免税店になるには — 手続きと2026年11月の制度変更
この記事を読む前に
免税制度は2026年11月1日の販売分から「リファンド方式」へ大きく変わります(令和7年度税制改正)。本記事は2026年7月時点の一次情報(国税庁・観光庁・財務省)に基づいています。実際の申請・運用にあたっては、必ず記事末尾の一次情報と所轄税務署でご確認ください。
1. 免税店(輸出物品販売場)とは
免税店とは、外国人旅行者などの非居住者に対して、消費税を免除して物品を販売できる店舗のことです。制度上の正式名称は「輸出物品販売場」で、税務署の許可を受けた店舗だけが免税販売を行えます。
対象は「物品」の販売です(飲食や宿泊などのサービスは対象外)。土産物・工芸品・衣料品・家電・化粧品・食品などを扱うお店で、訪日客の来店が見込めるなら、実質10%の値引きと同じ集客効果を国の制度で提供できることになります。店頭の「Tax-Free」表示は、それ自体が訪日客への強い来店動機です。
免税対象となる購入額の下限は、同一店舗・同一日で5,000円以上です(この下限は2026年11月の制度変更後も維持されます)。
2. 【重要】2026年11月からリファンド方式に変わる
令和7年度税制改正により、2026年11月1日の販売分から、免税のしくみが「購入時免税」から「リファンド方式(出国時返金)」に変わります。流れは次のとおりです。
- 店舗は税込価格(課税)で販売する(レジで消費税を引かない)
- 購入者は購入日から90日以内の出国時に、税関で物品の持出し確認を受ける
- 税関の確認情報が免税販売管理システム経由で店舗に届き、店舗が消費税相当額を購入者に返金する
店舗運営の観点では、次の変更もセットで決まっています。
- 「一般物品」と「消耗品」の区分が廃止され、統一ルールになる
- 消耗品の「同一店舗1日50万円まで」の上限が廃止される
- 消耗品の特殊包装(開封防止パッケージ)義務が廃止される
- 「一般型」「手続委託型」という販売場の区分も廃止・統合される
つまり、レジ処理は今よりシンプルになる一方で、「返金」という新しいオペレーション(返金原資の管理・返金方法の準備)が発生します。返金方法の運用細部(現金・カード・代行事業者の扱いなど)は国税庁のQ&Aで順次詳細化されているため、断定的な情報ではなく必ず最新の一次情報(観光庁 消費税免税店サイト)を確認してください。
すでに免税店の場合は、利用中の免税システム提供事業者(承認送受信事業者)からの改修案内に沿った対応が必要です。これから免税店になる場合は、最初からリファンド方式前提で準備できるという意味で、むしろ移行の影響が小さいタイミングとも言えます。
3. 免税店になる手続き(現行制度)
免税店の許可は、事業者の納税地を所轄する税務署に店舗ごとに申請します。申請手数料は不要(無料)です。主な許可要件は次の3点です。
- 消費税の課税事業者であり、国税の滞納がないこと
- 非居住者(外国人旅行者等)の利用が見込まれる場所に店舗があること
- 免税販売手続に必要な人員の配置と設備があること
「観光地の一等地でないとダメ」ということはありません。訪日客が実際に訪れる商店街・繁華街・郊外の店舗でも許可例は多数あります。要件の詳細と申請様式は国税庁の案内(輸出物品販売場許可申請)と観光庁の「免税店になるには」にまとまっています。
なお現行制度には、自店で手続を完結する「一般型」と、商店街や百貨店などで免税手続カウンターに委託する「手続委託型」がありますが、前述のとおりこの区分は2026年11月1日の移行で廃止・統合されます。これから申請する場合は、この統合を前提にスケジュールを組んでください。
4. 免税販売手続の電子化
免税販売の手続は電子化が義務です(2021年10月に完全義務化済み)。免税店は購入記録情報を国税庁の「免税販売管理システム」へ電子送信する必要があり、許可申請時に「購入記録情報の提供方法等の届出書」を提出します。
実務上は、免税対応POS・免税アプリなどの民間サービス(承認送受信事業者)を利用するのが一般的です。2026年11月以降のリファンド方式では、税関の持出し確認情報もこのシステム経由で店舗に届くため、電子化対応はリファンド方式運用の前提インフラになります。
5. 小さなお店は対応すべきか:判断の軸
免税対応にはシステム利用や返金オペレーションのコストがかかります。判断の軸は次の3つです。
- 客単価:免税の下限は5,000円です。訪日客の平均購入額が数千円に届かない業態(例:飲食が主で物販が少額)では効果が限られます。
- 商品構成:工芸品・刃物・衣料・化粧品・食品土産など「持ち帰る物品」が主力なら、免税は強力な後押しになります。サービス(飲食・体験・宿泊)は制度の対象外です。
- 訪日客の来店実績・見込み:すでに月に数組でも訪日客が来ているなら、機会損失が発生している可能性が高い状態です。まだゼロなら、先に見つけてもらう施策から始めるのが順序としては先です。
「まだ判断がつかない」場合は、2026年11月の新制度開始後に運用が安定してから参入する選択も合理的です。その間に多言語対応・決済対応・露出(掲載)を整えておけば、免税対応を始めた時の効果が最大化されます。
6. 一次情報・相談先
- 観光庁 消費税免税店サイト(リファンド方式の移行案内):mlit.go.jp/kankocho/tax-free
- 観光庁「免税店になるには」:mlit.go.jp/kankocho/tax-free/howto.html
- 国税庁 輸出物品販売場許可申請(申請様式・要件):nta.go.jp(手続案内)
- 財務省 令和7年度税制改正大綱(リファンド方式の根拠):mof.go.jp(税制改正大綱)
個別の申請可否・税務処理は、所轄税務署または税理士にご相談ください。本記事は2026年7月時点の情報であり、法的助言ではありません。
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