草津温泉の地蔵エリアに2021年に誕生した「顔湯」は、温泉の蒸気を顔全体で受け止めるというユニークな体験施設です。足湯でも手湯でもない、顔専用の温泉スポットとして全国でも珍しい存在感を放ち、観光客の間でじわじわと話題を集めています。
草津温泉と地蔵エリアの歴史
群馬県吾妻郡草津町に位置する草津温泉は、有馬温泉・下呂温泉と並んで日本三名泉のひとつに数えられる名湯です。温泉街の中心に広がる湯畑は草津のシンボルとして知られ、毎分数千リットルにも及ぶ豊富な湧出量と強い酸性度が特徴です。かつては「傷の湯」として戦国武将たちにも珍重され、江戸時代には徳川将軍家も利用したと伝えられる由緒ある温泉地として、400年以上の歴史を刻んでいます。
その草津温泉のなかでも、湯畑から少し離れた地蔵エリアは、観光客の多い中心部とは異なる落ち着いた雰囲気が漂うゾーンです。このエリアの名前の由来ともなった「地蔵源泉」は、草津の代表的な源泉のひとつ。共同浴場「地蔵の湯」を中心に、古くから地域の人々の生活とともにあった温泉文化が今も息づいています。近年この地蔵エリアを整備・発展させた複合施設「裏草津地蔵」が誕生し、漫画堂やカフェ、体験施設などが加わったことで、新たな観光スポットとして注目されるようになりました。
顔湯とは?その仕組みと体験
「顔湯」とは、温泉から立ち上る蒸気を顔に直接あてて楽しむ施設です。専用の台に顔を近づけると、地蔵源泉の湯気がふわりと顔全体を包み込みます。足湯が足元をじんわり温めるように、顔湯は顔の皮膚全体から温泉の成分を取り込むことができる、いわば「フェイス版温泉」ともいえる体験です。
草津温泉の泉質はpH2前後という強酸性で知られており、この酸性の湯には殺菌効果や美肌効果があるとされています。顔湯に使われている地蔵源泉も同様で、肌に触れることでターンオーバーを促し、肌がすべすべになると評判です。2021年に完成したこの施設は、24時間無料で利用できるため、早朝の散歩がてら立ち寄ったり、夜の温泉上がりに試してみたりと、気軽に楽しめる点が大きな魅力となっています。
同じ場所には足湯と「手洗乃湯」も併設されており、顔・手・足と体のさまざまな部位で同時に草津の温泉を体感できるのも、地蔵の湯まえ顔湯エリアならではの贅沢な楽しみ方です。
裏草津地蔵の複合施設としての魅力
顔湯が位置する「裏草津地蔵」は、のんびりとした時間を過ごすことをコンセプトにした複合施設です。にぎやかな湯畑周辺とは一線を画す静かな雰囲気の中に、個性的な施設が点在しています。
木造2階建ての「漫画堂」では約1万冊もの漫画が揃っており、草津温泉にゆかりのある作家の作品を中心に、幅広い年代が楽しめます(大人400円・小学生300円、2時間)。隣接する「カフェ月の貌」は、湯上がりにほっと一息つける大人のための落ち着いた空間で、こだわりのコーヒーやここだけのオリジナルメニューが評判です。
また「百年石別邸」では、石灰石に好きな絵や文字を描き、草津の酸性温泉につけて磨き上げるという体験が楽しめます(1つ800円)。酸性の湯が石を溶かし、描いた部分だけが浮かび上がるという、草津温泉の泉質を活かした世界に一つのお土産づくりは特に人気のコンテンツです。さらに共同浴場「地蔵の湯」を貸し切りで利用できる「伝統湯 地蔵」(1時間3,500円・要予約)では、草津に古くから伝わる入浴法や湯もみを体験することもできます。
季節ごとの楽しみ方
草津温泉は年間を通じて観光客が訪れますが、顔湯を含む地蔵エリアにはそれぞれの季節ならではの楽しみ方があります。
春は残雪と新緑が交差する清々しい季節。冬の寒さが残る早朝に顔湯で体を目覚めさせてから、温泉街を散策するというスタートが心地よい季節です。夏は避暑地として人気の草津の涼しい空気の中、蒸気を顔に受けることで内側からスキンケアができると女性観光客にも好評です。秋は周辺の山々が紅葉に染まり、温泉街の風情が一層深まります。地蔵エリアの高台広場からは湯畑を見下ろすこともでき、紅葉越しに眺める温泉街の景色は格別です。冬は積雪と白い湯けむりが幻想的な雰囲気を醸し出し、体の芯まで冷える季節だからこそ、顔湯の温かな蒸気が格段に心地よく感じられます。夜間にはライトアップも行われ、昼とは異なる幻想的な表情を見せてくれます。
アクセスと周辺情報
草津温泉へのアクセスは、JR吾妻線「長野原草津口駅」からJRバスで約25分が一般的です。東京・新宿方面からは高速バス「上州ゆめぐり号」や「草津温泉バスターミナル」直行の便も運行されており、バスターミナルから地蔵エリアまでは徒歩10〜15分ほどです。
地蔵の湯まえ顔湯・足湯・手洗乃湯は24時間無料で開放されているため、チェックイン前の散策やチェックアウト後の立ち寄りにも便利です。周辺には「草津温泉バスターミナル」をはじめ、温泉まんじゅうや地元グルメを提供する飲食店・土産店も多く、観光の拠点として使い勝手のよいエリアです。裏草津地蔵の各施設(カフェ月の貌・漫画堂など)は基本的に年中無休(メンテナンス休館を除く)で営業しており、9時から17時を目安に利用できます。
草津温泉を訪れた際は、定番の湯畑見学や温泉入浴だけでなく、地蔵エリアで顔湯という一風変わった体験を加えてみてください。草津ならではの高品質な温泉を肌で感じながら、のんびりとした時間を過ごす——そんな新しい草津の楽しみ方が、ここには待っています。
交通
草津駅から徒歩圏内
營業時間
24時間(無休)
預算
無料