甲府駅からほど近い場所に店を構える澤田屋 本店は、山梨を代表する老舗和菓子店です。約100年にわたって守り続けられてきた名物「くろ玉」を目当てに県内外から多くの人が訪れ、その素朴で深みのある味わいは世代を超えて愛され続けています。
昭和4年から続く、まるいお菓子の物語
澤田屋の名を全国に知らしめたのが、看板商品「くろ玉」です。その誕生は1929年(昭和4年)のこと。先代の職人がさまざまな形の餡に羊羹をかけながら試行錯誤を重ね、最終的にたどり着いたのが「まるい」形でした。ころんとした愛らしい見た目は発売直後から大きな話題を呼び、あっという間に人気商品へと成長。以来、約100年にわたって山梨の銘菓として地域に根づき、世代を超えて愛され続けています。
「まるを、おくる」というブランドコンセプトには、贈る側と受け取る側の双方に丸く穏やかな時間が広がってほしいという、澤田屋の想いが込められています。円という形には古くから縁起の良さや円満、無限のつながりといった意味が込められており、和菓子としての美しさと贈り物としての心遣いが、くろ玉の丸い形に凝縮されているといえるでしょう。時代の波に流されることなく、発売当初の製法と素材へのこだわりを守り続けてきたことが、今日の揺るぎない人気を支えています。
たった2つの素材が生む、深い味わい
くろ玉の材料は、驚くほどシンプルです。使うのは「うぐいす餡」と「黒糖羊羹」のわずか2種類のみ。うぐいす餡には、良質な青えんどう豆だけを使用します。豆を丁寧に煮込んで粒の食感を残しながら仕上げることで、豆本来のやさしい甘さと香りが際立ちます。その餡をぐるりと包み込むのが、コクのある黒糖を使った羊羹。深みのある黒褐色の外観は見るからに存在感があり、口に入れると黒糖ならではのまろやかな甘さと豊かな香りが広がります。
うぐいす餡のさわやかな豆の風味と、黒糖羊羹の深い甘さ——この二つのシンプルな素材の組み合わせが、奥行きのある複雑な味わいを生み出しています。素材数が少ないからこそ、それぞれの品質が直接味に反映されます。澤田屋が長年にわたって素材の選定と製法にこだわり続けてきた理由はここにあり、一口食べればその誠実さが舌でわかります。シンプルだからこそ飽きることなく、何度食べても新たな発見があるのがくろ玉の魅力です。
贈り物として愛される「まるを、おくる」という文化
くろ玉は、山梨を代表する手土産・贈り物として長年親しまれてきました。小箱に整然と並んだ黒くまるいお菓子は、見た目にも美しく、受け取った人の顔をほころばせる力があります。結婚や出産のお祝い、訪問時の手土産、季節のご挨拶など、さまざまなシーンで活躍する贈り物として重宝されてきました。
近年では、県外からの観光客が甲府を訪れる際に真っ先に立ち寄るスポットとしても広く知られています。特に首都圏からの旅行者にとって、澤田屋 本店は「甲府に来たら必ず寄る場所」として定着しつつあります。地元の人々にとっても、遠方からの来客をもてなす際の定番ギフトであり、山梨の食文化を語るうえで欠かせない存在です。購入したその場でいただくのはもちろん、大切な人へのお土産として持ち帰る方も多く、くろ玉は旅の記憶をやさしく彩ります。
甲府観光の起点として——周辺の見どころ
澤田屋 本店が位置する甲府駅周辺は、山梨観光の玄関口でもあります。店舗の近くには、甲府城跡を整備した舞鶴城公園があり、城壁や石垣の跡をたどりながら歴史の息吹を感じることができます。甲府城は安土桃山時代から江戸時代にかけて重要な役割を果たした山城で、現在は市民の憩いの場として親しまれています。また、バスや車で足を伸ばせば、武田信玄を祀る武田神社にも参拝でき、戦国時代の歴史に思いをはせることができます。
甲府盆地を囲む山々——南アルプスや八ヶ岳を望む眺めも格別で、晴れた日には遠く富士山の姿を見渡せることもあります。春には盆地一面に桃の花が咲き広がり、一面ピンク色に染まる光景は山梨ならではの絶景です。夏はフルーツ狩り、秋はぶどうや梨の収穫と、四季折々の楽しみ方が豊富なエリアです。澤田屋 本店でくろ玉を購入してから周辺を散策するルートは、甲府観光の定番コースのひとつといえるでしょう。
アクセスと訪問のポイント
澤田屋 本店はJR甲府駅から徒歩圏内に位置しており、電車でのアクセスが非常に便利です。甲府駅は東京・新宿方面からJR中央本線の特急「あずさ」や「かいじ」で約1時間半〜2時間でアクセスでき、週末の日帰り旅行にも最適なロケーションです。車でお越しの場合は、中央自動車道の甲府昭和ICまたは甲府南ICが最寄りとなります。
店内ではくろ玉をはじめ、その他の和菓子も取り扱っています。人気商品は売り切れてしまうこともあるため、確実に購入したい方は早めの時間帯に訪れることをおすすめします。山梨を旅する際にはぜひ澤田屋 本店に足を運び、約100年の歴史が一粒に凝縮された「くろ玉」をご賞味ください。その丸くて黒いお菓子には、職人の誠実さと、山梨という土地が育んだ豊かな食文化が詰まっています。
交通
山梨県甲府市中央4-3-24(駐車場あり)
營業時間
ショップ 10:00-18:00/カフェ 10:00-17:00(LO) 定休日: 元日・毎週火曜日(例外あり)
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