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岡山のミュージアム散歩|大原美術館と岡山県のアート
観光・体験
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岡山のミュージアム散歩|大原美術館と岡山県のアート

岡山県は、「晴れの国」として知られる温暖な気候と豊かな歴史文化を誇る土地ですが、実はアートの聖地としても日本屈指の存在感を放っています。その中心に鎮座するのが、倉敷美観地区に位置する大原美術館日本最初の私立西洋美術館として1930年に開館したこの施設は、国内外のアートファンが岡山を訪れる最大の理由のひとつとなっています。岡山の美術館巡りは、単なる観光にとどまらず、人間の創造性の深さと美の普遍性を体感できる、知的な旅です。

大原美術館──日本近代文化の礎を作った西洋美術の殿堂

大原美術館は、倉敷の実業家・大原孫三郎が、盟友であった洋画家・児島虎次郎の功績を称えて設立した美術館です。児島は大原の援助を受けてヨーロッパに渡り、エル・グレコやモネ、ゴーギャンなど西洋絵画の傑作を数多く買い付けました。その収集品が日本初の本格的な西洋美術コレクションとして公開され、以来90年以上にわたって日本の美術教育に多大な影響を与え続けています。

館内は本館・分館・工芸・東洋館の4棟で構成されており、見どころも多岐にわたります。本館1階に展示されるエル・グレコの「受胎告知」は圧倒的な迫力で、初めて目にする来訪者の多くが言葉を失うほどの名作です。モネの睡蓮シリーズ、ゴーギャンの「かぐわしき大地」なども必見で、西洋絵画の精髄を一堂に鑑賞できる機会は国内では極めて稀です。

入館料は大人1,500円、大学生1,000円、高校生500円(常設展)。特別展開催時は料金が変わる場合があります。開館時間は9時〜17時(最終入館16時30分)で、月曜休館(祝日の場合は翌日)。倉敷駅南口から徒歩約15分、またはタクシーで5分ほどです。

美観地区と美術館が織りなす倉敷の景観美

大原美術館が位置する倉敷美観地区は、江戸時代の白壁の蔵が立ち並ぶ歴史的町並みで、日本有数の観光スポットです。倉敷川沿いの柳並木と石畳の路地は、まるで時代劇のセットのような風情があり、美術館へのアプローチ自体が旅の醍醐味となっています。

美観地区には大原美術館以外にも、工芸品や現代アートを扱うギャラリーが点在しています。「倉敷民藝館」では、日本各地の日用工芸品が展示・販売されており、民藝運動の思想に触れながら生活の美を再発見できます。また「大原美術館工芸・東洋館」では、バーナード・リーチや濱田庄司ら民藝の巨匠による陶磁器や染織品も鑑賞可能で、美術館の鑑賞をより立体的なものにしてくれます。

美観地区を歩く際には、アイビースクエアや倉敷考古館にも立ち寄りたいところ。昼食には地元名物のデミカツ丼(950円〜1,500円)や、倉敷産の食材を使ったカフェランチが楽しめる店舗も多数あります。

岡山市内のミュージアム──多彩なアートの世界へ

岡山市内にも、充実した文化施設が揃っています。岡山県美術館は岡山城に隣接する立地で、地元出身の画家・平福百穂や浦上玉堂などの作品を中心に、江戸から近現代にかけての日本美術を幅広く収蔵しています。入館料は一般200円と良心的で、常設展では岡山ゆかりの作家たちの仕事を時代の流れとともに体感できます。

また、岡山市立オリエント美術館は、古代オリエント(メソポタミア・エジプト・ペルシャ)の美術品を専門に収蔵する、アジア有数のユニークな施設です。楔形文字が刻まれた粘土板や、紀元前の彫像・装飾品が並ぶ展示室は、時空を超えた知的興奮を与えてくれます。入館料は大人300円で、隣接するカフェでの休憩も含めて半日ゆっくり楽しめます。

さらに、岡山後楽園の近くに位置する林原美術館は、旧岡山藩主池田家伝来の大名道具を核とする工芸・絵画のコレクションが特色。特に刀装具や能装束の精巧さは、日本の職人技の粋を感じさせます。

アートと街歩きを組み合わせたモデルコース

岡山・倉敷のミュージアム巡りを効率よく楽しむには、1泊2日のコースがおすすめです。

1日目(岡山市内): 午前中に岡山市立オリエント美術館→昼食は表町商店街周辺→午後に岡山県立美術館と岡山後楽園を散策→夕食は岡山駅前のビストロや居酒屋で地元食材を堪能。

2日目(倉敷): 午前中に倉敷美観地区を散策しつつ倉敷民藝館へ→大原美術館で昼食前後をたっぷり鑑賞(所要2〜3時間推奨)→美観地区の雑貨店やカフェで締めくくり。

岡山〜倉敷間はJR山陽本線で約15〜20分(片道330円)とアクセスも良好です。岡山駅周辺にはホテルが豊富で、1泊6,000〜12,000円程度から選べます。

企画展と地域アートイベントで広がる体験

大原美術館では年に数回、特別企画展を開催しています。過去には「民藝の100年」展や現代アート作家との共同プロジェクトなども実施され、常設展とは異なる切り口でアートの世界を広げてきました。岡山県内では毎年秋に「岡山芸術交流」という国際現代美術展が開催されることもあり、岡山城や旧内山下小学校などの歴史的建造物が現代アートの会場となる非日常的な体験ができます。

地域に根ざしたアートの取り組みとして、倉敷市では「倉敷まちなかアート」と呼ばれる商店街や公共空間を使ったアートプロジェクトも実施されており、美術館の外でもアートに触れる機会が豊富です。

岡山のミュージアム散歩は、世界水準の西洋絵画から日本の工芸美、古代オリエントの遺産まで、一度の旅でこれほど多様な美に出会える場所はそう多くありません。ぜひ時間をかけて、岡山のアートの深さをじっくりと味わってください。

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Written by

吉田 麻衣

フォトグラファー

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