伊豆半島の東海岸、相模湾を望む伊東市の高台に位置する伊豆シャボテン動物公園は、1959年の開園以来60年以上にわたり、多くの旅行者に愛され続けてきたユニークなテーマパークです。世界各地から集めた約1,500種のサボテン・多肉植物と、自由に歩き回る動物たちが同じ空間に共存するという、ほかでは味わえない体験が最大の魅力です。
開園の歴史と「サボテン公園」誕生の背景
伊豆シャボテン動物公園が産声を上げたのは1959年のこと。当時、サボテンは珍しい観葉植物として日本国内で人気が高まりつつあり、温暖な気候に恵まれた伊豆の地がその栽培に最適と判断されたことが開園のきっかけでした。メキシコや南米、アフリカなど乾燥地帯に自生するサボテンや多肉植物を大規模に集め、植物展示と動物展示を組み合わせた複合型テーマパークとして成長してきました。
伊豆の温暖な気候は植物にとっても動物にとっても過ごしやすい環境であり、屋外での自然に近い展示が実現しています。開園当初から「植物と動物の共存」というコンセプトを掲げ、時代とともに展示内容を充実させながら、地域を代表する観光スポットとして定着してきました。
サボテン温室と多肉植物の世界
園内でまず目を引くのが、大型のガラス張り温室に広がるサボテンと多肉植物のコレクションです。身長をはるかに超える大型のサボテンから、繊細な棘を持つ小型種まで、世界各地の乾燥地帯を原産とする多様な植物が一堂に会しています。アメリカ・アリゾナ州の砂漠地帯に自生する柱サボテン(サグアロ)をはじめ、マダガスカル固有の奇妙な形の多肉植物など、植物図鑑の世界がそのまま目の前に広がります。
温室内はゾーン別に整理されており、原産地ごとの植生の違いを比較しながら観察できます。棘の形状や花の色、幹の質感に至るまで、それぞれの植物が独自の進化を遂げてきた歴史を感じ取ることができ、植物に詳しくない人でも思わず立ち止まってしまう見ごたえがあります。サボテンの花が咲く季節には、無骨な外見からは想像できないほど鮮やかな花を楽しむことができます。
動物との自由な触れ合い
伊豆シャボテン動物公園のもう一つの大きな魅力が、動物たちとの距離の近さです。カピバラ、カンガルー、プレーリードッグ、ダマシカなど、多くの動物が園内を比較的自由に行動しており、柵越しではなく間近で観察したり、直接触れ合ったりできるエリアが設けられています。
特にカピバラは同園を代表するアイドル的存在です。世界最大のげっ歯類であるカピバラは、その温和な性格と丸みを帯びた愛らしい外見から、子どもから大人まで幅広い人気を集めています。園内ではカピバラが悠然と歩き回る姿を間近で観察できるほか、エサやり体験ができる時間帯もあります。
カンガルーエリアではオーストラリア産のカンガルーが放し飼いに近い形で展示されており、その跳躍力や子育ての様子を観察することができます。プレーリードッグの巣穴周辺も人気のスポットで、縄張り意識の強い彼らの社会的な行動パターンを観察するのも一興です。
冬の風物詩・カピバラの露天風呂
伊豆シャボテン動物公園を語る上で外せないのが、冬季限定で行われる「カピバラの露天風呂」です。1982年に世界で初めて実施されたこの取り組みは、今では同園の代名詞ともいえる人気イベントとなっています。
毎年11月末から翌年の2月頃にかけて、カピバラたちが温かいお湯の露天風呂に浸かる姿を観覧することができます。湯気の立ち上る湯船でとろけるように目を細めるカピバラの表情は、見る者の心を和ませる癒やしのひとときを提供してくれます。冬至の時期には柚子を浮かべた「ゆず湯」が行われ、黄色い柚子と湯気の中でくつろぐカピバラの光景は多くのメディアでも取り上げられてきました。
この時期は観光客が特に集まる季節でもあり、開園直後や閉園前の時間帯を狙って訪れると、比較的ゆったりと観覧できます。
季節ごとの楽しみ方
春は園内の桜や花々とサボテンのコントラストが楽しめる季節です。緑豊かな伊豆の自然が萌え出す中、異国情緒漂うサボテンの姿が独特の景観を生み出します。サボテンの開花が見られる種類もあり、植物観察に最も適した時期の一つです。
夏は伊豆の青空の下、動物たちが活発に動き回る様子を観察するのに向いています。早朝の涼しい時間帯に訪れると、動物の活動量が高く、生き生きとした姿を楽しめます。エサやり体験なども実施されており、家族連れでの夏休み旅行に最適なスポットです。
秋は紅葉と温帯性の植物が織りなす風景が美しく、ハイキング気分で園内をゆっくり散策するのに適した季節です。近隣の大室山の草紅葉とあわせて楽しむ観光客も多く見られます。
冬はカピバラの露天風呂に代表されるように、同園ならではの体験が集中する季節でもあります。空気が澄んだ晴れた日には、相模湾越しに富士山のシルエットが見える絶景ポイントもあり、寒さを忘れさせてくれます。
アクセスと周辺の見どころ
伊豆シャボテン動物公園へのアクセスは、伊東駅からバスで約30分が一般的なルートです。東海バスが伊東駅から「シャボテン公園」停留所まで直通で運行しており、観光シーズンには便数も増えるため、公共交通機関だけでの訪問も十分可能です。車の場合は伊豆スカイライン・冷川インターチェンジから約10分とアクセスしやすく、駐車場も完備されています。
周辺には大室山(おおむろやま)が隣接しており、リフトで山頂まで上がると360度のパノラマビューが広がります。伊豆高原エリアには複数のミュージアムや温泉施設も点在しており、伊豆シャボテン動物公園を起点に一日観光コースを組むことができます。伊東温泉の宿に泊まり、翌日に訪れるプランも人気です。伊豆急行・伊豆高原駅周辺にはカフェや飲食店も充実しており、観光の拠点として便利に利用できます。
交通
静岡県伊東市内、最寄り駅またはバス停からアクセス
營業時間
9:30〜17:00
預算
500〜2,000円