瀬戸内海に浮かぶ小さな島に、約1,000羽もの野うさぎが暮らしている——そう聞けば、誰もが一度は訪れたいと思うはずです。広島県竹原市沖に位置する大久野島は、「うさぎの島」として国内外から多くの旅行者が訪れる人気の観光地です。穏やかな瀬戸内の海に囲まれ、自然豊かなこの島には、かわいらしいうさぎたちとの触れ合いだけでなく、知られざる歴史と絶景が待っています。
うさぎの島の歴史――戦争の記憶と再生の物語
大久野島の歴史には、光と影の両面があります。明治時代には旧日本軍の要塞として整備され、島内には砲台跡が今も残されています。さらに太平洋戦争期には、毒ガス製造施設が秘密裏に建設されました。当時、島は地図から消され、製造に携わった労働者たちも詳細を口外できない環境に置かれていました。終戦後、施設は解体・廃棄処理されましたが、その後遺症に苦しんだ人々も少なくありませんでした。
現在、島内には「毒ガス資料館」が設けられており、戦時中の製造施設の実態や被害の記録が展示されています。悲惨な歴史を忘れず後世に伝えるための施設として、修学旅行や平和学習の場にもなっています。廃墟となった発電所跡や弾薬庫跡なども島内に点在しており、歴史の重みを静かに物語っています。
戦後、島は瀬戸内海国立公園の一部となり、平和と自然の象徴として生まれ変わりました。1971年に小学生が放したとされる8羽のうさぎが繁殖を重ね、今では島中にうさぎが溢れる「うさぎの楽園」へと変貌を遂げたのです。
うさぎたちとの出会い――島全体がふれあいスポット
大久野島を訪れた人々が最初に驚くのは、フェリーを降りた瞬間から始まるうさぎとの出会いです。桟橋周辺から島内のあちこちに、人を恐れないうさぎたちが群れをなして生活しています。近づいても逃げるどころか、むしろ寄ってくることも多く、手から直接えさを与えることができます。
島内での給餌は、島内で販売しているうさぎ用のえさを使うことが推奨されています。消化不良を防ぐためにも、持参した食べ物は与えないよう心がけ、うさぎの健康を守るためのルールをしっかり守ることが大切です。また、うさぎを追い回したり、大きな声で驚かせたりしないよう、優しく穏やかに接することが島のマナーとなっています。
島の周囲は約4キロメートルほどで、歩いて一周することができます。レンタサイクルも利用でき、うさぎを探しながらのんびりとサイクリングを楽しむ旅行者も多く見られます。砲台跡や廃墟となった建造物の周辺にもうさぎが集まっており、歴史遺構とうさぎという不思議な組み合わせが、大久野島ならではの独特な景観を生み出しています。
瀬戸内の絶景と自然――島が持つもう一つの魅力
大久野島は、うさぎだけでなく、瀬戸内海の豊かな自然景観も大きな魅力のひとつです。島の高台からは、多島美と呼ばれる瀬戸内海特有の島々が点在する絶景を一望することができます。特に夕暮れ時には、海面がオレンジ色に染まり、息をのむような美しさを見せてくれます。
瀬戸内海国立公園の区域内に位置するため、島の自然は大切に守られています。豊かな植生の中を歩く遊歩道が整備されており、四季折々の草花や木々を楽しみながらのんびりと散策することができます。穏やかな気候のおかげで、年間を通じて比較的過ごしやすい環境が保たれているのも魅力です。
島内には宿泊施設「休暇村大久野島」があり、温泉や食事も楽しめます。瀬戸内の新鮮な魚介類を使った料理が提供されており、泊りがけで訪れることでより深く島の魅力を満喫することができます。また、キャンプ場も整備されており、テントを張って星空の下でうさぎたちと一夜を過ごすという特別な体験も人気を集めています。
季節ごとの楽しみ方――一年中魅力が尽きない島
大久野島は、季節によって異なる顔を見せてくれます。春には島内の桜が咲き誇り、うさぎと桜の組み合わせという絵になる光景を楽しめます。桜の季節は観光客が特に多く訪れるため、早めのフェリーで到着するのがおすすめです。
夏は、瀬戸内海の澄んだ海でのシュノーケリングや海水浴を楽しむ旅行者でにぎわいます。キャンプ場が特に活気づく季節でもあり、家族連れやグループでの宿泊を楽しむ人々が増えます。夜には満天の星空と潮騒を感じながら、島ならではの贅沢な時間を過ごすことができます。
秋は比較的混雑が落ち着き、島内をゆったりと散策するのに最適なシーズンです。島の緑が少しずつ色づき始める様子と瀬戸内の穏やかな海との対比が美しく、写真撮影を楽しむ旅行者にも人気があります。冬は観光客が少なく、うさぎたちとより静かにゆっくり向き合える贅沢な時間を過ごすことができます。寒い季節には体を寄せ合ううさぎたちの愛らしい姿も見られ、心が和みます。
アクセスと周辺情報――旅の計画に役立つポイント
大久野島へのアクセスは、JR呉線「忠海駅」から徒歩約5分の忠海港からフェリーで約15分です。1日を通じて定期便が運航されており、日帰りでも訪れることができます。また、三原港からもフェリーが運航されていますが、便数が少ないため事前に時刻表を確認することをおすすめします。
島内は原則として一般車両の乗り入れができないため、徒歩かレンタサイクルでの移動が基本です。島全体がコンパクトにまとまっているため、健脚の方であれば半日あれば主要スポットを回ることができますが、うさぎとのふれあいに時間をとるなら、一日かけてのんびり過ごすのがおすすめです。
忠海港のある竹原市は、江戸時代に塩の産地として栄えた歴史的な港町で、「安芸の小京都」とも呼ばれています。竹原の重要伝統的建造物群保存地区を散策しながら、大久野島とあわせて訪れるプランも人気があります。広島市内からは車で約1時間30分、JR広島駅からは呉線経由で約1時間40分とアクセスもしやすく、広島観光の際にぜひ足を延ばしたい島のひとつです。
交通
広島県竹原市内、最寄り駅またはバス停からアクセス
营业时间
散策自由
预算
船賃別途