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大阪のミュージアム散歩|国立国際美術館と大阪府のアート
観光・体験
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大阪のミュージアム散歩|国立国際美術館と大阪府のアート

地下に潜る美術館──国立国際美術館という体験

大阪・中之島に、地上からはほとんど姿を見せない美術館がある。国立国際美術館は、地下3階まで潜ったところに展示空間が広がるという、世界でも珍しい構造を持つ施設だ。エントランスに立つと、地上に突き出した竹をモチーフにしたステンレス製のフレームが空へ向かって伸び、その下に展示室への入口が口を開ける。地下へと続くスロープを下りながら、日常のざわめきが少しずつ遠のいていく感覚は、美術館に足を踏み入れる前から始まる一種のセレモニーのようだ。

設計したのはアルゼンチン出身の建築家シーザー・ペリ。2004年に現在地へ移転・開館した際、「竹の森」を想起させるこのファサードが話題を呼んだ。建築そのものを鑑賞するために訪れる人も少なくなく、美術愛好家だけでなく建築ファンにとっても見逃せないスポットとなっている。

コレクションの核は、戦後の国内外の現代美術作品だ。ポップアート、コンセプチュアルアート、抽象表現主義など、20世紀以降の多様な潮流を網羅しており、その数は約8,000点にのぼる。常設展では、これらのコレクションが定期的に入れ替わりながら展示されるため、何度訪れても新しい発見がある。入館料は一般430円と良心的で、特別展との共通券を使えばさらにお得に両方楽しめる。

中之島エリア──アートと水辺が交差する場所

国立国際美術館が立つ中之島は、堂島川と土佐堀川に挟まれた細長い島だ。古くから大阪の商業と文化の中心地として栄え、現在も大阪市中央公会堂や大阪府立中之島図書館など、歴史的建造物が点在している。近年はアートと再開発が交差するエリアとして注目度が高まっており、週末には地元の人々や観光客が水辺の遊歩道を散歩する姿が多く見られる。

美術館を訪れた後は、中之島公園を散策するのがおすすめだ。バラ園では春(5月)と秋(10月〜11月)に約4,000株のバラが咲き誇り、美しい香りとともに川の景色を楽しむことができる。周辺にはカフェやレストランも充実しており、美術鑑賞の余韻に浸りながらゆっくりと食事をすることができる。国立国際美術館の地下1階にも「ミュージアムカフェ」があり、展覧会をテーマにしたオリジナルメニューを提供していることもある。

大阪市内の移動は公共交通機関が便利で、中之島へは京阪中之島線「渡辺橋駅」から徒歩5分、または地下鉄四つ橋線「肥後橋駅」から徒歩10分ほどだ。大阪駅・梅田エリアからも歩いて20〜25分とアクセスは良好で、散策がてら川沿いを歩いて向かうのも一興だ。

大阪府のアートシーン──多彩な美術館めぐり

大阪には国立国際美術館以外にも、充実したアート体験ができる施設が数多く揃っている。大阪中之島美術館は2022年に開館したばかりの比較的新しい施設で、モディリアーニやユトリロなど近代西洋美術のコレクションで知られる。黒い外壁が特徴的なキューブ型の建物は、国立国際美術館と隣接しており、「中之島アートエリア」として両施設を合わせて楽しむ訪問者が増えている。

大阪城の東に位置する大阪市美術館は、住友家の寄贈によって1936年に開館した歴史ある施設だ。日本美術・東洋美術を中心に約8,500点のコレクションを所蔵し、重要文化財も多数含まれる。天王寺公園内に立地しているため、美術館の前後に公園を散策することもでき、ファミリーや幅広い年齢層に親しまれている。なお現在は大規模改修中のため、訪問前に最新情報を確認しておくと安心だ。

大阪南部の堺市には、山口県立美術館と並んで日本最大級の陶磁器コレクションを誇る「さかい利晶の杜」、また町衆文化の粋を感じられる「堺市博物館」もある。泉佐野市や岸和田市など、府下各地にも個性的な展示施設が点在しており、大阪府を舞台にしたアート旅の奥行きは思いのほか深い。

特別展と企画展──旬のアートに出会うために

国立国際美術館の魅力をより引き出すためには、特別展のスケジュールに合わせて訪問するのが理想的だ。年に3〜4回開催される特別展では、国内外の著名作家や美術館との共同企画が多く、普段は海外でしか見られない作品が大阪で公開されることも珍しくない。過去には草間彌生展やゲルハルト・リヒター展など、現代美術ファンにとって見逃せない大型展覧会が多数開催されてきた。

特別展の観覧料は展覧会によって異なるが、一般1,500円〜2,000円程度が目安だ。公式ウェブサイトでは最新の展覧会情報と同時に、音声ガイドの貸し出し(500円前後)やワークショップの案内も掲載されているので、訪問前に確認しておくと充実した時間を過ごせる。また毎月第一・第三日曜日は常設展が無料開放されるため、コレクションだけをじっくり鑑賞したい場合はこのタイミングが狙い目だ。

夜間開館(金・土曜日は20時まで延長)を利用すれば、仕事帰りや夕食前のひとときにアートに触れることもできる。地下に広がる静かな展示空間は、喧騒の中心地・大阪にあるとは思えないほど落ち着いた雰囲気で、夜の訪問には独特の情緒がある。

ミュージアム散歩の前に──知っておくと役立つ情報

国立国際美術館を核にした中之島エリアのミュージアム散歩を最大限に楽しむためのポイントをまとめておこう。まず時間に余裕を持つことが大切だ。常設展だけで90分〜2時間、特別展を加えると3時間以上かかることも多い。美術館をはしごする場合は、1日で詰め込みすぎず、2〜3館を目安にするのが疲れずに楽しめるコツだ。

荷物はコインロッカーに預けてから鑑賞するとストレスが少なく、広い展示室をゆったりと歩き回れる。館内の写真撮影は展覧会によってルールが異なるため、入口での案内をよく確認しよう。常設展では作品の横にQRコードが設置されていることが多く、スマートフォンで読み込むと詳しい解説が表示されるなど、デジタル活用も進んでいる。

美術館の周辺には複数の飲食店があるため、ランチを挟んで午前・午後で異なる施設を訪れるスケジュールが立てやすい。大阪名物のランチを楽しみながら、アートと街の両方を味わう一日は、大阪旅行の中でも特別な記憶として残るはずだ。現代美術の世界に初めて触れる人にも、美術通の方にも、国立国際美術館と大阪府のアートシーンは必ず新しい視点と感動を届けてくれる。

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Written by

中村 陽子

クラフトジャーナリスト

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。