長野県北部、山ノ内町に位置する志賀高原は、標高1,500メートルから2,000メートル以上に広がる広大な高原地帯です。1980年にユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に登録されて以来、豊かな自然環境と多様な生態系を守り続けてきた、日本を代表する山岳リゾートの一つです。
大自然が育んだ高原の地形と生態系
志賀高原の地形は、かつての火山活動によって生み出されました。溶岩流が谷を塞ぐことで形成された大小さまざまな湖沼群が点在し、丸池、琵琶池、木戸池、大沼池など70以上の池や沼が高原のあちこちに息づいています。なかでも大沼池は、コバルトブルーとも形容される独特の青緑色の水面が美しく、周囲を原生林に囲まれた幻想的な景観が訪れる人を魅了します。
高原全体はジョウシン越後国立公園(上信越高原国立公園)の一部を成し、ブナやダケカンバの原生林、高山植物の群落、希少な野生動物が暮らす豊かな生態系が守られています。ニホンザル、ツキノワグマ、ニホンカモシカなどの大型哺乳類から、多種多様な野鳥や昆虫まで、ここは生き物たちの楽園でもあります。ユネスコエコパークへの登録は、その自然の価値が国際的に認められた証といえるでしょう。
夏:トレッキングと高山植物の宝庫
夏の志賀高原は、登山者やハイカーにとって理想的なフィールドです。高原を縦断するルートは初心者から上級者まで対応した多彩なコースが整備されており、湖沼をめぐる平坦な散策路から、横手山(標高2,307m)や笠ヶ岳(標高2,076m)を目指す本格的な登山道まで楽しめます。
横手山は志賀高原で最も標高が高いピークの一つで、山頂へはリフトとスカイレーターを乗り継いで気軽にアクセスできます。晴れた日には北アルプスや頸城山塊を一望でき、雄大なパノラマが広がります。山頂付近にあるパン屋「雲の上のパン屋」は多くの登山者に親しまれる名物スポットです。
6月下旬から8月にかけては、レンゲツツジやニッコウキスゲ、ワタスゲなど高山植物が次々と花を咲かせ、高原は鮮やかな色彩に包まれます。特にレンゲツツジが咲き誇る6月の風景は圧巻で、濃いオレンジ色の花々が草原を染め上げる様子は写真映えも抜群です。
秋:黄金色に輝く紅葉の絶景
9月下旬から10月中旬にかけて、志賀高原は紅葉の名所へと姿を変えます。標高が高いため、平地よりもひと足早く秋色に染まり、ダケカンバの黄金色とナナカマドの赤が複雑に絡み合う風景は、まさに圧巻の一言です。
湖沼に映り込む紅葉の水鏡は特に美しく、琵琶池や木戸池などの湖畔から眺める景色は訪れる人々の心に深く刻まれます。週末には多くのカメラマンが各スポットに集まるほど、その紅葉は人気が高く、シーズン中の平日に訪れると比較的ゆっくりと鑑賞できます。
また、志賀高原から少し下ったところにある渋峠(国道292号線)は、日本国道の最高地点(標高2,172m)として知られ、紅葉シーズンには沿道のドライブも格別な体験となります。ただし冬期は通行止めになるため、訪問前に道路情報を確認することが必要です。
冬:日本有数のスキーリゾート
志賀高原は、日本屈指のスキーリゾートとしても世界的に名が知られています。21のスキー場が連なり、全体で約80本ものコースが展開される規模は国内最大級。1998年の長野冬季オリンピックでは、回転・大回転・スーパー大回転などアルペンスキー競技の会場となり、その名は世界に広まりました。
積雪は例年12月下旬から始まり、最盛期には2メートルを超えることもあります。パウダースノーの質の高さは国内外のスキーヤーから高く評価されており、外国人観光客の訪問も年々増えています。初心者向けの緩やかなゲレンデから上級者向けの急斜面まで揃っているため、家族連れやグループでの旅行にも最適です。
スキーだけでなく、スノーシューを履いて静かな雪原を歩くトレッキングも人気を集めています。雪に覆われた森の中を歩きながら、普段とは異なる自然の表情を楽しむことができます。
周辺の観光・温泉と合わせた旅のプラン
志賀高原を訪れる際には、麓に広がる湯田中・渋温泉郷との組み合わせがおすすめです。古くから湯治場として栄えた渋温泉は、石畳の路地に9つの外湯が並ぶ情緒ある温泉街で、浴衣姿で散策する風情は格別です。外湯めぐりは宿泊者限定の特典で、9つ全部を入り歩く「九湯めぐり」は多くの旅行者に愛される定番コースです。
また、渋温泉から程近い地獄谷野猿公苑では、温泉に入るニホンザル(スノーモンキー)の姿を間近に観察できます。この光景は外国メディアでも繰り返し取り上げられ、今や世界中から観光客が訪れる国際的な観光スポットとなっています。特に冬の積雪期、湯気の立ち込める温泉に浸かるサルの表情は独特のユーモアと愛嬌に満ちており、訪れた人々の心を和ませます。
アクセスは、長野電鉄の湯田中駅が最寄りの鉄道駅で、長野駅からの所要時間は約45分です。湯田中駅からは志賀高原行きのバスが運行されており、各エリアへのアクセスが可能です。マイカーの場合は上信越自動車道の信州中野ICから国道292号線を利用するのが一般的なルートです。四季を通じて異なる表情を見せる志賀高原は、何度訪れても新たな発見と感動をもたらしてくれる場所です。
交通
長野県山ノ内町内、最寄り駅またはバス停からアクセス
營業時間
散策自由
預算
無料