高知の台所とも呼ばれる「ひろめ市場」は、約60もの飲食店・物産店が軒を連ねる屋内型のフードマーケットです。地元の人も観光客も分け隔てなく同じテーブルを囲む、高知ならではのにぎやかな食文化の発信地として、全国からその名を知られています。
高知の食と文化が凝縮された空間
ひろめ市場が現在の場所にオープンしたのは1998年のこと。高知城のすぐそばに位置するこの市場は、かつて藩政時代に「廣松(ひろめ)さん」の屋敷があったという由来から名前が付けられました。高知城の城下町として栄えた帯屋町商店街の一角に生まれたひろめ市場は、開業から四半世紀以上を経た今も高知を代表する観光スポットとして色あせることなく輝き続けています。
建物の中に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは中央に広がる広大な共用テーブル席です。飲食スペースをぐるりと囲むように各店舗のカウンターが並び、好みの店で料理を注文して共用席へ持ち帰るというスタイルが基本です。朝から夜まで絶えず人が行き交い、賑やかな話し声と料理の香りが渾然一体となったこの空間は、よそ者も地元民も関係なく互いに打ち解けてしまう不思議な魅力を持っています。
ひろめ市場の名物グルメ
ひろめ市場を訪れたなら、まず食べておきたいのが「カツオのたたき」です。高知は日本一のカツオの水揚げ量を誇る土地であり、ひろめ市場内の複数の店舗では目の前で藁焼きにしたカツオのたたきを提供しています。強い炎で表面だけを香ばしく焼いたたたきは、身のしっとりとした食感と豊かな風味が格別で、高知産の塩やポン酢、にんにくスライスとともに味わうのが地元流です。
カツオのたたき以外にも、高知ならではの珍味を楽しめるのがひろめ市場の醍醐味です。ウツボの唐揚げは、コリコリとした食感と淡白な味わいが癖になる一品。クジラ肉の刺身や竜田揚げも高知らしさを感じさせてくれます。また、高知の宴席料理「皿鉢料理(さわちりょうり)」のスタイルを手軽に体験できるのもひろめ市場ならでは。大皿に盛り合わされた海の幸を囲み、地酒や土佐鶴、酔鯨といった高知の地酒と一緒に楽しむ時間は、旅の記憶に深く刻まれることでしょう。
甘いものを求めるならアイスクリンが外せません。高知の老舗が守り続けるシャーベット状のご当地アイスは、フルーティーな甘さと軽やかな口当たりが特徴で、食事の合間のひとやすみにぴったりです。
高知の「おきゃく」文化を体験する
ひろめ市場の魅力はグルメだけではありません。高知には「おきゃく」と呼ばれる宴会・もてなしの文化が根強く残っており、ひろめ市場はその文化を日常的に体験できる場所でもあります。見知らぬ旅人が相席になり、気づけば地元の人と盃を交わしている——そんな光景が昼間から繰り広げられるのが、ここならではの空気感です。
土佐の飲み会文化には「返杯(へんぱい)」という習慣があります。お酒を注いでもらったらお礼として相手にも注ぎ返す、その繰り返しが座を温める独特のコミュニケーションです。ひろめ市場では観光客であっても気さくに声をかけてくれる地元の人が多く、旅行中のふとした出会いが一生の思い出になることも珍しくありません。ひとり旅でも気兼ねなく溶け込めるオープンな雰囲気は、ひろめ市場が長年愛され続ける理由の一つといえるでしょう。
季節ごとの楽しみ方
ひろめ市場は年間を通じて楽しめる観光地ですが、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。
春は高知城の桜が満開を迎える時期と重なり、花見客でにぎわいます。ひろめ市場でお気に入りの料理とお酒をテイクアウトして、高知城公園で花見をするスタイルも地元で親しまれています。
夏は高知の風物詩「よさこい祭り」(8月上旬)の時期に特に盛り上がります。踊り子チームが市内各所を練り歩くこの期間、ひろめ市場周辺も熱気に包まれ、市場内も祭り一色の賑わいを見せます。カツオの旬が続く夏は、新鮮な海の幸を存分に堪能できる季節でもあります。
秋は食欲の秋にふさわしく、旬の食材が市場に並びます。柚子(ゆず)は高知を代表する特産品の一つで、秋から冬にかけて柚子を使ったポン酢や加工品が豊富に揃います。
冬は比較的観光客が落ち着く静かな時期ですが、それだけに地元の常連客との距離が縮まりやすいシーズンともいえます。温かい鍋料理や地魚の煮物を囲みながら、土佐の人情と食文化をゆったりと堪能してみてください。
アクセスと周辺情報
ひろめ市場は高知市の中心部、帯屋町商店街の一角に位置しています。JR高知駅からは徒歩で約20分、路面電車(土佐電交通)を利用する場合は「大橋通」電停または「高知城前」電停が最寄りとなり、そこから徒歩5分ほどです。高知龍馬空港からはリムジンバスで市内中心部まで約30分でアクセスできます。
営業時間は店舗によって異なりますが、おおむね午前10時から夜11時頃まで営業しており、朝から夜まで長く楽しめるのも魅力です。駐車場は市場に隣接していますが、台数が限られているため、公共交通機関の利用が推奨されます。
ひろめ市場のすぐそばには、国の史跡にも指定されている高知城がそびえています。日本全国で現存天守12城の一つに数えられる高知城は、追手門から本丸まで当時の姿をほぼ完全な形で残す貴重な城郭です。観光の動線として、高知城の見学を済ませてからひろめ市場で昼食や夕食を楽しむコースが多くの旅行者に支持されています。
また、毎週日曜日に高知城の追手筋で開かれる「日曜市」もあわせて訪れたい場所です。約400年の歴史を持つ日本最長クラスの定期市で、野菜・果物・土産品・骨董品など多彩な露店が1キロメートル以上にわたって並びます。早起きして日曜市で旬の食材をチェックし、ひろめ市場でその食材を使った料理を食べるという高知グルメの黄金ルートは、地元通の旅の楽しみ方として広く知られています。
交通
高知県高知市内、最寄り駅またはバス停からアクセス
营业时间
散策自由
预算
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