と聞けば、産地と食べ方まで教えてもらえます。

産地の帰属を覚えておくと、店選びも会話も楽になります。ホヤ・銀鮭・牡蠣・メカジキ・さんまは三陸の海(牡鹿半島以北・松島・気仙沼・石巻)、せりは名取、はらこ飯は亘理、米と野菜は仙台平野——この対応関係が頭にあれば、どの季節に仙台を訪れても、その時いちばんおいしいものへまっすぐたどり着けます。なお価格は時期や相場で大きく動くため、本記事ではあえて具体額を挙げていません。旬の魚介はその日の水揚げ次第なので、迷ったら旬のものを店の人に聞いて選ぶのが、いちばん確実な「当たり」の引き方です。

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Written by

佐藤 美紀

温泉ソムリエ

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