メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
仙台の地酒と肴|浦霞に合う宮城県の絶品おつまみ
グルメ
6分で読める

仙台の地酒と肴|浦霞に合う宮城県の絶品おつまみ

宮城県の冬の夜は、しんと冷えた空気とともに更けていく。そんな夜に恋しくなるのが、手のひらに収まる一杯の地酒だ。仙台を拠点に宮城を旅するなら、ぜひ手に取ってほしい銘柄がある。塩竈市に蔵を構える「浦霞」は、全国にその名を知られる宮城県を代表する日本酒。すっきりした辛口のなかに米の旨みが溶け込んだ味わいは、飲み飽きることがなく、肴を選ばない懐の広さを持つ。本記事では、浦霞の特徴を掘り下げながら、宮城県の食材を使った絶品おつまみとの組み合わせを紹介する。

浦霞とはどんな日本酒か

浦霞を醸すのは、株式会社佐浦。創業は寛文年間(1661年頃)とも伝えられ、360年以上にわたって塩竈の地で酒造りを続けている老舗蔵元だ。蔵のある塩竈市は仙台の北東、松島湾に面した港町。海からの清澄な空気と、奥羽山脈から流れ込む軟水を活かした酒造りは、宮城の風土そのものを瓶に閉じ込めたようだと言われる。

浦霞の代表銘柄「浦霞 禅」は、全国新酒鑑評会で幾度も金賞を受賞している特別純米酒。香りはおだやかで、口に含むと米の甘みが広がり、後口はさらりとキレる。料理の邪魔をしない食中酒として設計されており、冷やでも常温でも、燗をつけてもそれぞれ異なる顔を見せる。地元では「浦霞のぬる燗に煮魚」という組み合わせが冬の定番とされており、温度帯によって変化する旨みは、じっくりと向き合うほど深みが増す。

三陸の海の恵みとの相性

浦霞が最も輝く肴を挙げるなら、まず三陸産の牡蠣を外すわけにはいかない。松島湾をはじめ女川、志津川など宮城県は日本有数の牡蠣の産地であり、11月から3月にかけて旬を迎える。生牡蠣に少量のポン酢を垂らして口に運んだ後、浦霞の純米吟醸をひと口。牡蠣の磯の香りと乳酸系の旨みが、酒の清涼感と溶け合い、互いを引き立てる。焼き牡蠣との相性も抜群で、バターを絡めた濃厚な一品には、やや温めた浦霞のぬる燗が寄り添う。

同じく三陸を代表するホタテや、仙台湾で水揚げされるマコガレイの刺身も好相性だ。宮城の魚介は脂が穏やかで、甘みと旨みのバランスが繊細なものが多い。だからこそ、強い個性で食材を圧倒するのではなく、米の旨みで静かに包み込む浦霞の酒質が機能する。地元の居酒屋では、その日に仕入れた三陸の魚を使った刺身盛りを「本日のお造り」として提供している店が多く、旬の一皿と地酒の組み合わせは仙台夜の醍醐味だ。

宮城の発酵食品と地酒の深い縁

宮城には、日本酒との親和性が高い発酵食品が揃っている。なかでも「仙台味噌」は外せない存在だ。戦国時代に伊達政宗が軍用食として持ち込んだとも伝わる仙台味噌は、熟成期間が長く、赤みがかった色と深いコクが特徴。この味噌で和えた「牛タンの味噌漬け」を炭火で焼いて、浦霞の特別純米と合わせると、発酵同士の旨みが共鳴し合う。牛タンは言わずもがな仙台の看板食材だが、塩焼きではなく味噌漬けにすることで、日本酒との接点が生まれる。

もうひとつ注目したいのが「金味噌」だ。宮城県内でしか流通しない甘口の白味噌で、豆腐や白身魚との相性が抜群。この金味噌を使った田楽や、根菜の味噌炒めは、浦霞の燗酒と合わせると身体の芯から温まる組み合わせになる。冬の仙台では、こうした発酵食を肴に地酒を嗜む「居酒屋文化」が根付いており、仙台駅周辺の国分町には老舗から新店まで個性的な店が軒を連ねる。

ずんだと地酒という異色の組み合わせ

「ずんだ餅と日本酒は合わない」と思い込んでいる人は多いかもしれないが、これは仙台で覆される先入観のひとつだ。枝豆をすりつぶして作るずんだは、豆の青っぽい香りと自然な甘みが特徴。これを塩を控えた薄味に仕上げたずんだ豆腐や、ずんだを添えた枝豆の浸し物として提供する店では、浦霞の辛口をキリリと冷やして合わせることを勧めている。豆の甘みを酒のシャープな辛みが洗い流し、口の中がリセットされる感覚が心地よい。

また、仙台の居酒屋では「ずんだエダマメのチーズ焼き」という創作肴も登場している。枝豆のペーストとクリームチーズを合わせてオーブンで焼いた一品は、濃厚なコクのなかに豆の清涼感が残り、浦霞の純米酒と予想以上に好相性だ。伝統食材を現代的にアレンジした肴は仙台の食シーンの特徴であり、地酒と組み合わせる新しい楽しみ方として定着しつつある。

仙台で浦霞を楽しむスポット

蔵元の佐浦では、塩竈市内の酒蔵見学ツアー(要予約)を実施しており、製造工程を見学した後に複数の銘柄を試飲できる。仕込み時期の冬から春にかけては、搾りたての新酒が味わえる特別な時期だ。蔵元直売所では「浦霞 本醸造」から「禅」「季醸」まで揃い、ここでしか入手できない限定ラベルの酒も販売している。

仙台市内では、国分町一番町日本酒専門の居酒屋や、酒屋に併設された角打ちが浦霞を含む宮城の地酒を揃えている。昼間から営業している角打ちでは、リーズナブルに一杯から楽しめるため、酒好きの旅人には特におすすめだ。また、仙台市内のデパートや土産物店でも各銘柄を購入でき、四合瓶(720ml)を一本持ち帰れば、自宅で宮城の肴をアレンジして仙台の夜を再現することもできる。

地酒と肴の文化は、その土地の気候・風土・歴史が凝縮されたものだ。浦霞を一杯傾けながら、三陸の牡蠣や仙台味噌漬けの牛タンをつまむとき、宮城の海と山と人が織りなす食の豊かさが、静かに伝わってくる。

シェアする

Written by

吉田 麻衣

フォトグラファー

この記事のエリアでグルメを探す

Related Columns

仙台ローカル

仙台で暮らす・働く・遊ぶをつなぐローカルサイト群。