フィットネス
フェンシング入門ガイド2026|ルール・種目・始め方から日本代表の活躍まで
フェンシングとは何か
フェンシングは細長い剣(フルーレ・エペ・サーブルの3種類)を使い、相手の有効部位に剣先(または剣全体)を当てて得点を競う格闘技です。1896年の第1回近代オリンピックから採用されている伝統的な競技で、ヨーロッパでは「貴族のスポーツ」として長い歴史を持ちます。
一瞬の判断と敏捷なフットワーク、戦術的な読み合いが融合したフェンシングは、「動く将棋」「チェスと格闘技の融合」とも表現されます。2004年アテネ五輪での太田雄貴選手の活躍以来、日本でも競技人口が増加しています。
3種目の違いを理解する
フェンシングには使用する剣と有効面が異なる3つの種目があります。
フルーレ(Foil) 剣先のみが有効で、有効面は胴体(躯幹部)に限定されます。「権利」(先に攻撃した側に優先権がある)というフェンシング独特のルールが最も厳格に適用される種目です。テクニックと戦術性が高く、初心者に最も馴染みやすい入門種目とされています。
エペ(Épée) 剣先のみが有効ですが、頭のてっぺんから足先まで全身が有効面です。権利のルールがなく、両者が同時に有効打を出した場合は両者に得点が入ります(引き分け点)。より防御重視の戦術が発展した種目で、慎重な読み合いが見どころです。
サーブル(Sabre) 剣先だけでなく剣全体(エッジ)が有効で、有効面は腰から上の上半身です。フルーレと同様に「権利」のルールが適用されますが、攻撃のテンポが非常に速くスピード感が最も高い種目です。
基本のルールと用語
アタック(攻撃)とパラード(防御) フルーレ・サーブルでは「権利(アタック権)」を持つ側が攻撃して相手に有効打を与えた場合のみ得点になります。権利を持たない側は相手の攻撃をパラード(受け流し)してから反撃(リポスト)する必要があります。
ポイント(得点) 個人戦は1試合5本先取(3分間)または3ピリオド制(各ピリオド5本)で行われます。団体戦は1チーム3名でリレー形式で対戦します。
アペル 前足を床に強く踏み鳴らして相手を牽制する動作です。フェンシング特有のリズムの一部として使われます。
日本国内でフェンシングを始める
フェンシングスクール・クラブ 各都道府県のフェンシング協会ウェブサイトやSNSで、初心者向けのクラブや体験教室を探せます。多くのクラブが「体験入会」を受け付けており、まずは1回試してから入会を検討できます。
首都圏・大阪・名古屋・福岡などの大都市圏ではフェンシング専門スクールが複数あり、子ども向けから大人向けのクラスが充実しています。
大学・高校の部活動 フェンシングは全国の大学・高校で部活動として活動しています。大学からフェンシングを始めた選手がオリンピックに出場する例もあり、競技を本格的に目指したい方には部活動への参加が近道です。
日本フェンシング協会の体験教室 日本フェンシング協会(JFA)や地域協会が主催する体験教室・初心者講習会も定期的に開催されています。
必要な用具と費用
フェンシングは用具が揃うまでに一定の費用がかかります。
マスク(面): 剣先の衝撃から顔を守る鉄製メッシュの面です。3,000〜15,000円程度。
ジャケット(上衣): 強化素材でできた防護服で、素材によって安全基準が異なります。8,000〜30,000円程度。
グローブ: 剣を持つ手を保護するグローブ。2,000〜8,000円程度。
剣(武器): 競技用の剣は種目によって形状が異なります。電気審判システムに対応した競技用剣は10,000〜30,000円程度。
ガントレット・プラストロン(肩・胸のパッド): 追加の保護具です。3,000〜10,000円程度。
合計すると一式揃えるのに30,000〜80,000円かかります。クラブによっては貸出用具を用意しているため、最初は借りながら様子を見て段階的に購入するのが賢明です。
日本代表の活躍と競技の魅力
日本フェンシングは近年、国際舞台で目覚ましい成果を上げています。
見延和靖選手は2019年世界選手権エペ個人で日本初の金メダルを獲得。2020年東京五輪では男子エペ団体(見延和靖・加納虹輝・宇山賢・山田優)が金メダルを獲得し、日本フェンシング史上初の五輪団体金となりました。女子でも西岡詩子・飯村一葉らがワールドカップで表彰台に立つなど、日本フェンシングは世界トップレベルに肩を並べています。
フェンシングの最大の魅力は、年齢・体格に関係なく戦術と技術で上位に食い込めることです。一般的なコンタクトスポーツより怪我のリスクも低く、40代・50代から始めた選手が数年で全日本選手権に出場する例も珍しくありません。
「剣で戦う」という非日常の体験と、対人競技ならではの心理戦の面白さが融合したフェンシング。体験教室で一度剣を手に取ってみると、その奥深さにきっと引き込まれるはずです。
パリ2024オリンピック——日本フェンシング史上最高の5メダル
2024年夏のパリオリンピックで、日本フェンシングは金2・銀1・銅2の合計5個という過去最高のメダル数を獲得し、競技の新時代を印象づけました。
- 男子エペ個人・金:加納虹輝選手が決勝で地元フランスの選手を破り、男子エペ個人で日本勢初の金メダルを獲得。東京2020のエペ団体金に続く、2つ目の五輪金となりました。
- 男子フルーレ団体・金:松山恭助・飯村一輝・敷根崇裕・永野雄大の4選手が決勝でイタリアを45−36で下し、男子フルーレ団体として史上初の金メダル。
- 男子エペ団体・銀:2大会連続のメダル獲得で、同種目での連続入賞は日本フェンシング史上初です。
- 女子フルーレ団体・銅/女子サーブル団体・銅:女子勢も表彰台に上がり、日本フェンシングの層の厚さを示しました。
かつて「マイナー競技」と見られがちだったフェンシングは、いまや日本が世界の頂点を争う競技へと成長しました。トップ選手の多くが子どもの頃の体験教室や地域クラブからキャリアを始めており、初心者が今から始めても決して遅くはありません。(出典:日本フェンシング協会・JOC)
フェンシングを始める前のよくある質問
Q. 運動が苦手でも始められますか? フェンシングは瞬発力よりも「間合いの読み合い」と正確な足さばきが重視される競技です。基本の構えとフットワークから段階的に練習するため、運動経験が少ない方や大人からの挑戦でも無理なく上達できます。
Q. 何歳から何歳まで楽しめますか? 小学生から始めるジュニアクラスもあれば、40代・50代から始めて全日本選手権を目指す例もあります。体格差や年齢差を戦術と技術で補えるのがフェンシングの大きな魅力です。
Q. 用具はいつ揃えればよいですか? 入門段階では多くのクラブがマスク・剣・ジャケットをレンタルしています。続けられそうだと感じてから、剣→ジャケット→マスクの順に少しずつ買い揃えるのが一般的です。
同じく礼節と対人の駆け引きを楽しむ日本の武道に関心があれば、弓道入門完全ガイドもおすすめです。体づくりの基礎を整えたい方は日本のフィットネスジム完全ガイドもあわせてどうぞ。
この記事のエリアでフィットネスを探す
RELATED COLUMNS
関連するコラム









